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2010年07月09日

中堅・中小企業をIT化する突破口

大塚商会とオービックはなぜ中堅・中小企業に受け入れられるのか?:中堅・中小企業市場の解体新書(17)

中堅・中小企業を売り手側からみた場合、とても有望な市場とみなされている。ひとえに企業数の多さ、つまり潜在需要が相当数あるからだ。また、売り手にとって中堅・中小企業のITリテラシの低さは好都合と見られているようだ。手頃なパッケージ製品を手離れ良く、数をこなすことで「なんとかなる」と高をくくっているのである。そのような先入観や思い込みで多くのベンダーが中堅・中小企業市場に乗り込んできているが、そのほとんどが成功していないのもまた事実だ。今回は販売チャネルに視点を置いて述べてみたい。

執筆:ノークリサーチ 伊嶋謙二

中堅・中小企業ほど手間がかかる

 景気低迷の底打ちが見られるようだが、まだまだ実感としては安心できない経済環境である。デフレ経済とIT市場の大変革のダブルパンチを浴びて、ITを中堅・中小企業に売るベンダー、販売店の苦戦は続いている。特に販売店は顕著だ。

 販売店淘汰の波は過去にも何度かあり、ひと昔前のオフコンからオープンへの変革も販売チャネルのふるい落としがあった。しかし、今回はそのイベントとはよりも根本的な違いが見られる。つまりハード(形のある)ビジネスからサービスビジネスへの転換である。

 コモディティ化したサーバやクライアント機では利益も出にくい以上、提案という付加価値で展開するしかないのだが、残念なことにハコ売りに慣れてしまった販売チャネルは、すっかり提案力が落ちてしまっている。ここに売る側と買う側(中堅・中小企業)のミスマッチが生まれている。

 このミスマッチは、中堅・中小企業がインフラとしてのITをすでに導入していることが一因だろう。つまりITが中堅・中小企業の事業継続、あるいは業績達成のために活用するフェーズに入りつつあるからだ。

 一般的に、企業にとっての課題や問題点、あるいは経営者が達成したいことは、企業規模に関係ない。たとえば、キャッシュフローや運転資金といったお金に関することや、自社の事業の生産性向上、原価率の低減、コア事業に関することなどだ。こうした経営や事業に関わる部分において、基幹業務システムやフロントシステムなどのITが果たすべき役割は、両者ともに大きい。

 その一方で、両者のITに対する取り組みには大きな違いがある。まず、大企業はITに対する投資を計画的に行っており、費用も人材もスキル・ノウハウも十分に備わっている。この点でITは企業経営とほぼシンクロしているので、売る側も何を提案すればよいのかが明らかな場合が多い。

 しかし、中堅・中小企業のITは必要最低限で、経費的な扱い、さらに計画的というより必要に迫られて購入することが多い(表1)。また専任の担当者や部門なども十分ではないために、どの程度のITシステムが妥当なのか、購入すべきなのかの判断が自身で行えないことが多い。決済者は経営側だが、情報システム担当はその選定に加わることはあっても、購入のイニシニシティブを握ることは少ない。

表1 大企業と中堅・中小企業のIT環境の違い
大企業中堅・中小企業
ITに対する考え方投資経費
投資額一定以上少額
投資タイミング計画的必要に迫られて
スキル・ノウハウありなし
専任部門必ずある兼任が多い

 こうした状況から、「中堅・中小企業は売り手にお任せ」という構図ができあがる。人材もスキルもノウハウも不足しているため、中堅・中小企業は販売店などの売り手に任せる。ただ、肝心の販売店も景気後退の煽りを受けて、コスト削減、人員削減を行っており、十分なシステム提案ができないでいる。カスタマイズで企業の要望に合ったシステムを作り上げることが難しいために、適当なパッケージタイプで提案する。ただそれでは要件を十分に満たしていないため、使われなくなったり、受け入れられなかったりする。

 このように、中堅・中小企業は確かに数が多いが、ITに掛ける資金は少ない。しかも中堅・中小企業の存在は全国各地、あまねく存在しており、手離れが悪く、地理的にも散らばっているために、販売効率も悪く、サービス/サポートも大変だ。そのため、「薄利多売」式に、安くて手離れ良く売る、という売る側の論理も通らない。むしろ中堅・中小企業のほうが手間が掛るのが常態である。

 ではこうした中堅・中小企業のIT化には、どのような突破口があるのだろうか。

【次ページ】大塚商会とオービックはなぜ中堅・中小企業に受け入れられるのか

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