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  • 2012/06/20 掲載

日本企業のグローバル戦略を成功に導く9種類のソーシングモデルと6段階の成熟度モデル

BPO、シェアードサービスをどう実現する?

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世界経済の危機が日本にも影を落としている。グローバルな過当競争はより収斂されているが、一方で国内GDPは横ばい状態で人口も減少しはじめ、外部労働力への模索も始まっている。「新興市場の成長は脅威だが、その半面で大きなチャンスにもつながる。これはグローバルソーシングにも深く関連する点だ。グローバリゼーションのインフラがデジタル化し、いかにこれらの事業をビジネスの再建や見直しに当てられるかということが、企業の未来を占う指針になる」と語るのは、ガートナー リサーチでグローバルITサービス市場の分析を担当するロルフ・ジェスター氏だ。

企業構造・ソーシングプラクティス~グローバル化を意味する3つの定義

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ガートナー リサーチ
バイスプレジデント 兼
最上級アナリスト
ロルフ・ジェスター氏
 いろいろな課題を抱える日本企業だが、ジェスター氏は「マイナス面だけではない。日本ブランドがもたらす事業の強みもある。製造プロセスのノウハウやイノベーション、高品質などによって、日本発ブランドも数多く生まれてきた。さらにフォーカスしたいのが、何世紀にも渡り日本が培ってきた文化的な価値だ。それが事業の追い風になるだろう」と説明する。とはいえ成長を続けるためには、まず日本企業がグローバルに照準を合わせなければならない。

 グローバルには3つの意味があるという。1点目は「“製品輸出国”から“サービス輸出国”になること」。もちろん、その際に企業構造自体もグローバル化しなければならない。2点目は「グローバルソーシングを活用すること」。ジェスター氏は「グローバルソーシングというと、アジア諸国に労働力を派遣するイメージを捉えがちだが、グローバル市場でツールやリソースを見つけ、それらを活用していくことも意味する」と説く。

 多くの国から提供される各種サービスを活かし、それらを一貫したグローバルソーシング構造に馴染ませていく。つまり、中国やインドなどの事業者や海外子会社に開発・運用管理を委託(オフショア)するだけでなく、ツールやリソースも馴染ませることが重要になるわけだ。

 3点目は「グローバル・プラクティス」である。これが求められる背景には、日本のように特定国で進化したプラクティスだけでは世界に対応しきれないという事情がある。ベストソーシングプラクティス、ITアーキテクチャ、各種ツール、慣習などをグローバル視点で各国に適応させる必要がある。

どこで、どのようなソーシングを実行すべきか

 ではグローバル化を踏まえ、2015年までに何を行えばよいのか。ジェスター氏は「グローバルなIT管理実行」「ビジネスとITサービスのグローバルソーシング」「統制のとれたマルチソーシングの実践」「クラウドと工業化されたサービスの利用」「戦略ツールとしてのソーシング活用」というテーマを挙げた。

 特にグローバルソーシングについては、どこで実行すべきかという課題がある。ビジネスにはさまざまなプロセスがある。たとえば、財務、会計、人事のほか、アプリ開発、運用管理、保守などのITプロセスもある。各機能に対し、明確な答えがあるわけではない。

 ガートナーでは、それらを見極めるために2軸で捉えることにしたという。まず「サービスの複雑性」という軸がある。もう1つの軸は「知識の文書化レベル」である。サービスが安定/予測可能なもので文書化レベルが高ければ、社内で行う「オンサイト」から国内のサービスプロバイダーに任せる「オンショア」へ、あるいは近隣諸国に任せる「ニアショア」を選択できる。

 一方、グローバルな「オフショア」を実現するには特別なスキルが必要だ。最も優れたサービスプロバイダーは遠い国にあるかもしれない。少なくともソーシングのロケーションには4つの種類があり、各タスクでベストソーシングを複数組み合わせて利用することになる。

 グローバルソーシングでは失敗例も多い。ジェスター氏は「最も多いのがコスト削減がうまくいかない例だ。労働費のみ勘案し、隠れコストを見落としていたケースだ」と指摘する。オフショア化には文化的な違いもあり、コミュニケーション、トレーニング、ミーティングなど複雑な要素が絡んで、コストが積み上がることもある。また「生産性の喪失」も大きな失敗例の1つだ。スキル不足、低コストな労働環境では高品質プロジェクトを提供しにくい。現実を勘案し、ビジネス管理プロセスを考える必要がある。グローバルソーシングの意思決定をする際にはリスク管理を念頭に入れるべきだ。

【次ページ】ガートナーによる9種類のソーシングモデルと6段階の成熟度モデル

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