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- 2013/01/24 掲載
なぜ女性は昇進を断るのか?男女間の「違い」を理解する
活躍する女性社員を育てるために上司が知っておきたい20のこと
ブラマンテ株式会社 代表取締役。
成蹊大学文学部卒。日本人材マネジメント協会会員。IT業界専門の展示会主催会社などにてマーケティングマネジャーを務めた後、1999年にマイクロソフト日本法人に転職。約8年間の在籍中Windowsの営業およびマーケティングに一貫して従事。当時、営業・マーケティング部門では数少ない女性の営業部長を務める。在籍中、プレジデント・アワードを2回受賞。2007年ブラマンテ株式会社を設立。キャリアアドバイザーとして「目の前の仕事にやりがいを見出し、仕事が面白くなる働き方」「中間管理職向け、人を動かして仕事の結果を出すためのビジネス・コミュニケーション」「女性活躍支援~今のポジションで活き活きと働くための女性社員支援と上司向けマネジメント支援」の3つを軸に、コンサルティング、社員研修、セミナー、大学講義、執筆などを行っている。著書に『ワークライフ"アン“バランスの仕事力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『プレイングマネジャーの教科書 結果を出すためのビジネスコミュニケーション58の具体策』(ダイヤモンド社)、『働く女性28歳からの仕事のルール』(すばる舎)がある。
知っておきたいこと(4):昇進を断るのは「自信がない」から
女性活用に関する調査などで男性上司からよく寄せられるコメントに「昇進させようと思ったのに嬉しそうな顔をしない。やる気がないのか。」というものがあります。男女に関わらず優秀な部下をせっかくとりたてようと思ったのに、肝心の女性部下が浮かない顔ではがっかりするのもよくわかります。しかし、ここで知っておいていただきたいのは女性部下は決してやる気がないわけではないということです。
では何か…女性は「自信がもてない」のです。米国の発達心理学者スーザン・ピンカー博士の『女はなぜ昇進を阻むのか』にこのような記述があります。「…求人に応募したり自分がやると手をあげたりするとき、女性は100%確信がなければいけないと思う。一方、男性は50%の確信があれば、あとは“ハッタリ”でやれると思うのです。」
この性質は、女性に多いと言われている「インポスター症候群」に依るものというピンカー博士の記述が同書内にあるのですが、その特徴のひとつに自分を「過小評価」するというものがあります。たとえば仕事で成果をあげたとき、それを自分の実力ではなく「周囲のおかげ」「タイミングがよかった」と外的要因が理由だと考える傾向です。自分の実力で成果をあげたのにも関わらず、それを自信に結びつけることができないのです。
だから、その結果を評価して上司が昇進やチャンスの機会を与えても、「やりたいけれど、自信がない」「自分はまだその器ではない」と浮かない顔になってしまうのです。
したがって上司の皆さんには、自分の女性部下がこのような反応を示したときは決して安易にガッカリせず、女性のこういった傾向を知識として持ったうえで、彼女にもこのような傾向がないかまずは見定めていただいたうえで、対応をとっていただく必要があるでしょう。
知っておきたいこと(5):男性と女性のキャリア観は異なる
もうひとつ、女性が昇進やキャリアアップを提案されたときに浮かない顔をする要因として、「女性には男性とは違ったキャリア観があるから」ということが考えられます。働く男性にとって出世や昇進とは、自分の努力や社会的地位を示す勲章だとして、それを嫌がる人、断る人はほぼいないでしょう。ところが女性にとって働くことのやりがいとは、昇進や社会的地位よりも、仕事を通じて自分が成長できているという手応えであったり、地位や昇進に関わらず自分が必要とされているという実感を持てることなのです。
したがって上司はまず、自分のキャリア観が女性部下に必ずしも通用するとは限らない、女性にとっての仕事のやりがいとは、出世や昇進は必ずしもリンクしないという認識を持つ必要があります。
さらに認識していただきたいのは、日本の働く女性にとって、結婚や出産などのライフイベントがキャリアに大きな影響を与えるという現実です。結婚や妻の出産で仕事との両立を悩む男性は少ないでしょう。しかし、まだまだ家事や育児負担が大きくのしかかる日本女性にとって、チャレンジはしたいけれど将来を考えたときに仕事と家庭が両立できるか自信が持てない…そう真剣に悩む女性は少なくありません。
上司の皆さんには、このような自分にはない女性固有の悩みを認識し、それを自分事として向き合えるようになることが、これからの時代の上司として求められるスキルであると私は切に考えます。
【次ページ】「すぐに感情的になる…だからオンナは使いづらい」は本当か?
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