- 会員限定
- 2013/05/22 掲載
活き活きと働く女性を増やすためのマネジメントとは
活躍する女性社員を育てるために上司が知っておきたい20のこと
ブラマンテ株式会社 代表取締役。
成蹊大学文学部卒。日本人材マネジメント協会会員。IT業界専門の展示会主催会社などにてマーケティングマネジャーを務めた後、1999年にマイクロソフト日本法人に転職。約8年間の在籍中Windowsの営業およびマーケティングに一貫して従事。当時、営業・マーケティング部門では数少ない女性の営業部長を務める。在籍中、プレジデント・アワードを2回受賞。2007年ブラマンテ株式会社を設立。キャリアアドバイザーとして「目の前の仕事にやりがいを見出し、仕事が面白くなる働き方」「中間管理職向け、人を動かして仕事の結果を出すためのビジネス・コミュニケーション」「女性活躍支援~今のポジションで活き活きと働くための女性社員支援と上司向けマネジメント支援」の3つを軸に、コンサルティング、社員研修、セミナー、大学講義、執筆などを行っている。著書に『ワークライフ"アン“バランスの仕事力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『プレイングマネジャーの教科書 結果を出すためのビジネスコミュニケーション58の具体策』(ダイヤモンド社)、『働く女性28歳からの仕事のルール』(すばる舎)がある。
知っておきたいこと(17):上手その4「叱り上手」になる
しかも、連載の第2回で紹介した、女性に多いといわれる「インポスター症候群」の特徴のひとつ、失敗を内在化しやすい傾向の部下であれば、すでに失敗したことで自信をなくしています。したがって、これ以上声を荒げて彼女の心の傷を深くする必要はありません。こういう女性部下に対して必要なのは、次のポイントを踏まえて「叱らずとも伝わる」伝え方をすることです。
- 失敗そのものにフォーカスせず、失敗をリカバリーすることにフォーカスさせる
- 失敗は成長のチャンスだと思えるようなメンタリティを持たせる
- 精神的ダメージからの立ち直りまでが叱るという行為
そのために有効なのは、「どうしたの?XXさんらしくもない」といった「罪を憎んで人を憎まず」な伝え方を心がけること。自分を否定されているわけではないと理解できれば、失敗と冷静に向き合える可能性が高まります。
それでも失敗したことで萎縮はしています。上司に相談もできず、一人で何とかしようと空回りし、事態を悪化させる恐れがないとも言えません。それを避けるためにも「これは最優先事項だから、何かあればいつでも相談に来るように」と、部下を精神的に孤立させないフォローの言葉もかけてください。
さらに「このトラブルを乗り越えれば、必ず一歩成長できる」といった期待の言葉をかけることで、失敗に対して前向きになれるばかりか、がんばる勇気をもらうこともできます。彼女たちが失敗を成長の糧にできるよう、ぜひ“叱り上手”になっていただきたいと思います。
知っておきたいこと(18):上手その5「ほめ上手」になる
叱り上手と同じくらい、女性を育てるうえで重要なのは「ほめ上手」になることです。インポスター症候群のもうひとつの特徴である自己肯定感が低いタイプの女性は、よい仕事をしてもなかなかそれを自分の自信に置き換えることができません。それが、昇進などのチャレンジを打診しても「やりたいけど自信がない」と渋る原因になっていることは、以前お話した通りです。だからこそ、良い仕事をしたときは上司がほめてください。前回お伝えした「観察力」を磨き、どんなに小さなことでも良い仕事ぶりを見つけたら、それを声に出して伝えてください。「さっきの会議のあの発言は良かった」「ミーティング前のチームの声がけ、とても助かってるんだよね」仕事の現場で、女性部下に小さくとも自信を持たせる機会はたくさんあります。心の中で感心するだけでなく、ぜひそれを声に出す習慣をつけていただきたいと思います。
これが女性を育てるうえで重要なのは、たとえ小さくとも上司にほめられたというのは“成功体験”であり、成功体験の積み重ねはイコール、自信の積み重ねにつながるからです。そして、自分では持てない自信の感触を上司が日常から味わわせることができれば、いつか大きなチャレンジがやってきたときに、「今までできたんだから、今度もできるかも」という勇気を女性に持たせることができます。自己肯定感が低い女性部下を持つ上司にとって、自信を持たせるというのは、最も重要な上司の役割のひとつであると私は考えます。
【次ページ】まとめ~活き活きと働く女性を増やすために
関連タグ
関連コンテンツ
PR
PR
PR