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2008年12月08日

外食産業IT化(1)グローバルな標準規格による外食産業・小売業界のIT化

日本に本格的な外食産業が誕生して30年あまり。その間、多様化するニーズと社会変化に伴い、外食産業は大きな変遷を遂げた。情報システムの発展により、IT化の波も押し寄せた。とはいえ現実はまだITの恩恵を十分に享受できていないのが実情だろう。外食産業は接待が主体となるため、どうしてもIT化とは疎遠なイメージもある。しかしPOS、オーダーシステム、各種機器類などが結び付き、今後もIT化がさらに進展するものと予想される。そのために業種を超えたオープンな標準規格が必要だ。外食産業のIT化はどこまで進展するのか?本連載では、国内外における外食産業のIT標準化の動向について紹介する。



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今なぜ外食産業・小売流通業向けにIT技術の標準化が必要なのか

リチャード・メーダー氏

写真1
米国ARTS(Association for Retail Technology Standard)
エグゼクティブ・ディレクター
リチャード・メーダー氏

 国内において現在、外食企業システムのインタフェースの標準化を中心に活動している団体に「OFSC(Open Foodservice System Consortium)」がある。OFSCの詳細については後の連載で述べていきたいが、先ごろ開催されたOFSCの全体会合で、米国ARTS(Association for Retail Technology Standard)のエグゼクティブ・ディレクターであるリチャード・メーダー氏(写真1)が招聘され、「標準が変える外食・小売業の企業システム」〜ARTS標準の全体像〜をテーマに講演が行われた。そこで連載1回目では、特に海外で進む、外食産業・小売流通業におけるITの標準化動向について、その動向を見てみよう。

 ARTSは全米小売業界・NRF(Natinal Retail Federation)の一組織で、外食産業・小売流通業向けのIT技術の標準化を進めている。ARTSの活動は1993年から始まり約15年間で合計207社、そのうち半数が米国以外のメンバーという構成で、グローバルな標準を支えている。

 今なぜ外食産業・小売流通業向けにIT技術の標準化が必要なのであろうか。外食産業を外部環境からみると、金融危機以前から、日本などでは「外食離れ」が進み、デパ地下をはじめとする「中食」の台頭などもあって、市場規模は1997年の29兆円から、減少、あるいはほぼ横ばいだ(日本フードサービス協会発表資料より)。直近では2008年10月の外食売上高は、既存店ベースで前年同月比0.6%減になっている。

 また、内部環境をみると、少子高齢化に伴ってアルバイトの確保が困難になっているほか、外食最大手のマクドナルドをはじめ、みなし管理職問題などで、人離れが指摘されている。日本フードサービス協会によれば、それでも低価格のファーストフードや喫茶店は堅調なのに対し、単価が高いファミリーレストランなどは苦戦を強いられているのである。

 ますますコスト削減、業務効率化が求められる中、それぞれ専用のITシステムを発注していたのでは、大幅なコスト削減は見込めない。そうした中、注目されているのが「標準化」なのである。

 まず、標準化によって複数の端末を1つにまとめられるようになる。これだけでもIT投資コストを少なくできる。またプラットフォーム/ベンダーに依存せずリスクを軽減し、さまざまな選択肢からベストオブブリードの最適解を探せるメリットもある。変化に素早く対応できるシステムを開発するために、標準となるIT基盤が必要なのである。

ARTS標準を支えるIT技術の4本柱とは?

 こうした中、ARTSはグローバルで標準化を進めている。ARTSでは「リレーショナル・データモデル」「UnifiedPOS機器接続標準」「ARTS−XML標準XMLメッセージ」「標準提案仕様書(RFP:Request For Proposal)」の4つの標準を推進しており、各小売業、外食産業、アプリケーション開発、機器メーカーなどの業界に対し、幅広く会員の門戸を開いている。

 リレーショナル・データモデルは、小売業務などに必要なすべてのリレーショナルデータベースの設計を可能にするもので、データ収集と統合のための青写真や、データ形式で表現された小売業のベストプラクティスを提供する。具体的には約600種類のデータテーブルや4500個のデータ要素がある。米国ではマクドナルド、バーガーキングや、GAP、トイザラスなどの大手企業が、このデータモデルを作成して利用している。

 UnifiedPOS機器接続標準は、バーコードリーダー、POSキーボード・プリンター、紙幣入集金機、自動つり銭機など36種類の周辺機器に対し、すでに実装までが行われている。UnifiedPOSは、UML(Unified Modeling Language)で定義されており、アプリケーションの振る舞いに関する手引きとなるもので、導入先のプラットフォームに実装する。現在、UnifiedPOSには「OPOS」「JavaPOS」「POS for .NET」という3種類の標準が用意されている(図1)。OPOS準拠のPOSアプリケーションはWindowsにのみ対応するが、JavaPOSはWindows、Linux、Solarisといった各種OSやブラウザなど基本的にすべての環境に対応する。さらに最近ではUnifiedPOSを拡張した「RAPOS」(Remote Access POS)へと標準化が進んでいる。RAPOSには「WAMPOS」(Web Accsess Model POS)と「WS-POS」(WebService-POS)があり、Webサービスも合わせて利用できるように柔軟性を持たせている。


図1
UnifiedPOSには「OPOS」「JavaPOS」「POS for .NET」という3つの標準がある。最近では、UnifiedPOSを拡張した「RAPOS」へと標準化が進み、Webサービスを利用できる方向になってきた



 次にARTS-XML標準では17のXMLスキーマが公開されている。「これらは合計76カ国、合計3万件以上のダウンロード実績があり、グローバル標準になっている(メーダー氏)」。ARTS-XMLを利用すれば、短時間でマルチベンダーの複雑なアプリケーションを簡単に統合できるのである。また、SOAに対するARTのサポートについても触れた。SOA(Service Oriented Architecture)はアプリケーションに柔軟性と容易な統合を提供する、標準に基づいた考え方だ。SOAの目的は、素早い対応、統合性、再利用可能なビジネス論理、チャネルとプラットフォームの透明性(見える化)などにあり、翻ってみればARTSが以前から進めてきたことでもある。ARTSとSOAの関係は「いわばコーヒーとクリームの関係」で、SOAを実現する各種ドキュメントも用意されている。

 また、提案依頼標準では倉庫管理、サイン認証とオンラインデビット、POSアプリケーション、労務管理、価格最適化、MDM(マスターデータ管理)などのライブラリが数多く用意されている。これらのアプリケーションを理解することで、実際にシステムをうまく構築できるようになる。

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