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2013年08月21日

ノークリサーチ連載:中堅・中小企業市場の解体新書

東京商工会議所が開設した「クラウドワークスクエア」が他と異なる3つのポイント

IT活用の新たな選択肢として「クラウド」が登場してから早くも数年が経過した。サーバハードウェアなどの資産を所有する必要がないという点で、クラウドは中小企業におけるIT活用負担を下げるものとして期待されており、これまでにもさまざまなサービスが登場し、導入事例も着実に増えている。だが、潜在ニーズを考えれば中小企業におけるクラウド活用はもっと伸びても良いはずだ。その障壁となっている要因の一つが「クラウドがもたらすメリットがわからない」「クラウドをどう活用すればよいかの具体的なイメージがわかない」といったユーザー企業に対する啓蒙/認知の不足だ。それらの課題を解消する取り組みの一つとして、今回は東京商工会議所が開設した「クラウドワークスクエア」を取り上げることにする。

執筆:ノークリサーチ 岩上由高

コスト削減以外のメリットが十分に認知されていないことが課題

 まず以下のグラフをご覧いただきたい。これは情報系(グループウェアやメールなど)や顧客管理系(CRMやSFAなど)のクラウドサービスを既に活用している従業員数100人未満の中小企業/小規模企業に対して、「活用前に期待していた導入効果」と「活用後に実際に得られた導入効果」を尋ねた結果を比較したものだ。項目は多岐に渡るが、ここでは活用前後で差が大きかった項目のみをプロットしている。

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情報系/顧客管理系のクラウドサービスがもたらす導入効果(従業員数100人未満対象)


 冒頭に述べた「サーバハードウェアなどの資産を所有する必要がない」といったクラウドの特徴は、グラフ選択肢では「ハードウェアの維持費用を削減できる」に相当する。クラウドが登場した当初はこうしたコスト削減効果に注目が集まった。しかし、昨今はサーバハードウェアの価格も低下しており、故障なども起きにくくなっている。そのため資産を所有しないことによるコスト削減メリットを享受しづらくなっているのが現状だ。実際、上記の調査結果でも「ハードウェアの維持費用を削減できる」といった項目の導入効果は活用前よりも活用後のほうが下回っている。

 一方、「システムを素早く構築できる」「社外からもアクセスすることができる」「スマートフォンや携帯から利用できる」といった項目の導入効果については活用前よりも活用後のほうが上回っている。つまり、これらの項目は「実際に使ってみて、初めて実感できたクラウド活用のメリット」といえる。

 たとえば、『営業マンが社外からもスマートフォンで在庫確認ができれば販売も上向くはずだ。代理店にもその仕組みを利用してもらいたい。そして、できるだけ早くこれを実現したい。』と考えるユーザー企業があったとする。

 このユーザー企業にとっては「システムを素早く構築できる」「社外からもアクセスすることができる」「スマートフォンや携帯から利用できる」というクラウドのメリットがニーズと正に一致する。

 だが、グラフが示すように中小企業がこうしたメリットを実感できるのは実際にクラウドを活用した後の段階だ。そのため、コスト削減だけではないクラウドのメリットを活用前の早い段階で中小企業に広く伝えることが求められているのである。

スマートデバイスを通じたクラウド活用を体験/実感する場の提供

 では、コスト削減だけではないクラウドのメリットをどのようにして伝えていけば良いのだろうか?動画を用いた説明をWebサイトに掲載するなど、クラウドサービスを提供する業者もさまざまな工夫を行っている。だが、それぞれの業者のWebサイトを見て回るのは中小企業にとっては負担が大きい。また、先に例として挙げた「スマートフォンから在庫確認を行いたい」というニーズであれば、スマートフォンでの操作感を実際に試してみたいと考えるだろう。どのサービスが良いか?を選択する際には中立的な立場からの助言も必要となる。

 こうしたニーズに応える形で、東京商工会議所が2013年6月に新たに開設したのが「クラウドワークスクエア」である。千代田区丸の内にある東京商工会議所ビルの1階にあり、さまざまなクラウドサービスの展示および活用の相談、セミナーの実施、ノートPCやモバイル機器を持ち込んでの利用が可能なワークスペース提供といった活動を行っている。

 以下では「クラウドワークスクエア」を推進する、東京商工会議所 地域振興部副部長兼IT化支援担当課長の橋本一朗氏にお話を伺いながら、中小企業がクラウド活用を検討する際に留意すべき点などについて考えていく。

 まず、東京商工会議所が「クラウドワークスクエア」の開設に至った背景にはどのようなものがあるのだろうか?橋本氏が挙げるのは以下の二つのポイントだ。

背景1: スマートデバイス活用を通じたクラウド訴求の必要性
背景2: 端末やサービスを実際に体感できる場の必要性

 東京商工会議所が中小企業を対象に独自に実施した調査においても、スマートデバイスやクラウドへの関心は高かったという。

 実はこの両者は密接に関係している。

 先に例として挙げた「スマートフォンからの在庫確認」においても、在庫管理システムそのものをクラウド環境に配置することでスマートフォンからのアクセスが容易になる。しかし、ユーザー企業では「スマートデバイス活用の背後にクラウドがある」という認識がまだ十分に浸透していないと感じる場面もあると橋本氏は指摘する。

 逆に言えば、スマートデバイスを入り口としたクラウド活用を具体的に示すことができれば、中小企業のクラウドに対する理解も深まるというわけだ。これが背景1である。

 また、東京商工会議所のこれまでの活動の中で反響が大きかったのが、具体的な活用事例を紹介するセミナーや展示交流会である。こうした反応を受け、端末やサービスを実際に試せる場を常設することが重要と判断した。これが背景2である。

 このように「クラウドワークスクエア」ではスマートデバイスと関連したクラウド活用に特に注力している。

【次ページ】「クラウドワークスクエア」がこれまでとは異なる3つのポイント

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