 | 横浜市長 中田宏氏
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シンポジウムは、コーディネータの國領氏の質問から始まった。國領氏が基調講演で述べた政府「IT戦略本部」の「i-Japan戦略2015」の目指す社会の実現には、自治体の取り組みやその声の反映が不可欠とし、その上でそれぞれの自治体でのIT化や情報管理の取り組みについて尋ねた。
大都市であるがゆえにIT化できない面も--横浜市 横浜市長の中田氏は、先般の定額給付金の事務処理を例に挙げ、367万人をかかえる巨大な自治体であるがゆえに、IT化による事務効率の向上は急務であり、自治体内部でのニーズも高いとした。行政サービスのいくつかはオンラインで受けられるようになっており、たとえば、粗大ごみの収集依頼(約10%:オンライン利用率、以下同)、職員採用の受付(約40%)、図書館の貸し出し予約(約72%)、市の設備・施設の利用予約(約90%)などがオンラインで可能だそうだ。
しかし、その半面、大都市であるがゆえに全体をIT化できない現実もあるという。多様な市民のニーズやレベルに合わせるため、IT化しない部分を残しておく必要があるからだ。IT化は必要としながらも、現実的にはさまざまな問題で完全対応は不可能で、レベル分けなど選択肢を残す必要性があると述べた。
デジタルデバイドが存在、手続きの課題も--藤沢市 続いて、藤沢市長の海老根氏が発言。藤沢市は国が選定する「電子自治体」の全国1位に選ばれている。その理由は、市民主導の電子会議室(「電縁都市」という)を運営している点と、電子バリアフリーを実践している点にあるだろうと述べた。電子会議室は、慶應大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)の学生らの協力で設置され、行政サービスや自治体の政策についての議論が、市民主導で行われている。電子バリアフリーは、障害者でも仕事や行政サービスを受けやすいようにというIT化の取り組みだ。
しかし、40万都市の藤沢市でもデジタルデバイド(情報格差)の問題は存在するという。行政サービスでもひとつの届け出に対して複数の窓口で類似の手続きが必要だったりと課題はあるという。
国との関係の中でどのように地方自治を維持するのか--杉並区 杉並区長の山田氏は、自治体として住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)への接続を拒否していた経緯から、国は悪意がなくても上から目線で指示や指導をしてくると述べ、手続きの簡素化などについて、自治体からの働きかけと実績の積み上げが重要であるとした。
住基ネット導入時に、国は自治体の要望があったので、という説明をしていたが、実際に調べてみると、そのような要望や発言をした自治体は存在しなかったそうだ。このような市民や自治体からの検証作業、ボトムアップをもっと広げたいという認識だ。