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2013年04月10日

対談:BYOD適用のポイントは?ワークスタイルの変化と合わせて考える

BYODの議論では、私物の端末を利用することのコストメリットやセキュリティがテーマとなりやすい。しかし、BYODが注目される背景にまで視野を広げないと、重要なポイントを見落としかねない。日本企業におけるBYODの現状、スマートデバイスの広がりとワークスタイルの変化について、矢野経済研究所 情報通信・金融事業部 コミュニケーションビジネスグループ グループ長 土佐 恒広 氏とデルのKACEブランドマネージメント シニア ブランドマネージャー 守川 啓 氏に話を聞いた。

数・種類ともに増え続ける企業内端末

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矢野経済研究所
情報通信・金融事業部
コミュニケーションビジネスグループ
グループ長
土佐 恒広 氏

 私物のスマートデバイスを業務で活用する「BYOD(Bring Your Own Device)」という言葉は、少なくとも言葉としては定着しつつあるようだ。しかし、その動きはいまだ初動にすぎず、BYODを積極的に取り入れている企業は、まだ少ないのが実態だろう。

 ただ、スマートフォンやタブレットを含め、企業が管理すべき端末が増えていくことは間違いない。矢野経済研究所の土佐恒広 氏は、次のように指摘する。

「今後、BYODのように私物の端末も含めて、企業が管理すべき端末が増えていくのは確実です。しかも、これまではWindowsだけを相手にしていればよかったのが、iOSやAndroidも対象になり、端末のライフサイクルを含めて管理することが求めらるようになります。」(土佐氏)

 なお、会社側が配布するスマートデバイスを、自宅も含めてさまざまな場所で活用するスタイルも、広い意味ではBYODと呼ばれることがある。デルの守川 啓 氏は、こうした会社支給型のスタイルの方が、日本にはなじむのではないかと推測する。

「BYODには大きく2種類あると考えています。1つは、企業がスマートデバイスを従業員に配布する方法です。我々はこれを『コーポレート』と呼んでいます。もう1つが、完全に私的なデバイスを利用するいわゆる純粋なBYODです。日本においては、コーポレート型のBYODがなじむのではないかと思いますが、我々としては、どちらを選択されても、必要な製品を提供したいと考えています。」(守川氏)

いまはまだ手探り状態、企業のスマートデバイス活用は始まったばかり

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デル
KACEブランドマネージメント
シニア ブランドマネージャー
守川 啓 氏

 さらに日本企業のBYODの現状について、守川氏は「現状追認型になっている」として、次のように指摘する。

「企業システムの在り方、ガバナンス、ポリシーの作り方も、現状追認型になっていると思います。ガバナンス、ポリシーありきではなく、先にビジネス現場にスマートデバイスが広がるという現状に合わせてガバナンスやポリシーを作っている面は、否定できないのではないでしょうか。」(守川氏)

 また、企業のスマートデバイス活用も、うまくハマっているケースもあれば、いまだ実験段階にとどまっているケースもあるなど、レベルはさまざまだ。

「たとえば、ある不動産会社では、タブレットでGoogleのストリートビューを起動し、物件そのものや駅から物件までのルートをお客さんに見せています。わざわざパソコンを立ち上げなくても確認できるので、非常に有効な使い方だと思います。一方、実験的に導入したものの、どう活用すべきか決まらず、先に進めない企業も少なくないように思います。」(土佐氏)

 土佐氏は、スマートフォンとタブレットの違いについても、次のように説明する。

「我々の調査では、スマートフォンを使いたいという要望は社員から上がってくるのに対し、タブレットに関しては、企業側から社員に対して使うように指示が出るケースが多いようです。また、スマートフォンは電子メールやスケジュールの確認で利用されることが多く、タブレットは業務プロセスに関連した使い方が多いという違いがあります。」(土佐氏)

「どう変わるか」ではなく「どう変えるか」

 では、今後、BYODが広がり、企業でスマートデバイスが本格的に活用されるようになると、我々のワークスタイルはどう変わっていくのだろうか。土佐氏は次のように説明する。

「私は、ワークスタイルが『どう変わるか』ではなく、『どう変えるか』が問われていると思います。ご存じのように、多くの日本企業は、国内だけでマーケットを構成するのは困難です。少子高齢化がすすみ、働き手が減っていけば、女性や高齢者の活用は不可避です。そうなると、それに対応した働き方を支える仕組みが必要です。BYODもそのひとつなのです。」(土佐氏)

 ただ、そうなると情報システム部門だけでは限界がある。たとえば、セキュリティポリシーを策定する場合でも、「やっていいい」ホワイトリスト型でいくのか、「やってはいけない」ブラックリスト型にするのかといった企業文化に関わる選択が必要になる。また、働き方を変えるためには、就業規則の変更も必要になるし、従業員の評価システムも関係してくる。

「ワークスタイルを変えるには、最終的にはトップダウンで上から変えていく必要があります。ボトムアップでは困難でしょう。しかし、それを実施することによって、企業は大きなアドバンテージを得られると思います。」(土佐氏)

 また、ベンダーの立場から、守川氏は企業のワークスタイルの変革をサポートすると強調する。

「デルの基本的な考え方はオープンであることです。今後ますます多様化が進む中で、お客さまはさまざまな環境・使い方をされるでしょうが、その場合でも我々はしっかりサポートしたいと思います。一方で最近はサイバー攻撃をはじめとする脅威も高まっています。持ち込みを黙認している状況はいずれセキュリティに重大な問題へとつながる可能性もあるため注意が必要です。デルは、これまでもIT資産管理ツールを提供してきましたが、スマートデバイスの管理機能をさらに強化し、セキュアなシステム構築のお手伝いをしたいと思います。」(守川氏)

 BYODは、企業がスマートデバイスを導入するひとつの形態にすぎない。しかし、BYODの背後には、日本企業が抱える少子高齢化やグローバル対応、ワークスタイルの変革といった大きな課題が横たわっている。

 2013年4月23日に開催されるセミナー「ワークスタイルの多様化を実現するマルチデバイス戦略」では、土佐氏と守川氏の両名のほか、インテル、日本マイクロソフトの企業講演、ならびにデロイト トーマツ コンサルティングの八子知礼氏の特別講演もある。

 今回お二人に聞いたBYODの背景も含めて、企業、組織のIT部門が考えるべきワークスタイルの変革やマルチデバイスの支援するポイントが紹介される予定だ。ぜひ参加して、自社のBYOD導入への選択肢を広げていただきたい。

(執筆:井上健語 聞き手・構成:編集部 松尾)

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