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  • 2013/05/30 掲載

ジャパネット 高田明社長が語る、テレビの売上1/20に激減の中での不退転の決意

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佐世保のカメラ店からスタートし、今ではテレビやラジオ、インターネットなどを介した通販事業を大々的に展開するジャパネットたかた。そのジャパネットたかたとコールセンター事業を営むジャパネットコミュニケーションズを傘下に持つジャパネットホールディングスは、2010年12月期に過去最高売上高の1,789億円を記録したが、ここ2年は連続して売上高を落としている。代表取締役の高田明氏は今年2013年を“覚悟の年”と位置付け、過去最高益を出さなければ社長を辞めると不退転の決意を見せる。6割の売上を占めていたテレビの売上が1/20になるなど、厳しい経営環境の中で見出した秘策とは何か。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

企業は“何を目標にして成立しているのか”が一番大事

photo
ジャパネットホールディングス
ジャパネットたかた
代表取締役
高田 明 氏
 通販ソリューション展(リード エグジビジョン ジャパン主催)で登壇したジャパネットHD 代表取締役 高田明氏はまず、自社の2期連続の減収減益に触れた。2012年12月期の売上高は1,170億円で、2010年と比べれば600億円以上の大幅な落ち込みだ。

「そんな企業の社長が皆さんの心に届くようなことを語れるのか。しかし多分語れると思う。企業経営は山あり、谷あり、人生と同じだ。いいことばかりではない。企業は“何を目標にして成立しているか”が一番大事なのではないか。」

 高田氏は“企業は何のために存在するのか”をずっと問い続けてきたという。ジャパネットは上場していないが、たとえば上場企業なら株主のためというのも一つの見方だ。また消費者からもらった売上を還元していくという精神ももちろん必要となる。

「私は今64歳だが、人は年を重ねてくるにつれて、自分のためだけでなく人のために役に立ちたいという思いが湧きあがってくる。企業もまた同じだ。特定の誰かのためではなく、何のために存在して、どんな役割を果たすのか。それを考えれば企業は売上一辺倒、利益一辺倒ではない。そういう思いを常に抱いて、私は事に当たっている。」

企業を100年残す一番の素は、“できる”と信じて今を一所懸命やり続けること

 現在、家電が売れなくなっているという。2010年には月間で200億円以上の売上を出していたテレビが、今では5~10億円程度になった。また好調だったパソコンもスマートフォンに食われ、今年になってからはタブレット端末が大変な勢いで売れている。さらにはカメラ機能を搭載したスマートフォンによってデジタルカメラが、今年に入ってからはカーナビが売れなくなってきているという。

「商品は社会現象など時代の背景によってどんどん変わっていく。これは今後もずっと続いて行くだろう。だが人はテレビが売れたとか、パソコンが売れたとか、過去に囚われる。しかしいくら過去を振り返っても何も生まれはしない。」

 また将来がどうなるかも人は考えるが、今の時代はそれもできない。為替や株価がどうなるのか、この20年間で誰も正確に当てた人はいない。

「だったら今という瞬間を一所懸命やり続けることが、企業を100年後にも残す一番の素になるのではないか。私のぶれない心は何かと問われたら、一所懸命やることだと答える。」

 60秒のテレビショッピングでは価格を伝えるのに約20秒が必要で、商品そのものを伝えるための時間は約40秒だという。

「だが私の語りだけでは決して消費者の皆さまの心は動かない。カメラを担当するメンバーやスイッチングを担当するメンバー、商品展示を担当するメンバーなどたくさんの人が関わって、その60秒を一所懸命に考えている。極端に言えば、そこには戦略も戦術もない。」

 そして、できると信じること。

「企業も個人も、できない理由をまず探す。なかなか実績が出ないという時に何が一番不足しているかといえば、できると信じる自分がいるかどうか。それで企業の業績も、人生の生き方も変わってくる。」

企業が生き残るためには、一所懸命の行動を習慣化させることが必要

 高田氏は今年を“覚悟の年”と位置付け、過去最高益だった2010年の136億円を超えなければ、社長を辞めると宣言している。

「声に出し、自分を信じて、行動に移す。結果的にはできないかもしれない。でも自分の信念を言葉に出して、実行するということをやってみたいと思った。」

 最高益に向かって頑張る従業員の姿を見た時に、今年は仕事がある限り、1日も休まないという宣言もしたという。今年のゴールデンウィーク中も1日も休んではいないとのことだ。

 そしてこの1月から4月の数字を見てみれば、利益は8倍も伸びているという。売上高も100億円の伸びだ。今年度は恐らく数百億円の売上アップになり、過去最高益も大きく現実味を帯びてきているようだ。

「できる理由を考える。そして宣言して行動に移した瞬間、夢の9割は必ず達成できると信じている。」

 では後の1割は何なのか。

「それは継続だ。実際の行動を続けられるかどうか。私の年になって仲間が集まれば、高田頑張っているな、俺も夢を持っていたんだよという話も出てくる。しかし夢は持ち続けて、一所懸命やり続けて、そして自分を信じ続ければ、必ず叶う。」

 しかしそう考えると、人生は非常にきついと高田氏は続ける。若いうちはよくても、年を取ったらできないのではないか。

「続けていれば、やがて習慣化する。起点となった発想や行動のパターンを自分の中に習慣化できるかどうか。これは企業が生き残るために一番大事なことではないかと私は考えている。」

【次ページ】売上の6割を占めていたテレビが売れなくなった

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