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2008年02月04日

経営革新を支える日本のCIO

オリンパス 西河敦氏:CIOインタビュー「山を越え中原に出る」5年を費やしたオリンパスの基幹システム再構築

オリンパスは2007年5月、約5年の歳月を費やした基幹システムの再構築を完了した。ビジネスプロセス自体をもう一度捉え直し、標準化すべきポイントと独自性を活かすポイントを切り分けるところから行なったという根本的な業務改革だ。今回のCIOインタビューでは、オリンパス コーポレートセンター IT統括本部 本部長 西河敦氏へのインタビューをお届けする。

複数の業務機能ごとに個別に構築していた旧システム

西河敦氏

オリンパス コーポレートセンター
IT統括本部 本部長 西河敦氏

―オリンパスという会社名からカメラを思い浮かべる読者の方が多いと思いますが、それ以外にはどのような事業を行っていらっしゃるのでしょうか?

西河■
コンシューマ向けの主力商品は、みなさんがイメージされる通りデジタルカメラが中心です。それ以外には、内視鏡、顕微鏡、血液分析機なども作っており、特に当社が世界で最初に開発した消化器系内視鏡では、世界的にも高いシェアをいただいています。 このように主に映像事業、医療・ライフサイエンス事業、産業事業を中心に展開しています。

 それぞれの業界によるビジネススタイルの違いなどもあり、別の事業部門として開発、製造、販売を行なっており、デジタルカメラを中心とした映像分野と、消化器系内視鏡を中心とした医療分野は分社制を取っています。映像分野はデジタルカメラが普及し、家電メーカーの参入などにより競争の激しい業界になりました。BtoCビジネスで商品の世代交代も速く、経営判断にもスピードが求められています。一方、消化器系内視鏡を中心とした医療分野、ライフサイエンス分野、産業分野などは、BtoBビジネスのためマーケットは違いますが、こちらでも競合が増えていますね。もちろん、当社ではどの分野も等しく、業績を伸ばしていきたいと考えております。

―最近、5年の歳月を費やして販売物流の基幹系システムを入れ替えたとうかがいましたが、その背景について教えてください。

 西河■
以前は、会計システム、製品システム、部品システム、輸出システムのように業務機能単位で構築していました。日々の業務を進める現場には問題はありませんでしたが、経営の視点から見るといくつもの課題がありました。機能別のバラバラなシステムと、そのインターフェースがスパゲッティのようにからみあった状態だったのです。当然、そこで扱われる情報にもバラつきがあり、経営の立場から事業の実態を一目で見渡すことができませんでした。例えば、「昨日の売り上げは?」といった数字が集めづらい状況でした。

 また、システムにつぎはぎを続けてきたために複雑になり、改修や機能拡張が難しくなってきていました。一部に手をいれると、どこにどのような影響が出るのか非常に分かりづらい。当然、ビジネスのスピードにも影響していましたね。仮に新規事業や会社を直ぐに立ち上げたくても、システムの対応・改修に時間がかかり、経営のスピードに追い付かないのです。そこで抜本的な大改革を目指した訳ですね。まさに、BPI(Business Process Innovation)です。

標準化する業務と独自性を残す業務を全面的に切り分け


―オリンパスにおけるBPIは、具体的にはどのような内容だったのでしょうか?

 西河■
構想自体は2002年にスタートし、完了したのは2007年5月でした。2006年5月に、BtoBビジネスである医療系を中心とした販売物流システムを稼働させて、デジタルカメラを中心としたBtoCビジネスの映像系販売物流システムを2007年5月に稼働する、という2段階のステップを踏んでいます。

 業務機能ごとにバラバラだった基幹システムは、すべてSAP社のERPパッケージに統合しました。SAP社のパッケージは全世界で使われており、標準的な機能の網羅性・安定性は高いのです。ただし、きめ細かい業務までは対応できない。

 実は、ERPパッケージ導入というと、業務を標準化し、それ以外の細かい部分を切り捨てるものと勘違いされている部分があります。確かに標準化という一面も大事ですが、それだけでは不充分なんです。特に日本のビジネスでは、顧客の要求水準が高く、柔軟なかゆいところに手が届く対応が求められます。標準機能だけでは対応できない顧客のニーズにどう対応していくか、という点がビジネスの勝敗を分けることさえあります。効率化だけを求めて標準化を推し進めれば、国内のコンペティターには間違いなく敗れるでしょう。

 例えば、わかり易く、在庫の引当融通という機能を例に考えますとね、今手元に100個の在庫があるとしましょうか。そのうち40個に発注があり、月末には引き渡すことが決まっている。つまり40個は引き当てられていて、60個が販売待ちの状況です。ここに、新たに大事なお客様から80個の発注が入り、来週末までに欲しいとしますね。これを単純に考えると、80個に対しフリーの在庫は60個ですから、お客様の要請に応えられない。済みません、ということになります。ですが、本当にそれで済ませるわけにはいきませんよね。計算上は足りなくても、月末に引き渡す予定の40個から、足りない20個を取り敢えず融通して対応する。これで在庫が20個に減っても、月末までにあと20個以上の製品が出来上がってくるなら、両方のお客様のニーズをみたすことが出来ますからね。

 こういったことは、当たり前のように行なわれているし、またコンペティターも対応している訳です。これをお断りしていたら、商売にならない。

 ERPパッケージは、いわば既製服です。しかし既製服に合わせてすべてのビジネスを標準化することは、今お話したように日本のビジネス形態にはなじみません。かといってすべてをカスタム対応したのでは、何もなりません。どの部分を標準化し、どの部分にカスタム対応を施すか、その切り分けがキーポイントになります。今行なっている業務を整理するか、パッケージに盛り込んで対応するか、全てのケースにつき判断をしないといけませんから、それはもう大変です。現場レベルでユーザ部門の人達と議論を重ね、標準化すべき業務とカスタム対応すべき業務を判断していきました。

 つまり、システムの全面入れ替えに、このような作業がセットになっている。業務改革といわれるのは、単にシステムが変わり、入力方法や、画面が変わるということだけではないんですね。

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