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2010年07月02日

スマートグリッドにおけるITの役割:スマートグリッドからスマートシティへ(前編)--NRI 武居輝好氏

2009年10月、米国のオバマ大統領がスマートグリッドに公的資金を投入すると発表して以来、マイクロソフトやグーグルといった米ソフトウェアベンダーの戦略にも大きな影響をおよぼし、その流れは着実に日本にも及んでいる。経済産業省は、今後、20年間でスマートグリッドの国内市場規模は5.4兆円、新規雇用創出60万人との予測を発表している。野村総合研究所 技術調査部 副主任研究員 武居輝好氏はIBM、シスコ、GEのスマートグリッド戦略の比較しつつ、「2015年ごろからスマートグリッドのインフラが普及期に入り、2020年ごろにインフラ整備がほぼ完了し、2020年ごろをめどにスマートグリッドは、スマートシティへと拡大する」と指摘する。野村総合研究所のITロードマップセミナーSPRING 2010での武居氏の講演を紹介する。

各国で異なる狙いと取り組み

 スマートグリッドとは何だろうか、武居氏は「デバイスやネットワークなど、ITを駆使することで電力網に情報ネットワークが結びつけ、これによって生まれた“賢い”電力網のこと」と説明する(参考リンク:スマートグリッドとは何か?)。

 現在、たとえば家庭の電力消費量の計算は検針員がメーターをチェックし、データを持ち帰って処理している。また、送電網の故障は人がチェックすることで処理されていた。しかし、スマートグリッドではこうした人力作業は大幅に削減される。電力網につながるあらゆる機器がネットワーク化されるため、電力周りの利用効率が進むことになる。

 このスマートグリッドはすでに全世界で取り組みが進んでいるが、その目的は国やエリアごとに異なる。武居氏はスマートグリッドの目的を短期・中長期というターゲット軸と、電力網・社会という対象軸とで分類する(図1-1)。

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図1-1 スマートグリッドの目的と分類


 この図から、1.大量再生可能エネルギーの導入、2.電力網の高度化、3.高効率都市(スマートシティ)の実現、4.経済の復興支援・産業活性化――というスマートグリッドの目的と、各国の思惑が浮かび上がるのだという(図1-2)。

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図1-2 スマートグリッドの目的と分類、各国の狙い


 まず、米国では電力網が老朽化しているため、大都市でもたびたび停電が起こる。そのため、電力会社は送電網の刷新に合わせて、電力メーターに通信機能がついた「スマートメーター」の設置に取り組もうとしている。また、オバマ大統領がグリーンニューディール政策を発表したのは、その数カ月前に起きたリーマンショックが影響しており、低迷した経済を活性化するため、スマートグリッドを活用しようという狙いがある。

 一方、欧州は多いところで約20%が再生可能エネルギーで賄われており、太陽光発電だけでなく、地熱、風力発電などが使用されている。しかし、自然相手のため、供給が不安定で、地域ごとにエネルギーを流通させるためのインフラを整備している。そこで欧州では、1.太陽光発電などで生じた余剰電力の売買インフラおよび電力融通インフラの構築、2.街ぐるみで省エネを実現する取り組みが活発に行われているという。

 そして、中国、インドなどの新興国については、経済発展にともないエネルギー需要が急増しており、電力網の整備、ゼロベースからの省エネ都市の建設などが始まっている。

【次ページ】スマートグリッドにおけるITの役割

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