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  • 2012/06/21 掲載

ソーシャルマガジン「Flipboard」に隠された次のビッグビジネス

目新しくないサービスが躍進を続ける理由

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ソーシャルマガジンをご存じだろうか? ツイッターやフェイスブックなどのSNSに掲載されている情報や、インターネット上のニュース情報などを、自動で収集して、まとめて閲覧できるスマートフォンアプリである。まとめて閲覧するサービスというと、何を今さらと思われるかもしれないが、ソーシャルマガジン最大手のFlipboardは全世界で800万ダウンロードされるなど、いまだに快進撃を続けている。何がユーザーの魅力となっているのだろうか。

Python Networks Inc. 曽我一弘

Python Networks Inc. 曽我一弘

Webメディアの編集長を経て、iPhone・iPadアプリの開発、Webサービスの運営・企画を行っている。ボードゲーマー。

ソーシャルマガジンとは?

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ソーシャルマガジン「Flipboard」では、さながら雑誌のようなレイアウトでインターネット上の多様なコンテンツが閲覧できる
 ソーシャルマガジンとは、ソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)やインターネットに掲載されている情報を、雑誌のように閲覧できるスマートフォン、タブレットアプリである。その中でも特徴的な機能は以下の3つだ。

1.雑誌のようなユーザインターフェース

 情報を収集するサービスはソーシャルマガジンが登場するはるか前から数多く存在していた。しかし、テキストによる情報表示がメインであったために、利用する人が限られていた。ソーシャルマガジンでは、収集した情報をテキストだけでなく画像も掲載し、さらに雑誌のような見た目にレイアウトにして表示してくれる。この見た目こそが、マガジンと呼ばれる理由である。

2.SNSとの連携

 ソーシャルマガジンが登場する前は、ツイッターやフェイスブックといったSNSに別々にログインして、更新情報を個別に確認したり、個別に投稿したりする必要があった。しかし、ソーシャルマガジンの登場で、SNS上の情報やインターネットに掲載されている情報を、1つのアプリケーションでまとめて閲覧することが可能となった。また、ソーシャルマガジンで閲覧している内容を、ツイッターやフェイスブックに個別に投稿することができる。

3.パーソナライズ化によるオリジナルマガジン

 ソーシャルマガジンは、自分が利用しているSNSと連携することで、自分だけのオリジナルマガジンを作ることができる。また、ソーシャルマガジンはキーワードを設定することで、キーワードに関連したコンテンツをSNSやインターネット上から、自動的に収集して届けてくれる。この機能を使うことで、自分が興味のある話題だけを集めたオリジナルマガジンを作成できる。

 ソーシャルマガジンが急速に普及した背景には、タブレット(iPad)の爆発的な普及があったことは間違いない。ただ、ソーシャルマガジンは、電子書籍や電子雑誌、またインターネット上のWebサイトとも一線を画するサービスである。

 電子書籍や電子雑誌が提供しているのは、中身であるコンテンツそのものだ。これはインターネット上にあるWebサイトも同様である。それに対してソーシャルマガジンは情報を集めて表示するサービスであり、コンテンツそのものを提供してるわけではない。いわばソーシャルマガジンは、インターネット上にあるコンテンツの見出しを集めたものである。そこから導き出せるのは、インターネットユーザーが依然として、膨大な情報から価値ある情報だけを、それもいかにビジュアル的に優れた形で、かつ快適に取り出せるか、ということに悩んでいることが浮き彫りになった証左と言えるだろう。

最も有名なソーシャルマガジンFlipboardとは?

 ソーシャルマガジンを理解するには、実際のサービスを利用するのがわかりやすい。本記事では、ソーシャルマガジンとしてもっとも有名なFlipboard(http://flipboard.com/)を例に詳しく見ていこう。

 まず、Flipboardとは、全世界で800万ダウンロードされているiPhone・iPadアプリケーションである(2012年5月現在)。Flipboardはソーシャルマガジンの先駆けで、ツイッターの情報を自動的にレイアウトし、雑誌のように表示したことで一躍注目を浴びた。現在は、ツイッター以外にも、フェイスブックやGoogleリーダー、Instagram、SoundCloud、LinkedIn、Flickr、Tumblr、500px、Sina Weibo(中国版ツイッター)、Renren(中国のSNS)と連携することができる。

 Flipboardは、無料で利用でき、設定も簡単に行える。実際に、アプリケーションをダウンロードしたら、初期設定までは30秒ほどで完了するだろう。初期設定の簡単さもFlipboardに人気が集まる理由の1つと言えよう。

 次に、自分が気になる情報を収集するマガジンを作成する。手順は次の通り。

  1. 右上の赤い帯をタップする。
  2. 表示されたカテゴリーから、興味があるカテゴリーを選択する。
  3. 記事が表示されたら、左上の追加ボタンを押すとトップページにマガジンが追加される。

 以上で新しい記事が追加され、たった1分ほどで自分だけのオリジナルマガジンができてしまう。

 Flipboardのニュースのカテゴリーを見ると、朝日新聞、毎日jp編集部、日本経済新聞電子版、読売新聞YOLなどが掲載されている。これらをすべて登録すると、新聞専用のソーシャルマガジンができあがる(ただし、記事の続きを読む際に有料の会員登録が必要となる場合は最後まで読めない)。

 また、ソーシャルマガジンをさらに活用するにはキーワードを入力するのが良いだろう。

  1. 右上の検索窓に、自分が興味のあるキーワードを入力する。
  2. キーワードを入力すると、キーワードに関連した情報を発信しているツイッターアカウントやInstagramのタグなどが表示される。
  3. その中から気になったアカウントやサービスを選択する。
  4. キーワードに関連する情報を自動的に集めてくれるマガジンが完成する。
  5. 記事の左上の追加ボタンを押すと、トップページにマガジンが追加される。

 筆者としては、InstagramやFlickrといった画像がメインのメディアと組み合わせたマガジンを作成するのがオススメだ。たとえば、キーワードをZooとし、instagramを選択すれば、さまざまな動物が表示されるデジタルマガジンが一瞬で完成する。一度キーワードを設定すれば、あとは自動的に情報を収集し、毎日更新してくれるため、改めて検索をする必要はないので、常に新しい動物が飛び出す絵本が手に入るわけだ。

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図2 初期設定完了時のFlipboard
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朝日新聞、毎日jp編集部、日本経済新聞電子版、読売新聞YOLを登録したFlipboard
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Zooでキーワード設定した場合のFlipboardの記事

 これまでは、情報を入手するのに、検索をしたり、お気に入りのサイトを訪問したりしていた方も多いだろう。しかし、Flipboardをはじめとしたソーシャルマガジンでは、最初に設定を行ってしまえば、後は自動で情報を集めてきてくれるのである。情報を探しに行くのではなく、情報を届けてくれるのだ。Googleリーダーを利用している方は、Flipboardと連携することで、WebサイトのRSS(更新情報)を利用して記事を閲覧することもできる。

【次ページ】日本でソーシャルマガジンは広がるのか?

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