• 2012/10/01 掲載

先進的なビッグデータ活用事例とソリューションが揃い踏み!~「NEC秋葉原ビッグデータ講座」が開催

自社保有データの価値・可能性を見出せ!

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ビッグデータのビジネスへの活用が注目されている。バズワード的に登場したビッグデータも最近では具体的な事例が数多く現れ、一般的な企業もビッグデータ活用への取り組みに強い関心を抱いているようだ。とはいえ「情報の宝の山」もいえるビッグデータの活用に対し、どのようにインフラを構築すべきか、まだよくわからないユーザーも多い。そのような中で、NECは先進的なビッグデータ・ソリューションを提供しており、ビッグデータのビジネスへの活用を積極的に推進している。ここでは、先ごろ秋葉原UDXビルにて開催された「NEC秋葉原ビッグデータ講座」の概要についてレポートする。主催はNEC、協賛はEMC。

実社会でも活用されはじめたビッグデータ活用の先進的な事例とは?

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セミナー当日の様子。多くの来場者が耳を傾けた
 ビッグデータのビジネス活用事例や、情報流通基盤としての可能性について言及したのは、野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 主任コンサルタントの鈴木良介氏だ。バズワード的に扱われることが多いビッグデータだが、鈴木氏はビッグデータを「事業に役立つ知見を導出するための、“高解像度”“高頻度生成”“非構造なものを含む多様”なデータ」と定義づけた。つまり事業への付加価値を生むようなデータ特性を想定すると、それが結果としてビッグデータになるというわけだ。

 セミナーでは、今後のビッグデータ活用を占う上で役に立つ興味深い事例が紹介された。たとえばIT活用により格段に進化したのは「個人単位でのフィードバック」だ。ECサイトのリコメンデーションはもちろん、最近では実社会でもビッグデータが活用されている。モーションセンサを使って、スーパーで顧客が手を伸ばした回数が多い商品を捕捉し、「PoB」(Points of Buying)の理解を深める事例もある。物理的な動態把握をリアルタイムで行うことで、より高い付加価値を提供できるのだ。

 amazon.comでは、電子書籍上でハイライトされた箇所に関する情報をクラウドで集約・共有する試みを開始。どこが面白かったのか、その情報は、販売促進や出版企画にも活用される。保険業界では「PHYD」(Pay How You Drive)もすでに実施されている。運転状況に応じて保険料を算出するもので、危険運転のユーザーは保険料を高くし、安全運転のユーザーは保険料を安く設定する。南アフリカでは、携帯電話の混雑状況をベースにリアルタイムで割引を行い、負荷を平準化する施策を推進中だ。Ericssonの「DDS」(Dynamic Discount Solution)は、トラフィックが集中する時間帯に料金を高くし、脆弱なインフラでも耐えられる仕組みを提供。

 このようにデータ活用の事例が続々と登場しており、「今後はビッグデータが情報流通基盤事業として展開される可能性も高い」(鈴木氏)という。注意すべき点は、データを取りやすい事業者と、それを活用しやすい事業者が必ずしも一致しないこと。ビッグデータには「ソーシャル由来」「センサ由来」「業務付随」のものがある。鈴木氏は「このうち業務付随データは見落とされがちだが、値千金の価値がある。これらを蓄積・活用すれば大きな競争優位性につながる」と説明する。たとえば、おしぼり屋は、おしぼりの数で店の情報が間接的にわかる。これらは事業者にとって単なる営業記録でも、グルメサイトでは有用なデータだ。最近ではデータ売買の基盤サービスも登場しつつある。

 では将来的にビッグデータの活用を進める上での課題は何か? いま国内大手の利用サイド事業所にはジレンマがある。本業に付随する自社データを活用したいという一方で、プライバシーなどの問題で腰が引けてしまうことがあるからだ。「本当に阻害要因となる問題が深刻なものなのか、確認してチャレンジすべきだ」(鈴木氏)という。またビッグデータに関わるリテラシーを持つ人材が不足していることも課題の1つだ。データを本当に活用するには、経営者が腑に落ちる分析結果を翻訳する「データ・インタプリタ」と呼ばれる人が求められる。鈴木氏は「将来的にWebサービス事業者がフィジカルな事業に進出する可能性は高いのです。ビッグデータに無縁と思っている企業でも、実際にデータがどのように役立つのか、自社保有データの価値・可能性を見出す必要があります」と強調した。

日本電気のアプライアンスで、短期間にDHWの構築に成功

 丸三証券 システム企画部 データ管理課 課長の大谷喜洋氏は、日本電気のDWHアプライアンスを導入し、自社システムを短期間で構築した事例を紹介した。同社は1910年に設立した老舗の証券会社だ。電子化を積極的に推進し、「MARUSAN-NET」といったネットサービスも展開。しかし近年、商品の増加に伴い、システム改変が頻繁になり、コストが肥大化していた。そのため基幹系をアウトソーシングし、証券ASPを利用する方針が下された。「その結果、従来の帳票類が200種類ほど出せないことがわかり、その不足分を補うDWHをつくることになった」(大谷氏)という。

 DWH構築のアプローチには多くの課題があった。当初、DWH機能を簡素化したプロトタイプを構築したが、データベースのテーブル容量が大きくなるとレスポンスが悪化。大容量ストレージが必要になった。さらにWebアプリで開発した可視化部が複雑になり開発工数も増大。悩んでいたところ、日本電気の「InfoFrame DWH Appliance」(IDA)を見つけ、導入を決定した。新システムの開発コンセプトは、生データを検索の都度加工するというもの。IDAの性能ならば生データを時系列で格納し、リアルタイムに加工する複雑なSQL処理も十分に可能だ。

 実機検証では、2泊3日かかっていた月末月初めの処理が4時間に短縮された。またIDAの導入によって、わずか2ヶ月間でセルフサービスBI環境を提供できた点も大きかった。現在、テーブル数300個、約12万項目、200種の帳票を自在に活用しているそうだ。大谷氏は「とにかく圧倒的な速さが魅力。面倒なチューニングも必要ありません。データ圧縮率も高く、解凍アクセスが速く、運用コストもトータルで6分の1に低減できました。ビッグデータのハンドリングがしやすくなったのです」とIDAの性能について評価した。

ビッグデータに関わる製品ポートフォリオを取り揃えるEMC

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EMCジャパン
常務執行役員
ストラテジー・アライアンス統括部長
徳末哲一氏
 「ビッグデータ時代に入り、非常に面白い状況になってきた」と熱弁を奮ったのは、EMCジャパンの徳末哲一氏だ。2010年に1ゼッタバイトだったデータは、10年後には40倍に増加すると予測されている。徳末氏は「突然変異のように情報が爆発しています。増大するデータは、従来とまったく違うクリーチャ(怪物)になります」と指摘する。いまペタバイト級のデータを有するユーザーは数社だが、今後どんどん増えていくだろう。人生のすべてのライフログを、人類全員がクラウド上に蓄積できる時代になったのだ。それに伴い、人々の行動様式まで変わっていく。

 現在、非構造化データが9割を占めている。心や感情などに関わる非構造化データをITで取り込み、それらをフィルタリングして構造化することで、新たなビジネスチャンスが生まれるという。クラウド上では、個人やグループに関わる情報がマッピングされ、膨大な価値を創出している。そのような状況でビッグデータを活用できなければ、将来的にamazon、google、Facebookなどの下請けになる危険すらある。徳末氏は「新しい経済圏が出現しています。たとえばFacebook上でソーシャルゲームを展開するZyngaは、ゲーム会社の仮面をかぶったアナリスティクスの会社です」と説明する。同社のゲームは基本的には無料だが「アイテム課金方式」を採用し、有料のアイテムやコインを利用者が購入することで収益を得ている。1億人以上のユーザーのうち約5%が1000円を消費しておりめ、年商600億円をはじき出している。

 従来のBIとビッグデータ分析との違いは、前者がサンプリング・サマリーであったのに対し、後者は全件データを分析するという点だ。これにより、パーソナライズ、ターゲティング/レコメンデーション、予兆、ロングテイルの活性化、ソーシャルクラスタリングなどに応用できる。このようなビッグデータを、企業がどうやって活用していくかという点が今後の大きなテーマだ。企業に眠る活用されていない構造化/非構造化データを統合し、リアルタイムな発見と分析をすることで、真の意味でのカスタマー・エクスペリエンスを把握できる。そのために次世代型のCRMなども求められている。

 そこでEMCではビッグデータに関わる製品ポートフォリオを取り揃えている。ビッグデータ時代の基本テクノロジの1つとして「スケールアウト」が挙げられる。情報データの増加に応じた最適な拡張が求められているからだ。同社では、アイシロンなどのストレージ製品を扱っている。「このほかにも新しい学問領域として、データ分析の観点から、新しい人材の需要が高まっています。我々は、データ・サイエンティストやアナリストの育成トレーニングも積極的に提供しているところです」(徳末氏)という。

ビッグデータの先進事例とソリューションを披露した日本電気

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日本電気
ITソフトウェア事業本部
第三 ITソフトウェア事業部
シニアマネージャー
白石雅己氏
 企業内外の情報資産を有効活用するには、多様なデータ解析の手法と、その結果をタイムリーに活用するデータベースが鍵となる。日本電気の白石雅巳氏は「ビッグデータをいかにタイムリーに活用するか」という観点から先進事例とソリューションを披露した。ビッグデータからビジネス価値を創出するために必要なプロセスは「データ収集」「加工・統合」「分析」というステップだ。白石氏は「タイムリーな分析を支える上では、特に分析元の加工とデータ解析が重要だ」と説く。すでに日本電気では先進的な顧客と共にビッグデータを分析し、数多くの実証事例を積み上げてきた。

 たとえばテキストマイニングによって、類似案件による活動や売れ筋商品のレコメンデーションを実現する営業支援を行っている。また同社の画像解析技術で行動を分析し、販売機会の損失や顧客対応の改善も可能になった。商品の購買・非購買顧客の行動を、年齢・性別、顔認証(同一人物)で判定し、動線分析などを行うものだ。一方、分析すべきデータが混在しても自動的にグルーピングし、複雑なパターンを学習できる「異種混合学習技術」も開発。さらに機械学習として「インバリアンツ解析」という技術もある。大量データからシステム全体の不変性を導き、観測データと比較することでシステム異常をリアルタイムに検知するもの。このほか購買情報からカード会員向けのキャンペーンを企画したり、その効果をマーケティングデータとしてリアルタイムに反映することも可能だ。

 白石氏は、先進事例を支える同社のビッグデータソリューションについても説明した。データ収集層では、情報アクセスが異なるセンサにも対応するM2Mプラットフォーム「CONNEXIVE」がある。また加工・統合層では、大量データの高速処理と柔軟な拡張性・高信頼性を有する新製品データベースソフト「InfoFrame Relational Store」(IRS)も発売。「従来システムだと、数年先の需要を予測して段階的に増設しなければなりません。しかしIRSならば需要に合わせて柔軟にスケールアウトが可能です。サービスを止めることなく業務を継続でき、必要な時点で拡張できる点がメリットです」(白石氏)。

 このほか加工・統合層として、インメモリ高速データ処理エンジン「InfoFrame DataBooster」や超高速データ分析プラットフォーム「InfoFrame DWH Appliance」(IDA)なども用意している。前者では蓄積データを高速メモリ上で高速処理・分析することでパターンを発見できる。一方、後者はRDBMS、サーバ、ストレージをDWH専用にアプライアンス化したものだ。

 同社では、このようなソリューションに加え、具体的なデータ活用を支援する体制も整えており、「ビッグデータディスカバリープログラム」を展開中だ。データ活用の目的や分析方法をユーザーと共に明確化するサービスで、人材育成にも力を注いでいる。セミナーの最後には、体感型ショールーム・NECクラサバ市場秋葉原店が「NECビッグデータ市場秋葉原店」として期間限定でオープンしたこともアナウンスされた。ここでビッグデータ関連のイベントを開催しており、最速の顔認証などを実際に体験できるそうだ。日本電気のビッグデータに懸ける意気込みが伝わってくるようだった。

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