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  • 2015/12/18 掲載
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薄くて軽くて携帯しやすい薄型軽量ノートPCは、外出や出張が多い職種にとっては重要なデバイスだ。実際にビジネスで使うとしたら、どのようなPCを選べば良いのだろうか。ここでは、日本電気(NEC)、デル、日本HP、パナソニック、富士通、レノボの主要6メーカーのビジネス向け薄型軽量パソコンをさまざまな角度から比較検証していく。

(製品比較の機種選定・比較は、ビジネス+IT編集部が実施しています)

ビジネス向け薄型軽量ノートPC6機種を徹底比較

 薄型軽量ノートPCは、ビジネス向けのモバイルデバイスとしては主力の1つであり、外回りの多い営業職を中心に、仕事に欠かせない武器となっている。近年は技術の進歩により、より高いレベルでの薄型化軽量化が可能となり、性能も進歩しているが、ビジネスにおいては、そうした薄さや軽さ、性能だけではない要素も重要だ。

 たとえば、薄さや軽さのためにバッテリー容量やキーボードなどの入力環境が犠牲になっていれば、生産性の低下につながってしまう。タフに持ち歩いても壊れない堅牢性や、重要なデータを守るセキュリティなどの重要性もコンシューマーとは違うところだ。最近の電力事情からは、消費電力という要素も浮上する。

 このように、ビジネスでは薄さ、軽さと同じくらい、いやそれ以上に重要な要素がたくさんある。これらの要素を多角的に見ていくことが必要になる。そこで、ここでは有名メーカー6社のビジネス向け薄型軽量ノートPCを取り上げ、携帯性(基本サイズ、質量)や堅牢性、入力環境、セキュリティ機能など、11項目について比較検証を行ない、ビジネス向けに適した薄型軽量ノートPCを考えていく。

photo

 取り上げるモデルは、Versa Pro J VG-L(NEC)、LATITUDE E7250(デル)、EliteBook Folio 1020 G1 SE(日本HP)、Let'snote CF-MX4(パナソニック)、LIFEBOOK S935/K(富士通)、ThinkPad X250(レノボ・ジャパン)の6台だ。それぞれの基本スペックは、下記の表にまとめた。

基本スペック
機種名Versa Pro J VG-L
NEC
LATITUDE E7250
デル
EliteBook Folio 1020 G1 SE
日本HP
Let'snote CF-MX4
パナソニック
LIFEBOOK S935/K
富士通
ThinkPad X250
レノボ
基本スペック                              
CPUCore i5-5200UCore i5-5300UCore M-5Y51Core i5-5300UCore i5-5300UCore i5-5200U
CPU開発コードネームBroadwellBroadwellBroadwellBroadwellBroadwellBroadwell
CPU動作周波数(最大)2.2GHz(2.7GHz)2.3GHz(2.9GHz)1.1GHz(2.6GHz)2.3GHz(2.9GHz)2.3GHz(2.9GHz)2.2GHz(2.7GHz)
CPU TDP15W15W4.5W15W15W15W
メモリLPDDR3-1600 シングルチャンネルDDR3L-1600 シングルチャンネルLPDDR3-1600 デュアルチャンネルDDR3L-1600 デュアルチャンネルDDR3L-1600 デュアルチャンネルDDR3L-1600 シングルチャンネル
メモリ容量4GB8GB8GB4GB6GB8GB
グラフィックス機能Intel HD Graphics 5500Intel HD Graphics 5500Intel HD Graphics 5300Intel HD Graphics 5500Intel HD Graphics 5500Intel HD Graphics 5500
液晶ディスプレイ13.3型ノングレア(2560×1440ドット)13.3型ノングレア(1366×768ドット)12.5型ノングレア(2560×1440ドット)12.5型ノングレア(1920×1080ドット)13.3型ノングレア(2560×1440ドット)12.5型ノングレア(1920×1080ドット)
データストレージ256GB SSD128GB SSD256GB SSD128GB SSD256GB SSD256GB SSD
データストレージ型番SAMUSUNG MZ7LN256HCHPSK hynix SC210 mSATASAMUSUNG MZ7LN256HCHPSAMUSUNG MZNTE128HMGRSAMUSUNG MZ7LN256HCHPSAMUSUNG MZ7LN256HCHP
OSWindows 8.1 Pro Update 64bitWindows 8.1 Pro Update 64bitWindows 8.1 Pro Update 64bitWindows 8.1 Pro Update 64bitWindows 8.1 Pro Update 64bitWindows 8.1 Pro Update 64bit

 比較項目は、①携帯性、②ACアダプター、③パフォーマンス、④消費電力、⑤静音性と放熱性、⑥バッテリー駆動時間、⑦通信機能とインターフェイス、⑧キーボードとポインティングデバイス、⑨ディスプレイ、⑩堅牢性、⑪セキュリティの計11項目におよぶ。

 なお、本記事では検証結果を基に、各項目について10点満点の採点を行っている。点数はあくまで編集部の主観である点を、ご了承いただきたい。また各項目の評価には、他の要素はいっさい考慮しない。たとえば、バッテリー容量が少ないと質量で有利になるなど、項目間で密接に関連する場合もあるが、1つ1つ考慮していくと結局すべてはつながってしまうため項目の境界が曖昧になり、分ける意味自体がなくなる。あえて他の要素は考慮にいれずに個別に評価したうえで、後で総合的に評価することにしている。読者の方が独自の判断を組み入れる場合も、そのほうが判断を調整しやすいだろう。

比較1:携帯性 ~ビジネスで出先に持ち出すとき、負担にならないか~


 まずは薄型軽量ノートパソコンのもっとも基本的な要素ともいえる携帯性を比較しよう。常に持ち運ぶことが前提であるから、軽量であるほど体への負担が少なく都合が良い。また、より薄型のほうがバッグの中での収まりが良いといえる。今回はさらに、取り出してサッと使うことができるかどうか。開けやすさという要素も加えて評価した。

 今回集めた6製品のそれぞれのサイズと質量は表にまとめた。なお、ThinkPad X250は、機材調達の都合で評価機では大容量バッテリーが装着されてしまっているが、標準的な構成(3セル+3セル)を前提として評価している。

比較1:携帯性
機種名Versa Pro J VG-L
NEC
LATITUDE E7250
デル
EliteBook Folio 1020 G1 SE
日本HP
Let'snote
CF-MX4
パナソニック
LIFEBOOK S935/K
富士通
ThinkPad
X250
レノボ
サイズ、重量                              
サイズ(突起部含まず)319×212×16.9mm310.5×211×19.4mm310×210×15.7mm301.4×210×21mm319×215×13.6~19.8mm(実測25mm)約305.5×208.5×19.9~20.3mm ※標準構成のサイズ。評価機構成(大容量バッテリー搭載)は実測高さ36mm
重量約779g(Mバッテリー) 約890g(Lバッテリー)1.25kg ※3セルバッテリー搭載時、評価機は4セル約1kg約1.198kg約1.21kg 約1.36kg(大容量バッテリー) 約1.44kg(大容量+ベイバッテリー)約1.43kg ※標準構成の質量、評価機構成の公称質量は非公開
実測重量780g1371g1046g1191g1135g1418g(0+6セルのため参考値)
開閉のしやすさ×
採点9.5696.55.54.5

 もっとも薄型なのはEliteBook Folio 1020 G1 SEの15.7mmで、Versa Pro J VG-Lが1.2mmの差で続く。これらはブリーフケースタイプのバッグにもすっきりと収まる。他は20mm前後と少し差がある。

 質量はVersa Pro J VG-Lの779g(実測780g)がトップで、EliteBook Folio 1020 G1 SEが約1kg(実測1046g)が続く。

 開けやすさという点は意外に評価がわかれた。優秀だったのはEliteBook Folio 1020 G1 SEとLATITUDE E7250で、トップカバーのどこからでも開けて、片手でもすっと開くことができてストレスがない。Let'snote CF-MX4も片手で開くことができるが、中央部と角以外は指がかかりにくいため少し手間がかかる。そのほかは開くために両手が必要だ。

 採点は、軽量さで抜きん出ているVersa Pro J VG-Lが9.5ポイントでトップ評価、最薄のうえ3つの要素すべてで良好だったEliteBook Folio 1020 G1 SEが9ポイントとした。

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■Versa Pro J VG-L
公称約779g、実測でも780gとボディの軽量さでは抜きんでており、薄さでもEliteBook Folio 1020 G1 SEと1.2mm差と優秀だ。トップカバーは指はかかりやすいが、ベース部を抑えていないと本体も一緒に持ち上がるため片手では開けられない。

■LATITUDE E7250
厚みはまずまずだが、ThinkPad X250以外の4台と比較してあきらかにずっしりとした重みを感じる。トップカバーは全体に指がかかりやすい形状で、片手でも楽に開けられる。

■EliteBook Folio 1020 G1 SE
今回6製品の中で最薄の15.7mmで質量も約1kgと軽量。トップカバーは指がかかりやすい形状でどこからでも開けられるなど、総合的に高いレベルでまとまっている。

■Let'snote CF-MX4
角張ったフォルムで少し厚みを感じるが、質量は光学ドライブを搭載しているわりに健闘している。片手のみで開けられるが、最初に持ち上げるためにトップカバーの中央の突起か端を頼る必要がある。

■LIFEBOOK S935/K
最厚部19.8ミリということだが、奥のバッテリー収納部は突起部扱いなのか実測で25mmあり、かさばる印象。一方、重量は実測1135グラムと公称値よりもかなり軽量だった。トップカバーは指がかかりやすい形状ではあるが、ベースボディとの重量バランスが悪く、片手では開けられない。

■ThinkPad X250
標準構成の公称値ベースで評価しても、質量はもっとも重い。片手で開けようとすると本体も一緒に持ち上がる。トップカバーも指がかかりにくい形状だ。

比較2:ACアダプター ~本体と一緒に持ち歩けるか~


 ACアダプターは、数年前くらいの感覚であれば携帯性、あるいはバッテリー駆動時間に組み入れるべきだろうが、駆動時間が底上げされた現代の感覚では通常のビジネスタイムであればACアダプターの携帯は必須とは言い切れず、重さなどと合わせて評価するのは抵抗がある。

 とはいえ、ACアダプターは重要ではないかといえばそうではない。小型(薄型)で軽量のほうが良いし、ボディ側のDC入力コネクタの位置やケーブルのコネクタ部分の処理も机上での使用感を左右する。

 具体的には、ACアダプターは接続したまま使用することが多いため、ボディの手前側にDC入力コネクタがあると手に触れやすく、煩わしい。できるだけ奥側にあるのが望ましいだろう。また、ボディにDCケーブルを差し込んだ状態でコネクタ部分が本体からどのくらい張り出すのかも計測した。張り出しが大きいとそのぶん無駄にスペースが必要になるし、見た目にも良くない。ここではそういったことも含めて調査し、評価した。

比較2:ACアダプター
機種名Versa Pro J VG-L
NEC
LATITUDE E7250
デル
EliteBook Folio 1020 G1 SE
日本HP
Let'snote
CF-MX4
パナソニック
LIFEBOOK S935/K
富士通
ThinkPad
X250
レノボ
ACアダプター                              
実測サイズ(突起部含む)40×93(103)×29mm67×106(108)×22mm36×95(125)×27mm34×90(100)×28mm32×135(143)×28mm40×93(103)×29mm
実測重量(ACケーブルのぞく)213g(175g)301g(208g)245g(181g)238g(176g)232g(182g)233g(174g)
AC入力100V~240V100V~240V100V~240V100V~240V100V~240V100V~240V
ACケーブル2ピン3ピン2ピン2ピン2ピン2ピン
出力仕様45W(20V/2.25A)65W(19.5V/3.34A)45W(19.5V/2.31A)45W(16V/2.8A)65W(19V/3.42A)45W(20V/2.25A)
DCコネクタ(PCからの張り出し)角型独自形状(約38mm)丸形(約41mm)丸形(約21mm)丸形(約22mm)丸形(約22mm)角型独自形状(約38mm)
DCコネクタ位置左側面奥背面左端右側面奥右側面奥左側面奥左側面奥
採点9.57.59.51089.5

 もっとも良かったのはLet'snote CF-MX4で、サイズ、重量、コネクタの形状、コネクタの位置、いずれも欠点がなかった。EliteBook Folio 1020 G1 SEはACアダプター側のDCケーブルの付け根の突起部分が長い点が気になった。また、ThinkPad X250、Versa Pro J VG-Lは、ボディ側に装着した際の張り出しが少し長めだ。いずれも致命的な欠点ではないのでそれぞれ0.5ポイントマイナスした。LIFEBOOK S935/KとLATITUDE E7250はその4製品よりもひとまわり大柄でかさばるため低い点数となった。LATITUDE E7250はACケーブルが3ピンで太い点もマイナスだ。

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■Versa Pro J VG-L
ACアダプター本体はThinkPad X250と同じで、DCケーブルを本体に差し込んだ状態で少しコネクタ部分が張り出す。ThinkPad X250よりACケーブルが短いぶんトータルでは少し軽くなっている。

■LATITUDE E7250
本体が大きく、重量もある。ACケーブルは3ピンとしては細めだが、2ピンのケーブルと比べるとやはり重く、かさばる印象もある。コネクタ部分が41mmほど張り出すが、背面にあるため、通常利用時は煩わしさは感じない。

■EliteBook Folio 1020 G1 SE
アダプター本体は小型軽量でDCコネクタも張り出しが小さく、余計なスペースを必要としない。ただ、ACアダプター側のDCケーブルの付け根の突起が長い点が少し気になった。

■Let'snote CF-MX4
ACアダプターは小型軽量。ACケーブルのほか、ウォールマウントプラグ(20g)も付属し、これを付けた状態では6製品の中で唯一200gを切る。コネクタ部分の張り出しも小さく抑えられていて、ソツのない仕上がり。

■LIFEBOOK S935/K
スティック型だが、65W仕様で本体の横面が135mm(突起部含めると143mm)とかなり長く、扱いにくさを感じる。DCコネクタはL字型で、ケーブルの張り出しは短い。

■ThinkPad X250
アダプター本体は小型軽量でDCケーブルの付け根の突起を少なくする工夫が見られる。DCコネクタの配置は問題ないが、張り出しが少し長めだ。

比較3:パフォーマンス ~キビキビ動作し、ビジネスを妨げないか~


 今回取り上げた6台の薄型軽量ノートPCの基本スペックを表にまとめた。EliteBook Folio 1020 G1 SEのみ、Core Mプロセッサーを採用している。Core Mプロセッサーは2014年からIntelが新たに展開するブランドで、ファンレスでの冷却が可能なレベルの低発熱省電力と実用十分な性能を両立させたプロセッサーだ。他の5台は、ノートPCに採用例が多い第5世代Coreプロセッサー(Core i5)を採用している。Core i5-5300Uを搭載したモデルとCore i5-5200Uを搭載したモデルがある。

 PCMark7、PCMark 8は、いずれもアプリケーションを実際に実行し、レスポンスタイムを元にスコアを出す。PCMark 7のテストは今となっては軽い処理が中心の内容だ。なお、LightWeight ScoreとProductivity Scoreはタッチパネル搭載基で異常値が出ることが確認されている。この2項目については、タッチパネルを搭載しているLet'snote CF-MX4のスコアは除外して見てもらいたい(総合スコアや他のスコアには影響しない)。

比較3:パフォーマンス
機種名Versa Pro J VG-L
NEC
LATITUDE E7250
デル
EliteBook Folio 1020 G1 SE
日本HP
Let'snote
CF-MX4
パナソニック
LIFEBOOK S935/K
富士通
ThinkPad
X250
レノボ
PCMark 1.4.0                              
PCMarks449246644151485748714569
LightWeight Score477947034394304451064654
Productivity Score388238713390237640943880
Entertainment Score312433402820358834673156
Creativity Score852887178371830592309104
Computation Score130411456012875147131511114136
System Storage Score550649575166513055045494
Raw system Storage Score663239694326530466596618
PCMark 8 2.4.304                              
Work Accelerated 2.0 Score348341793334392039123774
Web Browsing – JunglePin(s)0.3930.3370.3750.3530.3540.361
Web Browsing – Amazonia(s)0.1570.1370.1530.1430.1440.146
Writing(s)5.783.386.24.284.234.4
spreadsheet(s)4.053.794.353.823.824.12
Video Chat v2 / Video Chat Playback 1 v2(fps)303029.9303030
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2(ms)9490.7125889095
短評同じCore i5-5200Uを搭載するThinkPad X250よりもPCMark7、PCMark 8ともに見劣るスコア。メモリが4GBであること、液晶ディスプレイの解像度が高いこともあるが、PCMark 8ではそれにしても少し差が大きい。軽量化を高度に追求したボディのため、ターボ機能の効きが弱いのかもしれない。ややストレージ性能が弱く、PCMark7では同CPU搭載機に少し見劣っている。しかし、PCMark 8は液晶ディスプレイの解像度が低い方が有利なテストが含まれているため、PCMark 8では全体でトップのスコアをマークした。唯一のCore Mプロセッサー搭載機のため、CPUの絶対的なパワーは第5世代Coreプロセッサー搭載機と比べると見劣る。Core i5搭載機でも薄型軽量のVersa Pro J VG-Lと比べるとPCMark 7で92%相当、PCMark8で95%相当のスコアをマークし。液晶ディスプレイも高解像度であることを考えると意外と健闘している。PCMark7、PCMark8ともに同じCore i5-5200Uを搭載するLIFEBOOK S935/Kと同じようなスコア。液晶ディスプレイの解像度からLIFEBOOK S935/Kより少し有利なはずだが、メモリ容量が4GBであるため相殺されていると思われる。LATITUDE E7250、Let'snote CF-MX4と同様にCore i5-5300Uを搭載しており、メモリも6GBを搭載するため、PCMark7、PCMark 8とも良いスコアをマークしている。Core i5-5300Uより動作クロックが少し低いCore i5-5200Uを搭載している。5300U搭載機に比べるとひとまわり見劣るくらいのスコアとなっている。同じCPUを搭載するVersa Pro J VG-Lよりは明らかにスコアが良い。
採点89.57998.5

 結果は、LIFEBOOK S935/KとLet'snote CF-MX4と、Core i5-5300Uを搭載する2台のスコアが良かった。同じCPUでもLATITUDE E7250はそれより1枚劣るスコアだ。System Storage scoreが少し低く、これが影響していると思われる。Core Mを搭載するEliteBook Folio 1020 G1 SEのスコアが気になるところだが、Core i5-5200U搭載機のVersa Pro J VG-Lの92%相当と、意外に低くない。

 PCMark 8(Work)のスコアは、画面の表示解像度にも影響される。特にWriting(テキスト編集)の項目、そしてWeb Browsing(Webブラウズ)の項目でもその傾向がある。今回は、もっとも評価機の解像度が低かったLATITUDE E7250が高いスコアになった。同じCPUを搭載するLIFEBOOK S935/K、Let'snote CF-MX4がそれに次ぐスコアを出している。解像度ではLet'snote CF-MX4のほうが有利なはずだが、メモリが4GBであるためがほぼ同じスコアだ。

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 Core i5-5200U搭載機のThinkPad X250とVersa Pro J VG-Lは少し差がついて、前者のほうがだいぶスコアが良い。解像度、メモリ容量ともThinkPad X250のほうが有利なのは違いないが、それにしては差が大きく、解像度が同じEliteBook Folio 1020 G1 SEより良くない項目も多くある。PCMark 7の結果でも少し差があり、Versa Pro J VG-Lは薄型軽量化の影響で、CPUのIntel Turbo Boost Technology(高負荷時のみ安全な範囲内でクロックを上げて高速に処理する機能)の効きなどが少し良くないのかもしれない。Core Mプロセッサー搭載のEliteBook Folio 1020 G1 SEは、総合スコアでVersa Pro J VG-Lの96%相当だ。

 採点はいろいろな条件を加味すると難しくなるが、冒頭で示したルールどおり、純粋に評価機で示したパフォーマンスの序列で付けている。トップはPCMark 8で良いスコアを示したLATITUDE E7250だが、PCMark 7では同CPU搭載機に一歩劣るスコアのため、少し割り引いて9.5ポイントとしている。

比較4:消費電力 ~電力コストは抑えられるか~


 東日本大震災以来、エネルギーコストが上昇している。特に企業では何百台、何千台、場合によっては万単位で利用することもあるため、消費電力は無視できない要素だ。ここでは各モデルのアイドル時と高負荷時(PCMark8実行時最大)のシステム全体の消費電力を測定した。

 バッテリーが満充電未満の場合は充電に電力を消費するため、測定時はバッテリーを満充電にしたうえでおこなっている。液晶ディスプレイの輝度は最大だ。ワットチェッカーは、Electronic Educational Devices製の「Watts up? PRO」を利用している。また、参考までにエックスライトのi1 Display Proで測定した記載した(評価には考慮していない)。

比較4:消費電力
機種名Versa Pro J VG-L
NEC
LATITUDE E7250
デル
EliteBook Folio 1020 G1 SE
日本HP
Let'snote
CF-MX4
パナソニック
LIFEBOOK S935/K
富士通
ThinkPad
X250
レノボ
消費電力                              
アイドル時6.9W5W5.8W4.7W5.4W6.4W
高負荷時(PCMark8時最大)24.5W26.5W16.1W25.8W29.5W31.5W
測定輝度262cd/m2216cd/m2315cd/m2284cd/m2338cd/m2408cd/m2
短評同CPU搭載モデルに比べて少しパフォーマンスが控え目なこともあり高負荷時の最大電力は低め。アイドル時は高め。アイドル時、高負荷時ともCore i5モデルとしては低め。液晶の解像度が低く、輝度も低めのため消費電力では有利な面があると思われる。CoreMだけに高負荷時の電力は断然低い。アイドル時はCore i5モデルとあまり変わらない。アイドル時、高負荷時ともCore i5モデルとしては低め。特にアイドル時は6機種中一番低かった。液晶ディスプレイの解像度が高く、輝度も高いためか高負荷時は高めだが、アイドル時は低いほうから3番目と健闘している。液晶ディスプレイの輝度が高いぶん、電力面では不利な模様。
採点789876.5

 高負荷時の消費電力がもっとも低かったのはCore Mプロセッサーを搭載したEliteBook Folio 1020 G1 SEだ。Core i5搭載機の中でもっとも低いVersa Pro J VG-Lの約2/3の消費電力とダントツだ。Core Mプロセッサーの電力効率の高さがあらためて分かる。ただ、アイドル時はCore i5搭載機に対してはっきりとしたアドバンテージはみられなかった。  Core i5搭載機では、Let'snote CF-MX4、LATITUDE E7250は、アイドル時、高負荷時とも低めだった。LATITUDE E7250は液晶ディスプレイの輝度、解像度ともに低いため、有利な面はあるだろう。逆に液晶ディスプレイの輝度が高いThinkPad X250はアイドル時、高負荷時ともに高かった。Versa Pro J VG-Lはアイドル時は高め、高負荷時は低めだった。パフォーマンステストでは、性能が伸びきれない傾向も見られたため、その影響もあると思われる。

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 採点は高負荷時とアイドル高負荷時でダントツに優れているEliteBook Folio 1020 G1 SEがトップ。アイドル時は4番目でトップから1W差があるということでマイナス1ポイントの9ポイントとした。Let'snote CF-MX4とLATITUDE E7250はアイドル時はともにトップ評価で、高負荷時はトップから10W近く多いため、2ポイントマイナスしてトータル8ポイントとした。少しずつLet'snote CF-MX4のほうが優秀だが、これくらいならポイント差は付けるまでもないと判断した。

比較5:静音性と放熱性能 ~ビジネスでの利用時に集中を妨げないか~


 ファンの動作音とボディの放熱性能を検証した。オフィスはある程度騒音があるものだが、外出先ではそうとも限らない。静かな場所で行われる少人数でのミーティングなどでファンの動作音が大きいと、それが気になって企画や商品に集中できないということもありうる。静音であることに越したことはない。

 もっとも、静音であってもボディの放熱性能が十分でなければ意味がない。通常利用時にキーボードやパームレストに不快な熱を持つようでは、生産性に悪影響が出るため、ここでは合わせて検証した。なお、ファンの騒音は、前面の端(パームレスト)から5cm離れた位置に騒音計を設置して測定した。温度はそれぞれの部位に放射温度計を使って測定している。

比較5:静音性と放熱性能
機種名Versa Pro J VG-L
NEC
LATITUDE E7250
デル
EliteBook Folio 1020 G1 SE
日本HP
Let'snote
CF-MX4
パナソニック
LIFEBOOK S935/K
富士通
ThinkPad
X250
レノボ
静音性                              
ファンの騒音(アイドル時)303030303030
ファンの騒音(中負荷時:PCMark 8)3333.5304137.332
ファンの騒音(高負荷時:CINEBENCH)35.538.530454834.9
排気口の位置背面左左側面なし背面右左側面左側面
高負荷時の温度                              
キーボード左2731.530.52431.530
キーボード右293033.53229.528.5
パームレスト左2626282329.527
パームレスト右2626.530.527.52626
底部左34384432.53636
底部右3233.543323032.5
短評排気口の位置が測定ポイントから遠いこともあるのか、静音性は優秀。発熱も底部奥が少し熱を持つ程度で、手が良く触れる部分には伝わってこない。高負荷時はそれなりに動作音が上がるが、中負荷時まではたまに音が聞こえる程度。発熱は底面中央付近の吸気口周辺が中心だ。ファンレスのため無音で、静音性は文句なし。底部はかなり熱をもつのである程度ケアが必要だが、手が良く触れる部分には伝わってこない。排気口は背面にあるが、かなり高速に回る。ファンの反応が敏感でちょっとした負荷でも回転が上がり、常にノイジーな印象。そのためボディの温度は低い。全体にボディ温度は低い反面、高負荷時のファンの音はかなり大きい。中負荷時はそれなりのレベルだが、低負荷時含めて、まれに大きな音がすることがある。動作音は静粛で放熱性能も問題ない。評価機は大容量バッテリーを搭載しており奥側が張りだしているぶん、放熱には有利な点があるか。
採点8.58.59778.5
※室温23℃、暗騒音30℃、ファンの音は前面端から5cmの距離から測定

 まず、Core Mプロセッサーを搭載するEliteBook Folio 1020 G1 SEは、6台中唯一のファンレス仕様。静音性においてのアドバンテージは絶大だ。気になるのは放熱性能だが、最も手が触れるパームレストにはほとんど伝わってこないし、キーボードも気になるような発熱はなく、底面が少し熱を持つ程度で、そこまで気にする必要はないと思われる。

 ファンを搭載する5台は、放熱性能はどれも問題がない。動作音は意外と差がある。Let'snote CF-MX4とLIFEBOOK S935/Kは中負荷時でもかなり高めで、ノイジーな印象。ThinkPad X250とVersa Pro J VG-Lは中負荷時、高負荷時とも静粛だった。ThinkPad X250は評価機が大容量バッテリー構成できてしまっているため放熱に有利な面はあるだろう。

 採点は、ファンレスのEliteBook Folio 1020 G1 SEがトップ。放熱性能も通常利用には問題はないが、ケアの意識は必要ということでマイナス1ポイントとした。ファン搭載モデルはファンを搭載している時点で吸排気口をふさがないようにするなど意識することが必要になるため、自動的にマイナス1ポイント。放熱面でのマイナスはどれもないが、中負荷時の動作音が35dBまでの3製品はマイナス0.5ポイントとした。Let'snote CF-MX4、LIFEBOOK S935/Kはピーク時もかなり大きかったため、さらに割り引いた。

比較6:バッテリー駆動時間 ~長いビジネスタイムをバッテリーでこなせるか~

 薄型軽量ノートPCには、いつでもどこでも使えることを期待する。バッテリー駆動時間は重要な要素の1つといえる。ここではバッテリーの容量と公称の充電/駆動時間、そして実測の駆動時間を調査した。

 バッテリーの容量は、Windowsのバッテリーレポートコマンドを利用して測定した。デザイン容量というのはバッテリーの設計容量で、フルチャージ容量は、バッテリー固体の満充電容量で、評価機によっても多少変わる場合がある。

 ThinkPad X250は大容量バッテリー構成で来ているため断然容量が大きいが、標準構成では46.4Whで、Let'snote CF-MX4も同じくらいの容量で、LATITUDE E7250はそれよりも少し大きい。逆にVersa Pro J VG-L、LIFEBOOK S935/Kの標準バッテリーは30Wh以下でノートPCとしてはかなり少ない。

 実際の駆動時間は、海人氏が制作したフリーソフト「bbench1.01」を利用して測定している。無線LAN(LIFEBOOK S935/Kのみ評価機が無線LANなしの構成のため有線LAN)で常時接続して、Webページを60秒間隔で10サイト巡回、10秒間隔でキーストロークを行なう内容で計測した。電源プランはすべて「バランス」、ディスプレイの輝度40%、明るさの自動調整機能もすべてオフであることを確認している。

比較6:バッテリー
機種名Versa Pro J VG-L
NEC
LATITUDE E7250
デル
EliteBook Folio 1020 G1 SE
日本HP
Let'snote
CF-MX4
パナソニック
LIFEBOOK S935/K
富士通
ThinkPad
X250
レノボ
バッテリー                              
バッテリー容量(デザイン)29.6Wh51.208Wh35.218Wh48.03Wh(32.83+15.2)24.3Wh71.1Wh
バッテリー容量(フルチャージ)30.547Wh51.208Wh35.218Wh47.03Wh(31.83+15.2)23.069Wh75.51Wh
バッテリー容量(公称値)非公開52Wh(評価機構成4セル)、39Wh(3セル)36Wh48Wh(定格45.6Wh)24Wh、77Wh(大容量)、28Wh(ベイバッテリー)46.4Wh(標準3+3セル)、72Wh(評価機構成0+6セル)
公称バッテリー充電時間(電源オン時)約3時間非公開2.5時間(90%まで2時間)約4時間非公開非公開
公称バッテリー充電時間(電源オフ時)約2.5時間非公開2.5時間(90%まで1時間50分)約4時間非公開約3.4時間
公称バッテリー駆動時間約5.9時間(JEITA 2.0/M) 約9.0時間(JEITA 2.0/L)約9時間(明記がないが、標準構成の値と思われる)約7.6時間(JEITA 2.0)約11.5時間(JEITA 2.0)約4.9時間(JEITA 2.0/標準) 約15.8時間(JEITA 2.0/大容量) 約20.2時間(JEITA 2.0/大容量+ベイ)約11.2時間(JEITA 2.0)※内蔵3+3セル仕様、評価機は内蔵0+6セルで非公開
bbench 1.01の結果311分(5時間11分)643分(10時間43分)480分(8時間)620分(10時間20分)215分(3時間35分、有線LAN)953分(15時間53分)
短評軽量ボディだが、バッテリー容量は約30Whと、他の製品と比べて見劣りする。実測時間も5時間11分と短い。なお、Lバッテリー搭載時の推定時間は7時間46分(質量も公称約850gに増える)。52Whと容量の大きなバッテリーを搭載しており、実測でも10時間を大きく超えた。液晶ディスプレイの解像度が低い点もバッテリー駆動時間には有利な要素だ。バッテリー容量は36Whと若干少なめもCore Mプロセッサー搭載ということを考えれば十分か。常時接続環境での実測でもジャスト8時間と実用基準を満たす。採点には含めていないが、90%まで2時間で充電できる急速充電に対応しているのもありがたい。着脱可能なバッテリーのほかに内蔵バッテリーを搭載しており、着脱可能バッテリーはホットスワップが可能だ。合計容量は48Whと十分な容量を備え、実測でも10時間以上動作した。標準構成では24Whと容量が非常に少なく、実測でも4時間持たなかった。これのみ無線LAN非搭載構成なので本来はさらに割り引いて考える必要がある。ちなみに、大容量バッテリー搭載時(公称質量1.36kg)の推定駆動時間は11時間29分だ。内蔵バッテリー(3セル)のほかに着脱可能バッテリー(3セルまたは6セル)を搭載できるが、評価機は内蔵バッテリーなしの大容量バッテリーのみを搭載した仕様。それでもフルチャージ容量で75Wh以上もあるため、もっとも長時間動作した。通常構成(3セル+3セル)の推定時間は635分(10時間35分)だ。
採点610810410
※bbenchの設定:バランス、ディスプレイの輝度40%、自動調整オフ、Bluetoothオン、無線LAN(FMVのみ有線LAN)で常時接続。Web巡回60秒間隔、キーストローク10秒間隔

 結果はやはりバッテリー容量の影響が大きい。フルチャージ容量が75WhあるThinkPad X250は15時間以上、LATITUDE E7250、Let'snote CF-MX4も10時間以上動作した。フルチャージ容量約35WhだったEliteBook Folio 1020 G1 SEはちょうど8時間だった。Versa Pro J VG-Lは5時間11分、LIFEBOOK S935/Kは3時間35分と短かった。

photo


 大容量バッテリー構成のため最長のThinkPad X250も、標準バッテリー構成に換算すると10時間35分程度になる。実際の運用を考えても、10時間を超えて動作すれば満点としてもよいだろう。ほかは1時間減るごとにマイナス1ポイントとし、EliteBook Folio 1020 G1 SEが8ポイント、Versa Pro J VG-Lは6ポイント、実測で4時間持たないLIFEBOOK S935/Kは4ポイントとした。

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