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  • 2013/11/21 掲載

フィリップ・コトラー教授が語る、企業のイノベーションを担う6タイプの人材スキル

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21世紀のグローバル競争において勝敗を左右するのは、“イノベーションの力”だ。その対象は自社の利益や株価だけでなく、社会や地域への貢献、サステナビリティ(=持続可能性)の追求など多くの領域に及ぶ。イノベーションとマーケティングの関係などについて、25年以上も研究を続けているノースウェスタン大学 ケロッグ・スクール・オブ・マネジメントのフィリップ・コトラー教授は、「イノベーション力に秀でたプレーヤーは、ほぼ例外なく優れた“マーケティング力”を備えている」と指摘する。イノベーション力を発揮し、グローバル競争において勝者となる条件とは、一体どのようなものなのか。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

全社的にイノベーションを評価し、革新的な考え方をすべし

photo
ノースウェスタン大学 ケロッグ・スクール ・オブ・マネジメント 教授
フィリップ・コトラー 氏

 日立イノベーションフォーラム2013で登壇したコトラー氏は冒頭、「企業はどんなに巨大化しても、常に脆弱性を抱えている」と指摘し、「すべての企業は将来に備えて、破壊的な状況をビジュアル化しなければならない」と強調した。

 たとえばウォルマートのような成功している小売企業でも、アマゾンの動きを常に気にかけていなければならない。それというのも、アマゾンでは本や家電製品、洋服などウォルマートが売っている商品をほぼすべて、オンラインで販売している。消費者がアマゾンで何か品物を買う時には、ウォルマートは損をしているということだ。

 「今、世の中で安心していられる企業はない」とコトラー氏は指摘する。またかつては新商品を開発するためには、研究開発ラボのような組織に頼らなければならなかったが、今では色々なやり方がある。自社が欠如している能力を持つ別の企業を買収する、あるいは外部企業の助けを借りるといった方法だ。たとえばソフトウェア開発ならインドが優秀な人材を数多く抱えている。

「これからの企業にとって非常に重要となるポイントは、全社的にイノベーションを評価し、革新的な考え方をすることだ。これは研究開発やマーケティングの部門だけでなく、会計部門や人事部門にも当てはまる。何とかしてイノベーションを大切にするカルチャ、イノベーションのマインドセット(=思考の状態、癖)を構築しなければならない」

イノベーティブな考え方が、新しいビジネスを創出する

 次にコトラー氏は、イノベーションに成功した企業の例として、洗濯機のリーディングカンパニーである米Whirlpoolを採り上げた。

 1990年代、白物家電業界はこう着状態にあり、優良な企業が多く存在し、どの企業も撤退することも勝利を収めることもできないという状況だった。

 そこでWhirlpoolのCEOは“イノベーションを起こすための考え方”が必要だと考え、新しいアイデアが生まれた時には必ずチームを作り、市場に入り込んで1か月間、生活することを要求したという。

「買い手の身になることで、消費者の考え方を理解することを求めた。その考え方を元にして商品プランを作り、新しい商品を100日以内に導入することを考えた」

 一方、商品開発に必要なテクノロジがすべて揃っていたわけではなかった。そこで、それらをどこで確保すればいいのかも調査した。

「これも新しい考え方で、同社が米GE(General Electric)から学んだ教訓だ。新しい商品を開発する際には、社内ですべてのテクノロジが揃っている必要はなく、社外のナレッジワーカーなどの資源を活用すればいい」

 またWhirlpoolは各大陸にCenter of Excellence(中心的な役割を担う研究拠点)を設置し、イノベーションを進めた。たとえばアフリカでは、欧米や日本の市場向けに作った製品が売れるわけではないが、現地なら“こういう製品を作ればアフリカの人にも買ってもらえる”というアイデアを提供することができる。

 さらに社員にもイノベーティブな考え方をすることを求めた結果、それまで想像だにしなかった新しいビジネスが生まれたという。それが“Gladiator Garageworks”というサービスだ。

 通常ガレージは単なる車置き場で、あまり心地のいい場所ではない。ただそこに小さな冷蔵庫を置いて、作業をする人もいる。そこでガレージに棚を作り、素晴らしい作業台を据え、大きな冷蔵庫を置くことによって、もっと快適な空間にすることができるのではないかと発想し、快適な空間演出のための商品群をGladiator Garageworksというブランドで提供した。

「“ガレージを心地よいワーキングスペースに変えていく”というイノベーティブな考え方によって新しいビジネスが創出されたいい例」

【次ページ】イノベーティブなアイデアを手に入れるための3つの方法

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