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2017年02月08日
 東大 稲田修一教授が指摘「データを取らないと見えない、見えないと変革できない」

いまや、ビジネスはデータ抜きでは語れない。社内外の膨大なデータを活用し、新しい製品やサービスの創出や改善、広告やマーケティングなどに役立てることは、すべての企業が取り組むべきテーマとなっている。こうした変化は、従来は「コストセンター」とみられていたコンタクトセンター/コールセンターの役割にも変化をもたらしている。以前は把握できなかったデータが技術革新などにより見える化されることで引き起こされる改革とは? 東京大学 先端科学技術研究センター 特任教授 稲田 修一氏に、企業におけるデータ活用の現状と課題、コンタクトセンター/コールセンターの活用について話を聞いた。


ビッグデータが企業に与えている影響と顧客マインドの変化

──まずは、ビッグデータが企業に与えている影響、および顧客の変化についてお聞かせください。

稲田氏:ビッグデータの特徴は、「数は多いけれど情報密度は薄い」データであることです。昔は、こうしたデータは活用できませんでしたが、いまはデータ処理が可能になり、商品開発や広告・マーケティングに活かすことができるようになりました。その結果、マーケティングの手法が、従来のマスマーケティングからより顧客理解を深化させたワンツーワン・マーケティングへと変わってきました。

 それに伴い、顧客のマインドも大きく変わっています。従来は「商品」というモノを選択するだけでしたが、「サービス」という付加価値まで含めたモノサシで選択するようになり、今ではその商品・サービスを通じて得られる「エクスペリエンス(体験)」を重視するようになっています。良質なエクスペリエンスが積み重なることで、顧客は信頼できる提供者・メーカーと長く付き合うようになり、顧客ロイヤリティは非常にウェイトが高くなります。したがって、企業は顧客との関係性を重視し、顧客理解を深化し、顧客から選ばれ続けるためにデータを活用することが求められています。

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東京大学 先端科学技術研究センター 特任教授
稲田 修一氏


──そうした変化の中で、顧客の「生の声」を聞くことができるコンタクトセンターの役割や価値も、変わってきたと言えるでしょうか。

稲田氏:かつて、コンタクトセンターの役割は、顧客対応やクレーム対応など「守り重視」で、どちらかというと企業にとっては「コストセンター」と位置づけられていました。しかし近年、これまで蓄積されたデータや、今までは把握できなかったデータを活用できる環境が整ったことで、戦略情報を集積して収益貢献につなげる「攻め重視」の「プロフィットセンター」へと変貌を遂げています。

 先ほど、「ビッグデータは情報密度が薄い」と言いましたが、コンタクトセンターに集まる顧客の声は極めて情報密度が高く、かつ企業に関係する情報がほとんどなので、企業にとっては非常にありがたい情報源です。お客様と長く良質な関係を築くうえで、今後もますます重要なインターフェイスになるのがコンタクトセンターだと言えるでしょう。

 また、このように重要な「顧客の声」をビッグデータの概念で活用するためには、「情報をしっかり取得できること=コールセンターがつながること」が大前提です。この分野でもデータ分析が進歩してきており、今まで企業側で把握することが困難だったデータを活用し「つながらない数や原因」を明確に把握する取り組みが始まっています。

データ活用のための意識改革 知的活動を強化する概念「IA」

──一方で、大量のデータをどうやって活用するか、その点に課題を感じている企業も多いかと思います。上手く活用するためには、どのような考え方や戦略が必要でしょうか?

稲田氏:最近は、「IA」という考え方に注目しています。IAは「Intelligence Amplification」または「Intelligence Acceleration」のことで、データ活用によって人の知的活動を強化し、ビジネスや社会のイノベーションを加速しようという考え方です。IAによって、気づきの誘発や意思決定の迅速化、マッチングの最適化などが強化されると考えています。

 たとえば、あるコンビニで「グリーンスムージー」という健康飲料がヒット商品になった例があります。ヒット商品はリピート率が高くなる傾向がありますが、商品の担当者は、データ分析の結果からグリーンスムージのリピート率が急上昇したことに気付きました。そこでヒットの可能性があると判断し、重点販売商品としてポップ広告やテレビCMを打ったところ、半年で1000万本を超える大ヒットにつながりました。これは、データ活用が社員の気づき、つまり知的活動を強化した例といえます。

この記事の続き >>
・結果が出ないのは、「守り」と「改良」の発想に縛られているから
・把握することが困難だったコールセンターにつながる前のデータも活用し「つながらない数や原因」を分析できるナビダイヤル事例
・テクノロジーが進む中で、「人間」が強さになる

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