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2013年11月26日

データ等の流用はどこまで許されるのか

転職先の会社でも、以前作ったプレゼン資料は使えるか? 「職務著作」の落とし穴

転職の際、前の会社に勤務していた頃に自分が関わったビジネスと類似するビジネスを、次の会社で行うことや、前の会社に勤めていた頃に作ったデータ等を新しい会社で使うことは、どこまで許されるだろうか。生涯雇用が崩れ、転職が珍しいものではなくなってきた現代では、こうした問題は、すべてのビジネスマンにとって、いつか実際に直面する可能性が高いものだ。本稿では、転職に伴い従業者に生じる拘束について、法的観点から概論を述べていこう。

執筆:弁護士 河瀬 季


転職前の会社で作ったデータやアイディアは
「自分のもの」とは限らない

 転職後には、前の会社で培った能力やキャリアを活かして働きたいところだが、注意すべき点がある。例えばプレゼン用に作ったPowerPointファイルなど、「自分のもの」と思っているデータやアイディアなどが、実は自分のものではなく会社のもので、それを新しい会社で使うと法律上の問題が生じる、ということがあるからだ。

 法律上、著作権法と特許法が従業員の作った著作物や発明について規定を置いており、これとは別に、会社と従業員の間では契約がなされることが通常だ。転職に際しては、これらの法律や契約が問題になる。

「著作物」は職務著作に該当すると会社が著作権を持つ

 職務著作とは、一言で言えば、従業員が仕事上で作成した「著作物」のこと。「著作物」というと映画や音楽が頭に浮かぶが、図面やプレゼン用ファイル、プログラムなども「著作物」にあたり得る。上司等の命令で仕事上作成された「著作物」は、「職務著作」に該当し、その著作権は会社に帰属する。後述する特許権と異なり、著作権の場合、官公庁への申請や登録などは不要だから、作った時点で当然に著作権が発生し、会社に帰属する、ということだ。「上司等の命令」「仕事上」という条件は、例えば「具体的な命令がなくても、職務として期待されているものなら職務著作になる」というように、緩く解釈されている。

 そして、著作権は、自分以外の者によるコピー(等)を禁止する権利だ。従って、職務著作については、退職後に、自分で利用することも、新しい会社が利用することも許されない。例えば、前の会社に勤めていた頃に仕事上作ったプログラムを新しい会社に利用させると、会社同士の紛争になり、最悪の場合、新しい会社は、そのプログラムを用いた製品全体を販売停止させなければならなくなる。

 また、後述する「発明」の場合、発明者としての権利を会社に渡すことで対価を受け取ることができるのだが、「著作物」については、対価についての規定はない。

職務著作は会社名義で「公表するもの」に限られる

 ただし、プログラム以外の著作物の場合、著作権が会社に帰属するには、一つ条件がある。会社名義で「公表するもの」であることだ。この「公表するもの」という文言についてはさまざまな議論があるが、おおむね、以下のような意味だと考えられている。

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