• 2011/11/07 掲載

クラウド・ビッグデータ時代に備えるために必要なことは何か?レガシーシステムの活用を考える

【セミナーレポート】これからのSIerはクラウドとビッグデータをいかに活用していくか

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クラウドやソーシャルグラフによる膨大なデータを処理する「ビッグデータビジネス」が注目されている。また、スマートフォンの普及、センサーネットワークのインターネット接続、スマートグリッド/スマートシティ構想などもこの動きを加速させている。しかし、より高度な事業予測や意思決定を行うには、過去の知の蓄積ともいえるレガシーシステムの活用も忘れてはならない。そんな視点のイベントが開催された。本セミナーでは、KDDI研究所の基調講演から、災害対策のためのクラウド活用における暗号化通信、オープンソース「Redmine」「Jenkins」の活用事例、オープンソースCOBOLコンパイラ「OpenCOBOL」への取り組みまで、幅広いセッションが開催された。

執筆:フリーランスライター 中尾真二

執筆:フリーランスライター 中尾真二

フリーランスライター、エディター。アスキーの書籍編集から、オライリー・ジャパンを経て、翻訳や執筆、取材などを紙、Webを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは言わなかったが)はUUCPのころから使っている。

これからのSIerは、クラウドとビッグデータをいかに活用していくか

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東京システムハウス
代表取締役社長
林知之氏
 10月20日、都内にて東京システムハウス主催による「TSHビジネスイノベーションフォーラム2011 ~クラウド時代のICTソリューション~」と題したセミナーが開催された。このセミナーでは、インターネットやクラウドの普及によってもたらされる変革に対して、企業はどのように対処していくのか、そして、企業のシステムサービスを支援するSIerはどのようなソリューションを提供していけばいいのか、といったこれからのビジネスを考えるものだった。

 東京システムハウス 代表取締役社長 林知之氏は、冒頭の挨拶の中で、現在、企業を取り巻く社会的・経済的変化、および技術革新によって、システム構築のスタイルやソリューションが変わってきており、システムやサービスの提供者もそれに合わせる必要があると述べた。

 同社はSIerとして、企業システムの構築やパッケージソリューションを手掛けるだけでなく、メインフレームからオープンシステム、オープンレガシーシステムのマイグレーションにも実績があるそうだ。クラウドイノベーションおよびビッグデータの時代においては、今後急速に増える膨大なデータと、経営資産として残るレガシーアプリケーションをいかに処理していくかが重要になると考えているという。

 このセミナーでは、同社やパートナー企業がこの問題にどう取り組んで、どのようなソリューションやサービスを提供しているかを見てほしいと述べた。

KDDIが進めるモバイル戦略は日本市場に最適化

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KDDI研究所
代表取締役所長
中島康之氏
 林氏の挨拶に続いて登壇したのが、KDDI研究所 代表取締役所長 中島康之氏である。

 中島氏はまず、携帯電話に代表されれる日本のモバイルネットワークの状況について、音声やテキストのみのサービスから、写真、動画などのリッチなコンテンツへのシフトが見られ、それが放送との連携への動きにもつながっていると指摘。

 さらに通信回線や技術もADSLからFTTHへのシフトが進み、伝送技術も3G、LTE(3.9G)、4Gと進化し、増大するトラフィックに対応すべく、帯域幅も数百kbps、数十Mbpsといったサービスから100Mbpsへと向けて開発が続いているとした。端末についてもスマートフォンのようなオープンアーキテクチャの広がりといった、市場構造の変化を述べた。

 このような状況における課題として、中島氏が挙げるのはやはりトラフィックだ。現状で3千数百万台あるといわれるau携帯のうち、スマートフォンは上期時点で191万台であり1割に満たない。それでもトラフィックの増え方が急激なため、LTEだけでなく、Wi-FiやWiMAXなどへのオフロードが必要となっている。この問題は、あらゆるビジネスになんらかの影響を与えるだろうとした。

 また、モバイル戦略の別の側面として、放送との連携を挙げた。その例として中島氏が挙げたのが、ホーム端末としてのスマートフォンやAndroid端末に加えて、Androidを搭載したSTB(セットトップボックス)の開発などだ。背景には、テレビを家の中のインテリジェントな制御ハブとすることで、通信、放送を統合的に管理し、ひいてはHEMS(Home Energy Management System)やスマートグリッドへの展開へ広げる考えだという。

 このようにモバイル端末をマルチネットワーク、マルチデバイス、マルチユースに対応させることで、クラウド時代のビジネス、およびライフスタイルに合わせていく。これをKDDIではマルチクラウドと呼んでいるが、KDDI研究所では、マルチクラウドが生み出すトラフィックと膨大なデータに対応する技術開発に、引き続き取り組んでいくとした。

【次ページ】柔軟性の高い秘密分散型クラウドバックアップでBCP対策

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