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  • 2013/06/13 掲載

MonotaRO 鈴木雅哉 社長インタビュー:300万点超のB2Bネット通販事業でROE35%の秘密

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インターネットやカタログなどを介した事業者向け工場用間接資材の通信販売を行うMonotaRO(モノタロウ)。工場や自動車整備の現場などで利用される切削工具や研磨剤、溶接材料や清掃用品などを販売するいわばB to Bのネット通販事業を手がけている企業だ。今やその取扱商品は300万点超、会員数は98万4000件(2013年6月10日現在)にのぼり、2012年12月期のROE(株主資本利益率)は34.9%と驚異的な数字を誇る。2000年設立後は、2006年に上場、2009年には東証1部に上場するなど、飛躍的な成長を遂げる原動力について、同社代表執行役社長の鈴木雅哉氏に話を聞いた。

今では300万点以上の間接資材を取り扱うB2Bネット通販

photo
MonotaRO(モノタロウ)
代表執行役社長
鈴木雅哉氏
 MonotaROは2000年10月、住友商事と米国グレンジャー社の出資により住商グレンジャーとしてその歴史をスタートさせ、2006年2月に現社名となった。元々鈴木氏は、MonotaRO創業者で現 代表執行役会長の瀬戸欣哉氏とともに住友商事の鉄鋼部門でEコマースチームを立ち上げた経歴がある。当時、鉄や木材など事業用のマーケットプレイスが米国で数多く生まれ、伝統的な商社のビジネスや商慣習がやがてはネットに置き換えられるという強い危機感を抱いたからだ。

 その時、瀬戸氏がネットを使ったビジネスの核として位置付けたのが“検索性”だった。検索が手間な商品は何なのかを考えた結果、事業者向けの間接資材に辿り着いたのである。米国では1995年に誕生したAmazonがちょうど大きくなり始めた頃だ。

「間接資材の市場には、多種多様な商品を、色々な人が、不定期に購入するという特徴があります。そのため、従来、商品を提供する側は、お客さまの会社を回って必要な品物がないかを聞くいわば“御用聞き”のような販売の仕方が中心でした。しかし国や企業が成熟し、人件費が高くなってくると、規模の小さな取引では人が毎日訪問するコストが実際の利益と見合わなくなってきます。また対面販売が基本なので同じ商品でも、お客さまによって単価が異なるという不健全な状況もあったのです。」(鈴木氏)

 そこでMonotaROは、インターネットを介し、同じ商品ならワンプライスで提供しようと考えた。その時に重要となるのが、ユーザーが必要な商品をすぐに見つけることができるかどうか、つまり自社がいかに高い検索性を提供できるかどうか、ということだ。

「現在MonotaROでは300万点以上の商品を提供していますが、そうした商品1つ1つの電子カタログを作るところから始めました。そして幅広い商材を、インターネットを使い、不特定多数のお客さまが何らかの商品を必要とする時に、我々のサイトに来れば商品が見つかり、必要な数量を入力するだけで購入できるという環境を構築したのです。納期も明確でしかもワンプライスです。従来から間接資材を扱っていた企業にとっては脅威だったと思います。」

 脅威となるのも当然である。今まで企業ごとに値付けが違うのが当たり前だった間接資材の市場に、商品のカタログと固定価格をネット上で公開するプレイヤーが現れたのだ。創業当時はFAXでの注文がほとんどだったが、今ではネットでの注文が全体の約86%を占めるまでになっている。

 またこれまで電話で問い合わせをしてきたユーザーが、現在では検索エンジンを使い、MonotaROのページを見つけてくれるようにもなった。まさにネットの黎明期から検索性に着目したMonotaROの先見の明だ。2013年5月時点でのサイトの利用者数は、全国の市町村で98万4000件(2013年6月10日現在)にも及ぶ。

小さくテストして大きく育てる

画像
MonotaRO登録ユーザー数推移
(資料提供:MonotaRO)

 当初MonotaROは、間接資材の購買システムを大企業向けに提供できるのではないかと考えていたという。しかしサイトを立ち上げた頃の取扱商品数は約24万点で、これではユーザーが検索しても見つからない商品ばかり。また価格競争力もそれほどなかった。

「大企業向けに提供しようとした時、商品がないとか、今買っている価格よりも高いという声がお客さまから挙がってきた時、当時の我々は打つ手がありませんでした。」

 そこで仕切り直しをし、2002年末頃から改めて中小企業向けの通信販売としてサービスを提供することにした。チラシや商品カタログを作り、ダイレクトメールとして中小企業に郵送した。これが奏功し、少しずつ注文が入り始め、併せてサイトのトラフィックも徐々に増え始めた。

「するとさらにお客さまが検索エンジンで検索した時に、我々のサイトを見つけていただけるというケースも出てきました。創業当時、ネットビジネスの核と位置付けていた検索性によって、MonotaROの存在を知っていただけるようになったのです。」

 リーチするよりもリサーチされる。まさにインターネットによって、より多くのユーザーに、より効率的に、自分たちの存在を探してもらえる状況が生まれてきたのである。

「昔も今も変わらない我々のルールですが、小さくテストしてみることが非常に大切だと考えています。またインターネットのような新しいテクノロジーやソリューションが現れた時、それらを十分に利活用していくことが、新たなマーケットを生むことに繋がると思います。」

【次ページ】ROE35%を実現するビジネスモデル

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