• 2006/07/24 掲載

【デンセイ・ラムダ事例】BIツールによって、会社の行動速度は2倍以上になる

【ビジネスインパクト vol.6】見える化によって売上アップに成功

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デンセイ・ラムダは親会社が英国にある関係で、会計業務に大変な難題を抱えていた。これをレポーティングシステムとERPの刷新により解決。その後、本格的なBIツール導入を行い、営業利益率を3年で-1.2%から6.0%にまで向上させることに成功した。これらのシステム構築をすべて担当した、情報システム部の片寄直樹氏に、BIツールの効果とその導入ポイントをうかがった

ビジネスインテリジェンス デンセイ・ラムダ
情報システム部
BPR推進グループ
グループマネージャー
片寄直樹
Katayose Naoki

1999年12月にデンセイ・ラムダに入社。経理部UKレポート課から、連結レポーティングシステム導入プロジェクトマネージャーとなる。その後BaaN導入チーム、Essbaseプロジェクトサブリーダーを経て、現在のマネジメントポータルシステムを作り上げる。


 スイッチング電源、UPS(無停電電源装置)開発販売を行っているデンセイ・ラムダ。同社は親会社が英国にある関係で、会計業務に大変な難題を抱えていた。これをレポーティングシステムとERPの刷新により解決。その後、本格的なBIツール導入を行い、営業利益率を3年で-1.2%から6.0%にまで向上させることに成功した。これらのシステム構築をすべて担当した、情報システム部の片寄直樹氏に、BIツールの効果とその導入ポイントをうかがった。


日英両基準に合わせた会計業務を
Excelによる手作業で行っていた!


 1999年の末。デンセイ・ラムダの社内、特に経理部門は混乱の極みにあった。同年10月に、ネミック・ラムダと日本電気精器(デンセイ)が合併しデンセイ・ラムダが誕生したのだが、旧2社の経理システムがまったく異なっていたのである(会社は1社になったにもかかわらず、二つの基幹システムで経理はマニュアルで2社分を1社に合算していた)。

これだけならよくある話だが、デンセイ・ラムダの親会社となったインベンシスは英国・米国にまたがる企業であり、日本と英国それぞれの会計基準で処理を行わなければならない。日本では月末締めだが、英国では4週、4週、5週というパターン。さらに旧会社は完全にはデジタル化されていなかったため、子会社も含めてかなりのデータを手入力し、日本の基準に合わせた会計データをまず作り、それをExcelを使って英国基準に変換するという、気の遠くなるような作業が必要であった。勘定科目の変更も頻繁にあったため、十数人の経理スタッフが月100時間以上残業していたという。

 こんな状態では、売上を誰もタイムリーに正確に把握することはできない。そこで、2000年3月の本決算を何とか乗り越えると、片寄氏を中心に、レポーティング業務を効率化するためのプロジェクトが開始された。プロジェクトでは将来のERPシステム導入を念頭に置き、Hyperion Enterprise〈※注1〉を導入。2001年9月にシステムが稼働し、レポーティング業務の省力化を実現できたが、いってみればこれは無用な混乱がなくなっただけに過ぎない。同社が次に手を付けたのが、ERPシステムの刷新であった。

ビジネスインテリジェンス
デンセイ・ラムダにおけるシステムの概略図。海外子会社なども含めて、レポーティングシステムであるHyperion Enterpriseに毎日データを自動アップロードする。このデータは勘定科目ベースで、速さを優先している。明細データについては、BaaNから分析ツールのEssbaseにデータを取り込み、Enterprise側のデータと突き合わせを行う。



ERPシステムを刷新し、
見える化を行うための土台が整う


 レポーティングシステムの構築を担当した片寄氏は、ERPプロジェクトも担当することになった。ERPパッケージとしてはBaaNを採用し、2003年1月には新ERPシステムの単独稼働を実現した。一方、2003年5月、同社は従来の事業本部制(営業本部、技術本部など)から製品別の事業本部制に移行。これに対してはHyperion Essbase〈※注2〉という分析ツールを追加することでERPシステムを大きく変えることなく、事業本部ごとの数字が同年7月には見られるようにはなった。

 また、EssbaseとERPとの連携をとるEISも2004年3月には完成した。いくらBIを導入しても、分析の根拠となる数値データが間違っていては意味がない。EISを使うことにより、おかしなデータをさかのぼって調べていくことが可能になるのである。データの入力者と入力した日付、摘要まで一目瞭然で分かるため、データの確実性が保証されることになる。

 ここまでで、経営分析に必要なデータを得るための土台がしっかりと整ったといえる。これ以降、片寄氏は経営を見える化するための仕組みを矢継ぎ早に組み上げていく。


〈※注1〉Hyperion Enterprise 連結経営管理レポート。
グローバルに事業を展開している企業における経営実績情報の収集、連結、レポーティングの効率化を図るアプリケーション。
〈※注2〉Hyperion Essbase 総合BIプラットフォーム。
財務分析や販売分析、あらゆる分野の経営分析をサポートし、企業の業務効率改善を支援する。

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