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2010年06月09日

スマートフォンは役に立つのか?

中堅中小企業に最適なスマートフォンの活用方法とは:中堅・中小企業市場の解体新書(16)

「スマートフォン」という言葉を見聞きする機会が多くなったと感じる読者は多いだろう。ソフトバンクモバイルのiPhone(アイフォーン)、NTTドコモのXperia(エクスペリア)など、テレビCMでの露出も急速に増えてきた。IT企業各社も中堅・中小企業に向けたスマートフォン活用の訴求に熱が入っている。そこで今回は「そもそもスマートフォンとは何なのか?」「スマートフォンは自社の役に立つのか?」「導入にあたって注意するべきポイントは?」といった疑問をお持ちの中堅・中小企業に向けて、スマートフォンの基礎と現状を解説する。

執筆:ノークリサーチ 岩上由高

スマートフォンとは何か?

 スマートフォンを「高機能な携帯電話」と理解している方も少なくないだろう。だが、国内で普及しているケータイも「おサイフ機能」や「ワンセグ」など、世界のケータイ事情を考えれば、高度な機能を数多く備えている。では、従来のケータイとスマートフォンは何が違うのだろうか?まずは簡単にこれを解説しておこう。

 スマートフォントは、一般的には以下のように定義される。

スマートフォンの定義:
キャリア(通信会社)に依存しないOSを採用し、そのOS上でキャリアや端末機器を提供する企業とは異なる第三者がアプリケーションを開発/提供でき、ユーザーが自由にそれらを導入/利用できるオープンな仕組みを備えた携帯電話

 上記の説明の中でポイントとなるのが「オープンな仕組みを備えた」という個所だ。これまで日本のケータイはキャリアの主導によって、端末機器、OS、アプリケーションなどをまとめて提供する「垂直統合」体制を敷いていた。それと比較すると、スマートフォンは各構成要素の提供者が互いに独立している場合が多く、パソコンに近い「水平分業」の体制となっている(図1)。

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 また、スマートフォンのOSは従来のケータイと比較するとパソコン用OSに類似した面が少なくない。こうした仕組みにより、スマートフォンではシステムを提供する側に、以下のようなメリットがもたらされる。

・キャリアや端末機器の違いによる影響を受けにくく、個別対応による開発の手間が減る
・従来のケータイと比べるとパソコンに近いため、携帯独自の仕様に従うことなく、汎用的な開発ノウハウを適用しやすい

その結果、ユーザー側の視点からすると、以下のようなメリットが得られることになる。

・キャリア独自の課金体系に縛られることなく、スマートフォン側の要件を満たせば、アプリケーションを開発/配布することができ、ユーザーにとっては複数キャリアにまたがって同じアプリケーションを利用できる機会が今後広がっていく
・パソコン向けOSに近い仕組みを持っているため、日頃使い慣れた画面遷移や、メニュー表示と同じような使い勝手を実現できる。また、オフィス文書など、パソコン上で利用しているデータを特殊な加工をせずに閲覧できることも多い。
・ノートパソコンと同じようにデータをスマートフォン側に蓄積し、オフライン環境でも編集/参照できる。また、電話機能とノートパソコンに類似した各種機能は切り離されているため、航空機内などでも利用しやすい。このようにユーザーにとっては利用できる場面がより広くなる。

 ノートPCよりずっとコンパクトな端末でありながら、これまでケータイでは難しかった情報の閲覧や操作性が向上しているとなれば、外出の多いビジネスパーソンは重宝するだろう。

 しかしながら、デメリットも存在する。オープンであるがゆえに、逆にこれまで日本のケータイが備えてきた機能のうちのいくつかは利用できない。

 現在のスマートフォンで利用できないケータイ機能の代表例としては、
・ワンセグ
・おサイフケータイ
・iモードメールなどのキャリア独自のサービス
といったものが挙げられる。

 キャリア各社はこうしたケータイ機能をスマートフォンにも今後対応させる予定のようだが、まだしばらく時間はかかりそうだ。こうした状況もあってか、現時点でスマートフォンを利用しているユーザーはケータイとスマートフォンの「2台持ち」をしているケースが少なくない。すなわち、現在のスマートフォンはケータイの代替ではなく、ケータイと別に所有する情報端末という位置付けが強いと言えよう。

全社的な導入を行うにはまだ敷居が高い

 中堅・中小企業の立場で見れば、一般社員の大半がケータイと同じようにスマートフォンを所有するという状況にはまだなっていない。スマートフォンがキャリア固有のケータイ機能を備えるようになれば、一般社員がスマートフォンをケータイと同じように個人として所有するケースは増えるだろう。しかし、誰もがケータイにパソコン並みの機能を望んでいるわけではない。そのため、従来のケータイとスマートフォンは共存していく可能性が高い。

 すなわち、業務システムで何らかの携帯端末を利用することを考えた場合、社員の大半が既にスマートフォンを所有しているという状態を想定すべきではない。外回りの営業人員の比率が極めて高い業態であれば別だが、システム投資に多額の費用をかけることが難しい中堅・中小企業にとっては社員全員にスマートフォンを支給するというのは現実的ではないだろう。

 こうした状況は、ユーザー企業に対して実施した調査結果でも強く裏付けられている。以下のグラフ(図2)は年商500億円未満の中堅・中小企業1000社に対し、「モバイル端末活用の実施/検討を行う際の対象となるモバイル端末種類」を尋ねた結果である。社外でシステムを利用する際の端末機器としては、ノートPC(社内利用/社外利用の兼用パターンが多いと想定される)が最も多く、それ以外についても一般の携帯電話の占める比率が無視できない。特に年商5億円未満では30%近くに達している。このような調査結果からも、スマートフォンを全社的に導入することは中堅・中小企業にとってはまだ敷居が高いと受け止められているといえよう。

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【次ページ】中堅中小企業におけるスマートフォンの活用方法

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