【2009年10月21日 00時00分 更新】

Linux創始者リーナス・トーバルズ氏が来日、クラウドなどについて語る

Linux創始者として著名なリーナス・トーバルズ(Linux Torvalds)氏が、The Linux Foundation主催のイベント「Japan Linux Symposium」の開催に合わせて来日し、報道関係者向けの質疑応答に応えた。リーナス氏のほか、日本のLinux普及にひと役買ったテクニカルアドバイザリボードのジェームズ・ボトムリー(James Bottomley)氏も回答。Windows 7やクラウドにも言及したQ&Aセッションの要旨をご紹介する。


リーナス・トーバルズ氏


──Linux開発でもっとも苦労した点は?

リーナス氏 非常に多くの人が開発に携わる中、整合性をとって、継続していくことを考えることが苦労というより、面白かった点だ。18年間同じようなことをやってきたが、多様な人々といかに協力できるのかを考えていた。

ジェームズ氏 リーナスにいかに苦労させるかという点だろう(笑)。日本は世界とはまた違った視点が必要で、たとえば組み込みなど、他の地域では使われていない分野での利用をリーナスやコミュニティに気づきを与える点が重要だった。(オープンソースソフトウェアの開発手法は)日本にカルチャーショックを与えることになったが、メーリングリストで真実を語り合うことや、徹底的に議論を交わすことで、現在では日本の開発者がトップメンテナーとして、今回のシンポジウムでも登壇している。

──Linuxカーネル開発の継続性についてどのように考えるか?今後10年先、15年先もこの開発手法は続いていくのか

リーナス氏 先のことはわからないが、これまでも急速に開発人員が増え、開発が複雑化したときも、開発手法を随時変えていった経緯がある。大体のところ良い形で進んでおり、その意味では心配はない。

──オープンソースソフトウェアの開発手法(バザール型開発)は他の分野でも使えるか?

リーナス氏 オープンソースソフトウェアの開発手法が特別なものであるとは考えていない。確かにエンジニアリング分野での取り組みは目新しかったのかもしれない。しかし、いろいろなことがいろいろな圧力のもとで行われており、より多くの存在(Entity)が、それぞれ独自に働き、発達していくのは、生物の進化と同じだと言えるからだ。

ジェームズ氏 人類の歴史はコラボレーションの歴史だ。ただときに、それを統制しようとする存在が出てくることもある。こうしたときに求められるのは「オープン」であることだろう。

──Linuxの良さとは何だと考えるか?

リーナス氏 明確な目的や目指すゴールがある場合、(Linuxのような開発手法は)正しいやり方ではない。効率的だとも思わない。しかし、今Linuxをゼロから作ろうとすると、108億ドルかかるという試算がある。この負荷を、多くの個人や企業が分担することで、1つ1つの負荷は低減される。そのためにも多くの人々が参加できるようなグローバルなものでなければならない。

ジェームズ氏 たとえば2つの違った方向性で議論になり、どちらに進むべきか判断する必要があるときに、何を選択されるにしても、改善された点を公表していくことが必要だろう。先の例でいえば、両者が議論することで、当初案よりも良いものが生まれたこともある。時間がかかっても、良い解決策であれば人々は共有し、マージし、浸透していくだろう。


ジェームズ ボトムリー氏


──クラウド時代のOSの役割についてどのように考えるか?OSの役割は小さくなるのか?

リーナス氏 端末側は小さくなっているが、OSに求められる役割は決して小さくなっていない。クラウドは、あらゆる個所に点在する多様なサービスを利用することだ。そのためには、小さなデバイスでも、大きな利用要件が求められるこの新しい利用形態にわくわくしているが、これに合わせてOSに対して変更を加えていかなければならない。

ジェームズ氏 クラウドの世界では、より柔軟性の高いOSが求められる。すでにクラウド上でLinuxは多く利用されているのは、こうした点が評価されている点にほかならない。

──明日22日には、マイクロソフトから新しいOS「Windows 7」が発売されるが、どのようにみているか?

リーナス氏 わたし個人のポリシーから、(Linuxと)他のOSを比較しない。Linuxをビジネスで売り込む人たちは考えなければならないかもしれないが。わたしは次のLinuxをどうすればよいのかを考えている。明日Windows 7が発売されるということも今知った(笑)。

ジェームズ氏 すでにLinuxはデジカメやTVなど数多くの機器に採用されており、静かに、そして効率よく動作する。一方でWindows 7には多くのスタックがあり、カーネル部分だけを抜き出して使うのは簡単ではない。

──組み込み分野での取り組みと課題について

リーナス氏 これまでの組み込み分野で課題だったのは開発モデルだ。1つの製品のためにソフトウェアを開発していたため、再利用できるコンポーネントがなく、継続性に欠けていた。その結果、ソフトウェアの改善以上に、ハードウェアの改善が進み、いまはPC向けのパーツがモバイル端末などにも利用されるようになった。そのため、Linuxと組み込み分野の開発が一緒に仕事をやりやすくなったといえる。

ジェームズ氏 Linuxであれば、高度なコンフィグレーションが行える。大規模環境に求められるような機能を削いで、フットプリントを小さくできる。

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