• 会員限定
  • 2011/11/22 掲載

元資生堂 執行役員が語る、資生堂の成長力を支える研究開発 ~「一歩先ではなく『半歩先』の商品開発を目指している」

国士舘大学 講義「現代の産業と企業」レポート

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
先日、国士舘大学で開催された「化粧品ビジネス」に関する講義。前回は、化粧品ビジネスの世界市場や資生堂の展開など、業界の全般的な話を中心に紹介した。2回目となる今回は少し踏み込んで、化粧品の研究開発、モノづくりの現場について触れる。講師は元資生堂 執行役員の東久保 和雄氏。開発現場の第一線で働いた経験も持つ東久保氏は「化粧品には化粧品の面白さがある」と説明する。

マーケティングと研究開発の共同作業で化粧品を作る

photo
元資生堂 執行役員
東久保 和雄氏
 研究開発(R&D)は、企業の継続的な成長にとっては欠かせない要素だ。他社より一歩先んじ、強い競争力を有するためには、研究開発によって常に未来を模索しなければならない。その「成長力の源泉」とも言われる研究開発を、大手他社がどのように行っているのか、興味のある人は多いだろう。そこで今回は、元資生堂 執行役員の東久保 和雄氏により、資生堂の研究開発の内実を明かしてもらおう。

 化粧品の開発は、一般的な商品開発と共通する部分も多いが、もちろん化粧品独自の考え方もある。まず化粧品を開発する場合には、「ハードとソフトを一体化」して考えなければならないという。ハードは目に見える中身や容器だが、ソフトは使ったときの感覚や使用感のほか、ユーザーの使い方や要望であったり、有用性や安全性の情報なども含まれる。

 化粧品開発のフローは、市場調査やトレンド予測、ターゲティングなどを検討する商品企画からスタートする。その企画を具現化すべく、研究所において検討会が実施される。化粧品の原料・製剤、薬剤面からの基盤研究が、さまざな化学的側面から行われるが、同時に化粧品という特性から「皮膚科学」も重要になる。こういった研究側からの要素技術を組み合わせて、処方や容器の開発を行うという。実際にモノができたら、機能性や使用性、品質保証(安定性・安全性)、使用テストを何度も繰り返して、完成にこぎつけるという流れだ。また使用テスト、いわゆる官能検査は専門家が行い、それを評価することになるという。

画像
化粧品開発のフロー。企画から始まり、要素技術を組み合わせて開発を行う。機能性や使用性、品質保証、テストを何度も繰り返して、完成にこぎつける

 東久保氏は、商品開発にあたり、日本と海外における相違点についても触れた。「日本では、マーケティングと研究開発の共同作業で開発が進められる。機能や品質を重視するため研究開発部門の力も強いが、チーム型のモノづくり体制であり、万人向けの丸いモノづくりになりがち。ただし日本では、研究成果に基づいて、シーズ(種)による商品企画の逆提案もある。その一方で、欧米ではマーケティングが上位になり、研究開発はそれに従うという形だ。商品全体の価値や世界観を重視しており、マーケッター(個人)型モノづくりが中心であるため、特徴のある尖ったモノづくりができる」という。

 国内における化粧品開発の特徴としては、まずは消費者ニーズをつかんで「お客さま指向の研究開発」を行うことだ。またヒット商品は技術や品質だけではない。技術が先走っても、決してよいモノは生まれないという。機能性と安定・安全性は得てしてトレードオフの関係にあるため、新技術と要素技術のすり合わせも必要だ。また発売のタイミングも重要である。「一歩先ではなく『半歩先』の商品開発を目指している」と東久保氏は語る。製品の良さや使い方の情報をいかに分かりやすく伝えるか、これも忘れてはならない点だ。

この記事の続き>>  売上の半分を海外が占める資生堂では
             どのような研究開発体制を敷いているのか?

この続きは会員限定(完全無料)です

ここから先は「ビジネス+IT」会員に登録された方のみ、ご覧いただけます。

今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。

すべて無料!ビジネスやITに役立つメリット満載!

  • ここでしか見られない

    1万本超のオリジナル記事が無料で閲覧可能

  • 多角的にニュース理解

    各界の専門家がコメンテーターとして活躍中!

  • スグ役立つ会員特典

    資料、デモ動画などを無料で閲覧可能!セミナーにご招待

  • レコメンド機能

    ​あなたに合わせた記事表示!メールマガジンで新着通知

関連タグ

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます