• 2007/03/20 掲載

【CIOインタビュー】 黒部市民病院 「医療の効率や質を高めるIT化」に取り組む(4/5)

【オンラインムック】経営革新を支える日本のCIO

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。

既存の電子カルテは現場の要求に応えていない


【マネジメント】『CIOインタビュー』黒部市民病院 関節スポーツ外科医長 今田光一氏

黒部市民病院 関節スポーツ外科医長 今田光一氏

 クリニカルパスに基づくきめ細やかなシステムを構築してきた今田氏は、既存の電子カルテシステムに苦言を呈する。

「残念ながら、今一般にパッケージ化されている電子カルテの多くは、医療現場の要求に応えていません。現場で働く人が一番実感していると思いますが、電子カルテを入れた病院に聞くと、電子化によるメリットはあるにしても、システムについては評判が良くない。これは、以前から広く病院に浸透しているオーダリングシステムの影響だと思います」と今田氏は言う。

 オーダリングシステムとは、注射や薬を各部署から院内のオンラインでオーダーし、薬剤課や会計にデータが飛んで、処方伝票、会計伝票を作るシステムである。

「日本では、このシステムがずっとはびこっていて、ある程度の規模になればどこの病院でも採用しています。初期の電子カルテは、そのオーダリングシステムにテキスト入力機能を搭載しただけのものが多かった。それでは、ドクターは電子カルテシステムで診療記録を書いているのか伝票を作っているか分からなくなってしまう。それが一番不幸な点です。

 もうひとつ問題なのは、電子カルテ開発に携わっているSEや医療情報の専門家でも、現場を知らないことが多い点です。これは医療現場の閉鎖性にも起因することですが、電子カルテメーカーのほとんどは現場で必要な機能をわかっていません。そういう問題があるので、電子カルテのベンダーとかなり親密にしてシステムを作らないとダメでしょうね。

 今回、我々が電子カルテや電子化クリニカルパスシステムを作るとき、ベンダーの担当者は、クリニカルパス関連の学会などで、非常によく勉強していました。そこまでしないとダメなんですね。一方、電子カルテを入れると何でもできると勘違いする医療者ユーザーが多いので、それはそれで問題ですね。ユーザー側の導入時の不勉強は多いですよ。電子カルテは魔法の箱ではないのです。」


システムは生きもの
もっともっと良くしたい



今田氏のもとクリニカルパス
の改善を図る黒部市民病院

 医療の現場を深く勉強したベンダーの担当者がいて、必要な機能を搭載した電子カルテを整備したとはいえ、システムはまだまだ未完だと今田氏は言う。

「このシステムは生きものなので、もっともっと良くしたいと思っています。あと、まだまだコンピュータに不慣れな医療関係者が多いので、そうした人たちにシステムを理解してもらうことが重要になってきています。『どの場面でも使える共通のツールを作る』のが今の大きな目標ですね。

 電子クリニカルパスシステムの基本機能は、『標準化された一括オーダー』と『情報を書き込んで全員で見る』こと、そして『設定した状態への到達度』を分析しクリニカルパス自体を改善していくことです。

クリニカルパスにもいくつかのパターンがあります。外科など点滴の多い場合、クリニカルパスはオーダーの部分が主体になるんですが、糖尿病の教育入院では、オーダーよりも多職種で情報を共有することに比重が置かれます。そういった両方のケースに対応できるよう、より使いやすくしていきたいですね。」

関連タグ

関連コンテンツ

オンライン

トップが語る リクルートの心臓、「FP&A」の舞台裏

いまや日常生活には欠かせない幅広いインフラを提供する、リクルート社。同社がカンパニー制を採用し、営業力を武器に各領域で圧倒的な成長を遂げてきたのは周知の事実です。 しかし、各カンパニーがそれぞれ競争優位を構築し企業価値を高めてきた理由の1つに「FP&A」の存在があることはあまり知られていないのではないでしょうか。 一般的にコーポレート部門はコストセンターと見られるケースが多いですが、同社ではコーポレート部門の一員であるFP&Aプロフェッショナルが事業の成長を支える存在として活躍し業績向上に貢献してきました。 今回はそんな同社を90年代から支え、本社FP&Aのトップとして業績管理を支えてきた三木氏をご招待し、リクルート社でFP&Aがどう企業価値向上に繋がっているかについて語っていただきます。 当日のテーマは以下です。 ・リクルート社におけるFP&Aの果たす役割 ・FP&A担当者が各カンパニーで行う、具体的な業績PDCAの回し方 ・経営企画の皆さまがFP&Aを取り入れて業績向上につなげるために必要なアクション 「FP&Aの概念は知っているがなかなか実践に落とし込めない」と感じている皆さまに、ぜひヒントをお持ち帰りいただける場にできればと考えております。 ぜひご参加ください。

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます