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2009年02月16日

武蔵大学経済学部 准教授 黒岩健一郎氏

【市場志向型経営の構図 第5回】マーケティング・リテラシーの向上プロセス

前回は、マーケティング・リテラシーを高める3つの要因について解説した。それらは、トップマネジメント要因、部門間ダイナミクス要因、組織システム要因であった。では、これらのどれからどのように手をつけていけば、マーケティング・リテラシーは向上するのだろうか。今回は、マーケティング・リテラシーを向上させるプロセスを説明する。

執筆:黒岩健一郎

意識改革

 組織のマーケティング・リテラシーの向上とは、「顧客満足度調査の実施」や「市場情報の共有のための会議の実施」「顧客への迅速な対応」といった行動面が整うことを意味する。組織がそうした行動をとることができる状態になるには、土壌を整える必要がある。

 いきなり仕組みを導入してもうまくいかない。まずは、従業員の意識、ひいては組織文化まで変えなければならない。特に、製品志向や販売志向だった組織にとっては、パラダイム・チェンジとも言えるような従業員の意識変革が必要になってくる。

 人の意識を変えるのは、非常に難しい。製品志向や販売志向で長期間うまくいっていた組織であれば、これまでの考え方・行動規範に疑いを持たないだろう。また、情報収集にもそれまでの考え方が影響する。これまで製品志向だった組織の従業員は、製品にかかわる技術情報に敏感だろうし、販売志向の組織の人たちは販売手法やノルマなどに目がいってしまうだろう。顧客ニーズには注目が集まりにくい。さらに、収集した情報の解釈にも、これまでの考え方が反映される。例えば、製品志向の組織が、他社製品の売上の伸びを察知したとき、その理由は技術にあるのではないかと考えがちだ。

 さらに、たとえ従業員の一部がマーケティング・リテラシーの重要性を認識したとしても、他の従業員にそれを納得させるのは難しい。組織の中でそれを主張すれば、大多数の反発を受けるだろう。そもそも、日常業務も忙しいのに、上司からの命令でもない限り、追加的な業務を推進しようという気持ちには中々なれないものである。

 万一、マーケティング・リテラシーを推進することになったとしても、変革によって既得権益を奪われる人は、政治的な行動をとるだろう。会社にとって良いことと分かっていても、自分にとってマイナスになることは、できるだけ避けたいと思うのは自然なことである。

 このようなさまざまな困難を乗り越えるためには、従業員の意識の変え方に工夫が必要だ。急激に変化させるのではなく、4つの段階を経るのが有効と言われている。順を追って見ていこう。


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マーケティング・リテラシーの向上プロセス




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