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  • 2009/10/26 掲載

Twitterとは何か? まったく新しいコミュニティツールの基本とその可能性【2分間Q&A(60)】(2/2)

Twitterならではの情報伝播の仕組み

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Twitterならではの情報伝播の仕組み

 これまでに説明してきた通り、Twitterでは、それぞれ自分がフォローしている相手のメッセージをタイムライン上にどんどん表示する。相互にフォローし合っていれば、チャットのような感覚でメッセージ交換もできる。だが、これだけでは、フォローしている相手だけで完結してしまい、それ以上の広がりは望めない。フォローされている数(これをフォロワー数という)が多い著名ユーザーの発言ばかりがTwitter上に拡散するだけだ。

 しかし実際には、Twitterの情報伝播はフォローの有無にかかわらず、Twitterネットワーク全体に拡散している。これを実現しているのが「リプライ(応答)」と「リツイート(再投稿)」という仕組みだ。

 リプライは、自分がフォローしている相手のメッセージにコメントを付けたり、呼びかけたりする時に使う。もし、相手が自分をフォローしている場合、メッセージの先頭に「@ユーザー名」を付けて送信すると、そのメッセージが相手のタイムラインに表示される。つまり、単なるフォローの関係を超えてメッセージが伝わる、というわけだ。

 さらに「リツイート」は、自分がフォローしている相手のメッセージを選んで、「RT @ユーザー名 相手のメッセージ」と記入することで、自分のアカウントで再投稿するものだ。気になる情報や興味深い記事をいわば引用する仕組みだ。この投稿は自分をフォローしているユーザーのタイムラインと、リツイート元のユーザーのリプライメッセージ項目(@<ユーザ名>)に表示される(図5)。そのため、まったくフォローしていない情報を発信するユーザーの存在を知り、そのユーザーの発信が興味深いと思えば、新たにフォローすることにもなるし、また逆に誰かにリツイートされて、フォロワーが増えることもある。

図5 リツイートによる情報伝播の仕組み

※クリックで拡大

 これらの2つの機能によって、フォローというユーザー同士の関係を超えて、メッセージを広く伝播させることになる。多くのTwitterユーザーが関心を持つような製品や新サービスが、リツイートで爆発的に広まる例も多い。

 なお、リプライやリツイートは、見知らぬ相手であろうが気軽に投稿しても構わないし、呼びかけられたユーザーはいつ返答しても構わない。そのリプライに返答しなくても許される。それがTwitterならではの「ゆるい」コミュニケーションの特徴だ。

 これらはTwitter社が定めたルールではなく、これまでTwitterユーザーが暗黙のうちに築き上げてきたローカルルールだ。皆が自由にリプライやリツイートを繰り返すので、ユーザー全体にさまざまな情報が瞬時に伝わる。これがTwitterネットワークの画期的な特徴と言えるだろう。なお、リツイートの機能は、リプライ機能と違って、もともと正式にサポートされたものではなく、ユーザーがTwitterの特性を応用して広まったものだ。Twitter社ではリツイートの正式サポートを予定しており、将来的に仕様が変更される可能性もある。

1年半で100万ドルを売り上げたデルのTwitter

 発展を続けているTwitterネットワークは、マーケティングやプロモーション利用を中心に、多くの企業が参入している。特に大きな成果を挙げているのが米デル社だ。同社は、2007年3月から自社アカウントをいくつも取得し、アウトレット製品のバーゲン情報をTwitterで発信。ユーザーからの相談や問いかけにも応じている。デルコンピュータによると、過去1年半で100万ドルの売上をあげたという。ちなみに、デルのアウトレット情報をフォローしているユーザーは、2009年10月14日時点で130万人を超えている。

 もちろん、Twitterに参入しているのはメーカーばかりではない。ウォールストリートジャーナルやCNNといったメディアやWebサービス、各種ショップなど、多岐にわたる。このようなビジネス利用は日本でも始まっており、大手では日本IBMやシスコなどのコンピュータ企業、ヤマハ発動機や日本コカコーラなどが情報発信を開始している。今では、新聞社、放送局や出版社、ショップ、地方公共団体など、あらゆるジャンルに広がっている(図5)。

図5 Twitterを利用する主な日本企業(フォロワー数は2009年10月15日現在)
企業名用途フォロワー数
朝日新聞社ニュースヘッドラインを機械的に自動発信159662
毎日新聞社ニュースを一言コメントで紹介、メインサイトへ誘導149028
NHK番組情報を配信5760
TBSブタのキャラクターでユーザとの交流を図る2898
Yahoo!JAPAN Shoppingショップ情報やニュースなどをランダムに配信122680
デル日本製品情報、キャンペーン情報の配信など5998
福助製品情報の発信、Twitter限定キャンペーンの実施など2654
日本IBMプレスリリースの配布2084
青森県庁県庁からのニュースやお知らせを配信1441
日本コカコーラキャンペーンと連動し、イベントの中継など(終了済み)1268
ヤマハ発動機販売バイク関連の更新情報、レース情報などを発信885
ヤマハ発動機レース情報レース情報などを配信487

 また、マーケティング視点でのアプローチも始まっている。元々Twitterには検索の仕組みがあり、自社製品名などを検索すれば、ユーザーの生の声をブラウズすることができる。ホットリンク社のように口コミの伝播を可視化する技術を開発し、企業のマーケティング活動を支援するサービスの提供を開始しているところもある(図6)。

図6 ユーザーと口コミの伝搬図を作成するホットリンク社のサービス。
どのようなキーワードで情報が広まったかが一目でわかる

(出典:ホットリンク)

 しかし、日本でのビジネス利用はまだまだ手探り状態、というのが現実だ。販売促進や自社サイトのプロモーション・誘導などが主たるもので、具体的な売上や集客につながった、という事例は乏しい。現在は、自社へのフォロワーをどう増やすかを課題とする企業が目立つ。実際、つまらないとユーザーが判断すれば、すぐにフォローを外されてしまうのだ。

 日本でのTwitterユーザーの全体数は、先述した通り78万人と、米デル社のフォロワー数よりも少ない規模にすぎない。米国では4000万人にのぼるとみられるユーザー数と比較すれば、まだまだ市場的にも小さく、先進的なユーザーが多くを占める発展途上のネットワークだ。

 日本での認知度が上がったとはいえ、2009年7月の段階ではわずかに16%に過ぎないという調査結果も出ている。そのため、現在のTwitterの世界をマスとして捉えるのは時期尚早なので、それなりの戦略で望む必要があるだろう。また、米Twitter社の収益モデルも確立しておらず、依然赤字状態だといわれる。今後Twitterがどのように発展していくのかは不透明で、何度かサービス障害も報告されている。

 早期に参入して多くのフォロワーを獲得している企業は、米デル社のようにTwitterの発展とともに多くのメリットを享受できる可能性はあるだろうが、人員を積極的に割くなど、それなりの投資も必要になる。いずれにせよ、Twitterユーザの数は増えていることは間違いなく、今後は巨大なコミュニケーション・インフラに発展する可能性は十分にある。その動向だけは注目しておく必要があるはずだ。


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