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2011年03月04日

中堅・中小企業市場の解体新書(25)

日本中小企業情報化支援協議会:成果連動型の報酬も取り入れて中小企業を支援する

中堅・中小企業、特に中小・零細企業に対して、経営指導を含めて情報化を進めるための効果的な施策は今までなかった。画一的な指導や啓発では対応が難しい中小企業に対する唯一の解決方法は、人による気づきを与えることだろう。しかし、こうした取り組みには根気と工夫が必要となる。今回はそんな地道な取り組みを始めた団体「一般社団法人 日本中小企業情報化支援協議会(JASISA)」を取り上げる。

執筆:ノークリサーチ 伊嶋謙二

中小企業への支援は「人」が最後まで見届け、それを継続することが必須

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一般社団法人 日本中小企業情報化支援協議会
代表理事
森戸 裕一氏

 J-SaaS事業をはじめ、国が主導する施策の多くは中堅・中小企業のIT化を十分に促進させているとは言い難い。これは、枠組みは作ったものの、最終的に中小企業に「届ける人」とその「届け方」を具体的にイメージできていないためである。

 一方で、手間のかかる中堅中小企業に対して、手離れよく安いパッケージを提供して済ませようとするベンダーの施策も成功していない。このことについては本連載でも繰り返し提言してきたが、ここにきてようやくその意見に賛同するベンダー関係者が増えてきている。

 今回取り上げる「日本中小企業情報化支援協議会(以下、JASISA)」は、人による直接的な経営指導のみならず、ベンダーと中小企業の間を取り持ちながら情報化を推進する団体だ。同協議会の代表をつとめる森戸裕一氏は次のように語る。

「(中小企業のIT化は)中小企業診断士、ITコーディネーターなどの有資格者、商工会議所、経済産業省、そしてベンダーがいかに連携を図って取り組んでいくのかがポイントになります」(森戸氏)

 中小企業に対して情報化の啓発、気づきを与えるのに、国だとか、ベンダーだとか、有資格者だとかの諸条件は必要ない。与える側と与えられる側の双方にメリットを持たせること、それを継続させることが大切なのだという。

ビジネスプロデューサ(BP)という考え方

 JASISAの最大の特徴は、成果報酬型の仕組みを取り入れていることだろう。JASISAでは「ビジネスプロデューサ=BP」という名称で中小企業のIT化へアプローチしているが、その中でBPが行うのは、経営を助けるための情報化支援だ。単なる情報化支援だと手段だけの提供になってしまうため、従来のコンサルティングから一歩踏み込んで、実際の効果に連動した報酬の仕組みも取り入れているのである。

「グローバルな経済構造が崩れてしまい、日本の中小企業はその方向性を見いだせない企業が多い。そのため、情報化の前に仕事を作り出すことが必要です。一方的なコンサルティングを自己満足的に行うのではなく、その後の結果に責任を持ち、成功報酬という形で継続的な関係を維持することが求められています。確実に企業を立て直すところまで導いて、その対価を得る、というマッチングを行うことが重要なのです」(同森戸氏)

 成功報酬を取り入れることは、その中小企業とのプロフィットシェアである。当然うまくいかなければお金がもらえないリスクがあるが、あえてリスクをとって中小企業にアプローチするわけだ。今まで国が行っていたのは、講師をアサインして、教室で講義を行うことで、その最終的な企業への効果までは検証できていなかった。やりっぱなしではなく、企業にとって効果が表れる本気の取り組みが必要なのである。

 現在同協議会には50名のBPが登録されており、2011年中には300人まで増やす予定だ。これが全国各地にエバンジェリストとして散らばって種を撒くことになる。森戸氏はその狙いを次のように語る。

「全国には途方もない数の中小企業があって、簡単には情報化支援を進められません。しかし、BPが取り組んだ実績をシェアし、全体をレベルアップさせることで、徐々に普及・拡大させていきたいと考えています。2011年からは賛同するベンダーと共同で、本格的な啓発活動を始めます。きっかけはベンダーのセミナーでもよいですが、必ず商談のオブザーバとしてBPが張り付きます。このBPが企業の成長を見守る役割を果たすのです。」(森戸氏)

 今でも多様なセミナーが全国各地で盛んに行われているが、ITだけのセミナーでは中小企業を惹きつけることが難しくなっている。経営が苦しいのに、興味の薄いITのセミナーに出掛ける余裕などないのが経営者の本音だからだ。そのため、「企業が売上や収益をあげるためにはどうするか」という目的に対し、解決のための手段としてITを提示するのである。確かに「ヒト」「モノ」「カネ」が中小企業にとって常に最重要課題となっているが、解決するためにIT化は避けて通れないと気づいてもらうのである。

【次ページ】 異業種間のコミュニティ作りがこれからの展開の中心に

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