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2008年07月16日

経営革新を支える日本のCIO

【CIOインタビュー】電子自治体の実現とは何を削減することなのか(前編)--長崎県 島村氏

6月27日に閣議決定された「経済財政改革の基本方針2008」では、2008年内に地方自治体に対する国の法令による義務付け・枠付けの見直しの検討を進めるとともに、税源移譲を含めた税源配分の見直しを行い、2009年度中に「新分権一括法案」を国会に提出する旨が盛り込まれた。地方行政のあるべき姿が模索される中、ITが果たすべき役割とはどのようなものなのか?地方自治体のCIOが果たすべき役割は?長崎県 総務部理事(情報政策担当)の島村秀世氏に話を伺った。

オープンソースソフトウェアの活用で地場企業にスポットライト

島村秀世氏

長崎県
総務部理事(情報政策担当)
島村秀世氏

──長崎県の情報政策担当に就任されて8年になるということですが、長崎県におけるIT戦略やその成果を簡単に紹介していただけますか?

 私が情報政策担当に就任して経費も大幅に削減しましたが、最も大きな成果と言えばやはり地場企業が多く参入するようになったことだと思います。自治体のITのほとんどは、大手ベンダーさんで占められています。長崎も例に漏れずまったく同じ状況でした。そんな中で知事から、地場企業を使ってほしい、さらに経費も下げてほしいと依頼されました。もっとも「地場企業を使ってほしい」というのはどこの知事さんもおっしゃることなので、「地場企業も参加させてほしい」という程度の意味だったと思います。しかし、私は「参加する」だけでなく、地場企業に勤める社員が5年後や10年後にも地域に根ざしてちゃんと食べていけるだけの力を付けてもらいたいと考えました。

──オープンソースソフトウェア(以下、OSS)を積極的に利用されていますが、それも地場企業の活用と関連するのでしょうか?

 OSSを採用したのは、コスト削減が1番の理由です。ただ、それだけではなく、大手企業と中小企業が同じ土俵に立てる点も理由の1つでした。OSSは明確な提供者がいません。責任の所在が明確でないものはあまり使いたくないという風潮が当時の大手企業にはまだありました。その一方、地方の中小企業は、金銭的負担なしに使えるというメリットを活かして、OSSに積極的に取り組んでいました。

 このようにOSSの活用は、地場の企業と大手企業とが同じ土俵に乗るチャンスだったのです。地場企業の活用というと、大手企業と一緒になって取り組んでいく話が出ますが、それでは中小企業の自立にはつながりにくいのではないかと思います。自立してもらうためには対等な立場で仕事ができるようにならないといけません。

──そうして地場企業とともに築いたのが、「ながさきITモデル」という訳ですね。システム上の特徴をいくつか紹介していただけますか?

 他の自治体のシステムと大きく違うのは、事務処理を統合的に行えるという点でしょう。すべてのシステムが1つのデータベースを中心に稼動しているので、各システム間ですべての情報を連携できます。今のシステムは、かつての汎用機の時代と違い、随意契約に変わって入札により調達するため、システムごとにベンダーが異なります。もし、ベンダー依存の体質のままに甘んじていたら、設計思想もデータ連携の考え方もシステムごとに異なったものになってしまいます。そうすると、たとえば休暇システムと電子決裁システムと文書管理システムを相互に連携しようとしても、その作業は非常に複雑、困難を極めます。長崎県の場合、1つのデータベースを色々なシステムから利用しているので、すべてのシステムが他のシステムの作ったデータと自由に連携できます。OSSを活用することで、ベンダーに依存せず、しかも自由に連携できて、コストは半額程度にまで下げられました。

 この長崎県で作った電子県庁システムはさらにOSSとして公開しています。他の自治体さんでこれを使ってもらえれば、もっと低いコストで導入できるでしょう。たとえば徳島県がすでに導入を試みていますが、コストは想定の1/5〜1/6程度になりそうです。

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