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  • 2008/12/12 掲載

【ITが実現するノウハウマネジメント:第1回】衆知結集システムで研究開発の知的生産性を向上させる

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ノウハウは、人・モノ・金・情報に次ぐ、経営の第5のリソースである。ノウハウをマネジメントすることで、経営革新の新しい扉を開くことができる。先行企業では、ITを用いてノウハウマネジメントを支援し、革新を進めている。本連載では、ノウハウマネジメントとこれを支援するシステムの事例、背景にあるノウハウマネジメントの考え方を紹介していく。

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役
経営コンサルタント

大手コンサルティング会社を経て、現職。
製造業、情報サービス業などの、事業戦略、IT戦略、新規事業開発、業務革新、人材育成に関わるコンサルティングを行っている。
公益財団法人 大隅基礎科学創成財団 理事。
関連著書『正しい質問』アマゾン、『イノベーションのリアル』ビジネス+IT、『ダイレクト・コミュニケーションで知的生産性を飛躍的に向上させる 研究開発革新』日刊工業新聞、等

アクト・コンサルティング
Webサイト: http://www.act-consulting.co.jp

衆知結集システムで研究開発の知的生産性を向上させる

 第1回、第2回では、「衆知結集のシステム」を紹介する。まず今回は、研究開発部門の知的生産性を向上させるノウハウマネジメントと、これを支援するグローバルネットワークシステムである。

ノウハウマネジメントとグローバルネットワークシステム

 あるメーカーで、研究開発の知的生産性を向上するため、過去にいくつもの実績を上げた有能な研究開発者からノウハウを抽出した。その結果、有能研究開発者の多くが、社内外の知恵を結集するという行動を起事業部など他部門の有識者、顧客キーマン、異業種の有識者とダイレクト・コミュニケーションを行うことで、新たな視点を得、仮説を充実させ、妥当な研究開発の方向を定めることができるのだ。

 またダイレクト・コミュニケーションは、研究開発で発見した新しい特性やメカニズムの価値を考えるために有効である。発見したモノをもって社内外の有識者とディスカッションすることで、一人で考えていては決して発想できない新たな適用先、適用方法、そこでの価値を見抜くことができるようになる。

 さらに、ダイレクト・コミュニケーションによって、ブレークスルーや創造のコツやヒントを得ることができる。他の研究所で聞いたボトルネック解決方法から新たな視点を得て、自分のもっている課題解決の糸口を得ることができるのである。

 このようなことができる背景には、有能研究開発者が、一般の研究開発者と比較して、充実した仮説をもっていることがあげられる。どのような研究開発者でも、研究開発の成果やボトルネックと解消方法などに関わる仮説をもっている。ただし有能者の仮説は、仮説項目の数、オプションの数、実現性や将来の読みの深さの3点で、一般の研究開発者よりもはるかに充実している。このような徹こしていることがわかった。

 ブレークスルー、創造は、触発によって引き起こされる。腕を組んで考えているだけでは、新しい着想は生まれない。思考は堂々巡りする。そこで有能者は、社内外の知恵を結集している。つまり、社内外の有識者とダイレクト・コミュニケーション(直接会って議論する)を行い、新しい視点、触発材料を得、これをもとに自分の頭脳を活性化するのである。直接人に会って話をすると、当事者として主体的に思考し、互いに刺激を与えながら考えることができる。また、インターネットや紙面から得られる情報に比較すると、相手の顔の表情や身振りなど、直接会って議論することによって得られる情報量は膨大である。有能研究開発者の中には、まったく人脈のない社外の有識者に、アポもなく飛び込みで会いに行き、そこで新しい着想を得、革新的な技術を開発したといった人物が多くいる。

 ダイレクト・コミュニケーションによって、まず研究開発の仮説の質を上げることができる。ボトルネック、その解決策、有効な差別化方法、革新的な原価削減策…。これらを実現するための仮説は、一人で考えていても良い発想はできない。多くの仮説オプションを考えることは難しい。そこで、同僚や異分野の研究開発者、事業部など他部門の有識者、顧客キーマン、異業種の有識者とダイレクト・コミュニケーションを行うことで、新たな視点を得、仮説を充実させ、妥当な研究開発の方向を定めることができるのだ。

 またダイレクト・コミュニケーションは、研究開発で発見した新しい特性やメカニズムの価値を考えるために有効である。発見したモノをもって社内外の有識者とディスカッションすることで、一人で考えていては決して発想できない新たな適用先、適用方法、そこでの価値を見抜くことができるようになる。

 さらに、ダイレクト・コミュニケーションによって、ブレークスルーや創造のコツやヒントを得ることができる。他の研究所で聞いたボトルネック解決方法から新たな視点を得て、自分のもっている課題解決の糸口を得ることができるのである。

 このようなことができる背景には、有能研究開発者が、一般の研究開発者と比較して、充実した仮説をもっていることがあげられる。どのような研究開発者でも、研究開発の成果やボトルネックと解消方法などに関わる仮説をもっている。ただし有能者の仮説は、仮説項目の数、オプションの数、実現性や将来の読みの深さの3点で、一般の研究開発者よりもはるかに充実している。このような徹底的な仮説の突き詰めによって、不明・情報不足な点が明らかになり、またどこの誰が関連する知見・情報をもっているかを想定できるため、「行って聞かざるを得ない」という使命感が醸成できるのである。

【マネジメント】

図1:有能者は、仮説を徹底的に詰める

 左図は、有能な研究開発者と、一般の研究開発者の間で、仮説を詰める度合いにどのような差があるか調査した結果である。

 ダイレクト・コミュニケーションの推進は、情報システムによって支援することができる。特に、事業活動や研究開発拠点がグローバルに、あるいは国内においても地域的に広がった企業では、情報システムの支援がなければ、十分なダイレクト・コミュニケーションを行うことは難しい。






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