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2011年02月07日

ハインリッヒの法則、SHELモデル、エラーチェーン...

ヒューマンエラー対策を航空業界から学ぶ:全日本空輸 宮崎志郎氏インタビュー

銀行ATMのシステムダウンや公共交通システムのトラブル、個人情報の漏えいなど、ITに関わる事件・事故が後を絶たない。その原因の1つとして、人間のミス(ヒューマンエラー)が注目されている。なぜ、人間はミスを犯すのか。防止することはできないのか。人命にかかわる極めてクリティカルな安全対策に取り組んできた航空業界には、その知恵・ノウハウが集約されているのではないか。全日本空輸(ANA)の宮崎志郎氏にヒューマンエラーの実態と対策を聞いた。

ヒヤリハットとハインリッヒの法則

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全日本空輸(ANA)
整備本部 教育訓練部
基礎教育チーム教官
主席部員
(兼務)ANAラーニング
研修事業部担当部長
宮崎志郎 氏

 ヒトはなぜミスをするのでしょうか。メールの宛先ミスやノートパソコンの置き忘れ、あるいは不正プログラムの使用による情報漏えいなど、ITの世界でもヒトのミスを原因とする事件・事故が後を絶ちません。そのたびに対策の必要性が叫ばれますが、時が経つと再び同じような事件・事故が起きます。

 ヒトが起こすミスのことを「ヒューマンエラー」と呼びますが、ヒューマンエラーには大きく分けて2種類あります。1つは意図しないエラーです。うっかりミスや思い込みによるミスがこれにあたります。もう1つは意図的なエラーです。たとえば、スピード違反を原因とする自動車事故などがこれにあたります。明らかに規則を守らなかった結果、起きるエラーです。

 重要なことは、こうしたエラーに早めに気づき、大きな事故にいたらないようにすることです。ヒヤリとしたりハッとしたりする経験を「ヒヤリハット」といいますが、このヒヤリハットを吸い上げる仕組みを作ることが大切です。

 ヒヤリハットに関しては「ハインリッヒの法則」がよく知られています。これは、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常(ヒヤリハット)が存在するという法則です。この法則は、過去の事故からも実証できます。

 まず、2005年に発生した鉄道の脱線事故です。この事故は、速度超過が原因でカーブで脱線し、107名が死亡しました。その後の事故調査報告書に書かれていた内容の中に、「2003〜2004年にかけて行われた日勤教育は321件であった」ことがわかっています。 つまり、「日勤教育」の目的からヒヤリハットに相当する事象が300を超えていたのです。

 次は、2004年に発生したビルの回転ドアに幼児がはさまれて亡くなった事故です。 その後の調査でわかったことは、事故が起きる1年前までに、その回転ドアに挟まれて、救急車で運ばれたり手当てを受けた事例が32件あったという事実です。

 ヒヤリハットの段階で、再発防止をする仕組み作りが必要になるのです。

【次ページ】ヒューマンエラー対策、個人でできる対策と組織で取り組む対策

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