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  • 2013/05/17 掲載

ガートナー スティーブ・プレンティス氏:今後5年間でITに影響を与える10のトレンド

SDN、ビッグデータ、クラウド、BYODはどうなる?

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市場環境や社会の変化、あるいは人員の流動など企業内の変化が、ITインフラとその運用計画に大きな影響を及ぼすようになってきている。ガートナー リサーチ バイスプレジデント兼ガートナー フェローのスティーブ・プレンティス氏は、現在の企業が注目すべき最重要トレンドとして、SDNやInternet of Things、IT/OTの将来、BYODのマルウェア被害に対する見通しなど、今後求められる取り組みに対する重要な示唆を行った。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

背景にあるのはIT自体の著しい複雑化

photo
ガートナー リサーチ バイスプレジデント

ガートナー フェロー
スティーブ・プレンティス氏
 ガートナー ITインフラストラクチャ&データセンターサミット2013で登壇したプレンティス氏は、Social、Mobile、Information、Cloudという4つの力がITインフラとその運用の性質を変えていると指摘、今後5年間でさらに大きな力を発揮していくと強調するとともに、これから注目すべき10のトレンドを提示した。

「1つのトレンドだけでITのすべてが変わるということではない。1つが変われば次が変わり、さらにまたその次が変わる。こうしたドミノ倒しのような影響、もしくはいくつかのトレンドの組み合わせにどう対応していくかが、今後5年間でIT部門がデータセンタを管理し、運用する中で直面する大きな課題になってくる。」

  1. 組織の砦と破壊
  2. ソフトウェア・ネットワーク
  3. ビッグデータとストレージ
  4. ハイブリッド・クラウドサービス
  5. クライアント/サーバ・アーキテクチャ
  6. モノのインターネット
  7. IT/OT(=オペレーショナルテクノロジー)とアプライアンス全盛
  8. オペレーションの複雑性
  9. 仮想データセンタ
  10. ITデマンド

 それではこの中の主なものについて見ていこう。

 まずプレンティス氏は組織の砦と破壊について言及、2014年までにSaaSの運用管理ツールを使用する組織の30%がサービスレベルの低さを理由にオンプレミスに転換すると指摘した。市場の統合によって、ITサービスベンダの上位100社のうち20社が姿を消すという。

「これまで最先端企業が推進してきた積極的なクラウド化、もしくは外部サービスの利用が低速化、あるいは停止するということ。今まで誰かに肩代わりしてもらえば心配ないと思っていた機能やサービスを、もう一度、社内に置き直すことが重要だと再認識されている。」

 この背景にあるのが、IT自体の著しい複雑化だ。またリアルタイムでのユーザーサポートも求められるようになった。さらに変化のスピードが加速し、開発期間の短縮も必須となっている。

「完璧なものでなくてもいい。ビジネス側は今欲しいものを数週間、場合によっては数日間ですぐに手中に収めたい。要件を分析し、アプリケーションを開発し、テストが終わるまで待って欲しいというようなこれまでのやり方はもう許されない。」

 一方でIT予算は縮小化傾向にあり、団塊の世代が退職しつつあることで、さまざまな経験知が企業内から徐々に消えていくこともある。

「こうした背景を十分に認識した上で、企業は内外から発生する破壊的な波に備えていく必要がある。」

ネットワークの構成変更を数分間でできる運用方法も登場

 次に言及したのが、ソフトウェア・ネットワーク、つまりSoftware-Defined Network(SDN)だ。従来は各種ハードウェアに依存していたネットワークの運用が、今ではソフトウェアによって一元的にネットワークをコントロールするSDNという新しい運用方法にとって変わりつつある。ネットワークレイヤを抽象化することで仮想的なネットワークを構築し、それによってハードウェアの制約を受けることなく、ソフトウェアによる一元的な管理を実現可能とするものだ。

「ネットワークのもたらす価値が1つ1つのデバイスから切り離されて、一元化されたソフトウェアベースのコントロールに変わってきているということ。つまりはアーキテクチャの大きな変化だ。これまで数週間かかっていたネットワークの構成変更が、SDNでは数分間でできるようになる。」

画像
Software-Defined Network
(出典:ガートナー)


 一方でこれは取りも直さず、新しいスキルが必要であることに他ならない。

「SDNが企業に大きな便益をもたらすことは確実だが、同時に組織に大きな破壊をもたらすものでもある。SDNが現実のものとなっている今、スキルのアップデートをすぐに開始する必要がある。」

 また現在多くの企業で最重要課題となっているビッグデータの活用においては、従来の構造化データに加えて非構造化データまでがその対象となることで、ペタバイトやエクサバイト、あるいはそれ以上の膨大な量のデータを保存、管理していかなければならない。ストレージはどんどん拡大していく。

「すべてのデータ入力を見直して必要なものだけを維持するとか、データをセグメント分けして優先順位を付けるなどの対策が必要だ。」

【次ページ】ビッグデータとストレージ、Internet of things

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