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2011年12月22日

アステラス製薬[CIO・システム部長に聞く、対談インタビュー連載]

【CIO対談:アステラス製薬 須田真也氏】情報システム部門の自己改革〜「IT部員はプロデューサーたれ」

ユーザー部門の業務改革を期待される情報システム部門の中には、自部門の改革も着実に進めているところがある。彼らは、どのような自己改革を成し遂げたのだろうか。本連載では、情報システム部門のトップに自ら語っていただこう。第12回は、アステラス製薬のコーポレートIT部 部長、須田真也氏に話をうかがった。

執筆:アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

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 アステラス製薬 コーポレートIT部長の須田真也氏は、まだ40代半ばの若き部長である。経営が須田氏を部長に任命したのは、須田氏のグローバルな経験を活かすためだ。須田氏は、この経営の期待に応え、これまでのグローバルITマネジメントを、さらに進化させようとしている。

相互協力によるグローバル化の推進

 アステラス製薬のITのグローバル化は、約15年前に遡る。当時は、日米欧でそれぞれバラバラにIT化が進められていた。まず推進したのは、互いを理解し合うことだ。

 「Know each other. Help each other.」をスローガンに、まず相手は誰なのか、何をしているかを互いに理解しあった。その際、日本がトップダウンに情報を要求することはせず、日米欧が、互いに情報を提供し合い、意見を出し合い、協力し合い、助け合うようにした。そのために、IT責任者レベルや担当レベルのグローバルな会議体を設置し、助けられるものは助け、共通化できるものは共通化し、知っていることは教え合った。このスタンスは、今も変わっていない。

 現在は、日米欧のIT部長によるグローバルCIOコミティー(GCC)の下にグローバルなIT企画担当チームを置くとともに、ITインフラやSAP、コンプライアンスなど各種グローバルチームを置いて、月次GCC定例会(TV会議、電話+Web会議)、チーム担当レベルでの密なコミュニケーション、年2回程度のフェイス・トゥ・フェイス・コミュニケーションを進めている。

 グローバルに目指すべき姿は、2005年の企業合併後に作成したITビジョンおよびロードマップで方向を明確化している。具体的には、ITインフラ、アプリケーション、オペレーションの標準化、そのためのITプログラムマネジメント、グローバル人材育成、ユーザー満足度向上である。たとえばITインフラでは、PC環境、ネットワーク、Active Directoryとユーザアカウント管理、そしてExchangeサーバを、グローバルに統合してきた。

 アステラス製薬のITグローバル化の特徴は、3拠点の相互協力である。これは、経営が現在地域軸を活かした形態であり、グローバル統合のニーズが強くないことが背景にある。3拠点のシステム部門が相互協力することで、日米欧のみならず、欧米発の統合も行われている。たとえば臨床開発支援システムは、日本の規制が欧米と異なり、また規制当局に対して日本語の対応が必要であるため、欧米が先行して統合した。

日本の良さをグローバルに展開する

 アステラス製薬のシステム部門は、ユーザーから頼られている。これは、ITベンダーに丸投げにせず、開発でも、障害でも、どんどん中身に入っていく。ユーザーから言われたことをやるのではなく、自ら構想を持ち、実現できるまで引っ張るといった行動が、継承されてきたからだ。

 たとえば、上述のシステム部門の伝統は、「ITプロデューサー」という人材ビジョンとして説明した。また、これを確実に実践させるために、企画段階、開発段階、運用段階のKPIを明確化した。たとえば企画段階では、IT化の効果、この効果を実現するユーザー部門のコミットメントなどがKPIとして設定されている。開発では、プロジェクトの計画達成を。そして運用では、ユーザーが企画段階でコミットした効果の実現とそれに必要なシステムの安定稼働をKPIとし、システム部門が主体的にこれらの実現に参画するよう求めている。

 須田氏もこの伝統を継承してきたが、これに加えて、グローバル化推進の中で海外の人材との仕事を通じて、日本の強さを説明する力を身に付けてきた。 須田氏は、日本発のグローバル化の基本は日本の強さに自信を持つこと、そして、日本の強さをグローバルに説明し、納得感と一体感を醸成しながら展開することが重要だと認識するようになった。たとえば「リンギ(稟議)」とは、デシジョンメーカー以外の関係者の意見を聞くことで、ディシジョンを間違えるリスクをコントロールし、ディシジョン後は迅速にこれを実現する仕組みである。「ネマワシ(根回し)」は、リンギ実現の手法となる。

 現在須田氏は、先に示したロードマップ以降のグローバルITマネジメントの姿として、日本の良さを組み込んだ「村的」なマネジメントを構想している。これは、日米欧すべてのIT部員が、組織や役割に過度にこだわらず、互いに補完し合い、影響し合う姿である。

 では、次ページより、須田氏との対談インタビューの全体を紹介しよう。

【次ページ】“3人のIT責任者”

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