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  • 2012/10/09 掲載

iPadはノートPCより軽くなっただけ?ユーザー企業がITによる売上増を真剣議論

iPhone5のたとえから、白熱議論で「主体性」の気付きへ

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ITは、企業の売上の増大という経営課題の解決に役立っているのか。そんな根本的な疑問をITを使いこなす側(ユーザー企業)の担当者が議論する「ユーザーが考える『IT』を使いこなすための会議」が開催された。本会議では、「(ITベンダーへの)期待が大きすぎるのかもしれないが、落胆するケースが多い」「iPadを導入したはいいがノートPCよりも軽くなった程度で、それ以上の活用はできていない」「経営層がわかる言葉で説明する必要がある。提案をはねられるのは、専門用語が並んでいるから」「情報システム部は金食い虫である」など、厳しい意見も数多く見られた。ユーザー企業が、ビジネスに貢献できるITのための議論から得た知見とは何だったのか?当日の様子をレポートする。

ITは売上増大に役立っていない?所有することよりも活用することが重要なはず

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営業創造
戦略デザイン部
オープン・イノベーター
古杉和美氏
 企業にとって、ITは売上の増大とコスト削減を実現するツールの1つだ。しかし、実際はどの程度役立っているのだろうか。

 2012年7月5日に開催された「これからのITを考える大会議~ユーザーと営業が共に考えるワールドカフェ~」から約2か月。今回はユーザー企業の担当者に受講対象者を絞って、経営視点から改めてITの有用性を考える場となった(前回のイベントの様子はこちら)。

 本会議を主催する次世代ICT営業会議のメンバー、営業創造の古杉和美氏は、ノークリサーチとZDNet Japanによるアンケート調査を紹介した。特に、ITの経営に対する貢献度について、「ITは売上の増大という経営課題の解決にどの程度役立っているか」という質問では、IT企業の多くが「やや役立っている」(51.9%)と回答する一方で、ユーザー企業は「あまり役立っていない」(42.4%)と回答したことを問題視したと指摘した。

 こうした乖離はなぜ起こるのか。古杉氏は、新発売された「iPhone 5」を取り上げ、同機種はすぐに社員の間で広まり、企業でもBYOD(私物デバイスの持ち込み)や会社支給などで導入が進むと述べた。その一方で、導入したものの、創造性を発揮してユニークな活用方法が編み出されるかというと、なかなかそうはならないものも多いと話す。「所有することよりも活用することが重要なはず。残念ながら、新しいITを手に入れても使いこなせていないのが現状だ」(古杉氏)。

 こうした背景には、ITを運用する情報システム部門と、ITを利用してビジネスに活かすユーザー側の間に溝があるからかもしれない。今回の会議では、企業経営の側面からITが売上の最大化と費用の最小化にどう役立つか、企業にとってITはどうあるべきかについて意見を出し合った。

共感と相互理解を生むワールドカフェ

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ユーザーが考える「IT」を使いこなすための会議の様子
 同会議は今回も参加型の「ワールドカフェ形式」で行われた。ワールドカフェとは、小グループに分けられた参加者がグループを変えながら意見交換する、インタラクティブなミーティングスタイルだ。共通点や異なる意見を聞くことで相互理解が深まり、一体感が得られる。自分の考えを整理して意欲を充填できることから、国内での導入事例も増えている。

 まず始めに、前述のアンケート内の自由コメントをまとめた紙が参加者に配布された。「製品ベンダー、SIerに対して一言申し上げたいことは?」と「全体についての自由な感想」には、ユーザー企業の率直な意見が並んでいた。

製品ベンダー、SIerに対して一言申し上げたいこと
・「期待が大きすぎるのかもしれないが、落胆するケースが多い」
・「新しいインフラに及び腰すぎる」
・「積み重なる運用保守工数および費用により、経営側もITを負の資産としてとらえがち。製品ベンダー、システムインテグレーターにも、ユーザー視点を含めた俯瞰的な視点で、一緒に経営課題を解決してくれる姿勢、人材が求められていると思う」
・「開発側の視点でなく、ユーザー側の視点にたった開発をしてほしい」

 こうした事前のアンケートも参考にして、今回のワールドカフェでは下記の手順に基づいて行われた。

<ワールドカフェの実施手順>
  1. 4人1組で1つの「島」を作る
  2. 4人のうち1人が「ホスト役」になる。ホスト役は最後まで島から動かず、島での議論の進行を担当する。
  3. 他の3人は島を渡り歩く「旅人役」。
  4. 議論のテーマを与えられたら、まずは今いる島で話し合う。その内容は、島に置かれた大型の模造紙とマーカーを使って落書きのように書き込んでいく。進行はホスト役が務める。制限時間は7分。
  5. タイムアップしたら、3人の旅人は他の島へとばらばらに渡り、同様のテーマについて7分間議論する。これを2回繰り返す。
  6. 最後は自分のいた元の島へと帰り、旅人は聞いてきた話を報告する。
  7. これを1ラウンドとする。今回は3ラウンド行う。

 参加者はA4用紙に「名前・仕事・期待すること」を記入し、ホームグラウンドとなる島の仲間で自己紹介を行った。こうして前準備が整ったところで、ラウンドの開始だ。各ラウンドのテーマは、次のとおりだ。

R1:あなたにとっての「IT」とは?
R2:「売上大」と「費用小」の観点では?
R3:道具としての「IT」に対して企業はどうあるべきか

 ホームグラウンドでの議論が終了すると、旅人は他の島へと旅立ち、2回の移動を経てからホームに戻る。帰ってきた旅人は今まで聞いてきた話を伝え、ホスト役はこれまで訪れた旅人の話をまとめて紹介、最後の議論を行う。

【次ページ】続々飛び出すユーザー企業の本音、IT活用に必要なこととは?

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