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  • 2008/10/29 掲載

【民主党藤末氏コラム】今こそ株式市場の抜本的な活性化政策が必要 イギリスISA制度を日本に導入せよ!

連載『ふじすえ健三のビジネス+IT潮流』 

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サブプライム問題に端を発した世界的な株安は日本の株式市場も例外ではなく、10月27日にはバブル後の最安値を記録した。各国政府からさまざまな政策が発表されているが、下落トレンドが反転する兆しは見えていない。では、どのような政策が有効なのか、注目されるイギリスのISA制度とは

アイアンふじすえ

アイアンふじすえ

藤末健三(フジスエケンゾウ)
民主党参議院議員
元総務副大臣 元参議院総務委員長

株式市場の下落

 10月27日、日経平均株価は、バブル後の最安値を更新し、7,000円を割った。
今、世界で株価が軒並み暴落しているが、わが国の株価下落の要因として、「外国資本が市場から撤退している影響が大きい」と、何人かの金融関係者から聞いた。

 実際に調べてみると、東京証券取引所では、銀行など金融機関や事業法人の株式保有比率が低下する中、外国人の保有比率が上昇しており、2007年には金額ベースで3割程度が外国人の保有となっている(言い換えると日本企業が支払う配当は3割が外国に行くことになる)。

 一方、個人が保有する株式は1970年の約40%から半分以下の18.2%まで落ち込んでいる。 図:我が国の投資主体別株式保有比率の推移(金額ベース:東証データ)

ふじすえ健三氏
図:我が国の投資主体別株式保有比率の推移(金額ベース:東証データ)


 また、株式の売買比率(売買代金ベース)を見てみると6割を外国人が占める一方、個人の割合は低下している。これは株価に対する外国人の影響が大きいことを意味する。

ふじすえ健三氏
図:我が国の投資主体別株式売買比率の推移(委託売買代金:東証データ)


個人の資金を株式市場に

 株価の下落は、企業のバランスシートを崩し、景気の足を大きく引っ張るものであるが、私は今こそ個人の資金を市場に入れるチャンスではないかと考えている。日本の個人金融資産は、なんと1,500兆円もあり国民総生産の約3倍だ。しかしながら、現預金の割合が極めて高く52.0%、株式・投資信託の割合は依然として低い9.3%という状況にある。

 この資金が株式市場に流れれば、株価も上がり、株主にそして企業にも大きなメリットが生まれてくると考える(配当も海外流出しない)。

ふじすえ健三氏
図:家計の資産構成(出典:日本銀行「資金循環統計」)


イギリスのISA制度を日本に

 では何をすればいいのか?
ひとつの回答がイギリスにある。

イギリスでは1999年に『毎年7200ポンド(約154万円)までの投資への配当・譲渡益等を非課税とする個人貯蓄口座(ISA:Individual Savings Accounts)制度』を導入している。これにより小口の株式投資が急激に増えている。

ふじすえ健三氏
出典:金融庁資料から抜粋


 これと同様に、小口投資家向けに、毎年一定額まで(例えば200万円)の上場株式等への投資に対する配当を非課税としてはどうかと考える。

そうすれば、小口の投資家がわが国も増え、株価の安定と企業収益の国内への確保が可能となる(このようなことを書くと国粋主義かといわれるかもしれないが、労働人口が減る中、資本収益は国にとって重要だ)

「金持ち優遇」との批判は当たらない

 株主を優遇するというと、「金持ち優遇」と批判を受けるが(すでに同僚の議員からその指摘あり!)、それは違う。

株式・投資信託等の投資家は、約7割が年収500万円未満の者であり、特に、近年、投資を増やしているのも同じ階層となっている。また、年間200万円と上限をつけることにより、高額投資には優遇措置を行わない(金持ちの逆差別と批判されることになるが)。

ふじすえ健三氏
出典:経済産業省資料


株主至上主義に対抗すべく「社員持ち株」も優遇すべき

 私は、このイギリスのISA制度が日本の市場を再活性化する起爆剤になる可能性を持っていると考える。

また、同時に「社員の持ち株組織」にもより大きな枠組みの税制優遇措置(たとえば、会社の株式の一定割合の購入までを非課税)を導入すべきだと考えている。

それは、現在、「会社は株主のもの」という私からすると間違った哲学のもとに会社制度が作られている。会社はそもそも「働く社員、顧客、関係する企業」といった経済活動のためにあると考えるが、実際には金融活動のためにあるものとなっている。この状況に対応するためにも、社員が株主として会社を保有することを助長する仕組みが必要だと考えている。
何はともあれ、、ISA制度の導入を提案していきたい!!

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