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  • 2014/01/29 掲載

内閣官房 谷脇康彦氏:ID連携で価値創造、パーソナルデータ利活用とプライバシー保護

マイナンバー制度はどうなる?

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日本政府が目指す「世界最先端のIT国家」を実現するためには、安全なサイバー空間を構築することが必要不可欠となる。そこで求められる重要な取り組みの1つが、パーソナルデータを活用するためのルール作りだ。またその際にはどんな制度設計を行い、どんなセキュリティ技術を用いればいいのか。Japan Identity&Cloud Summit 2014にて、内閣官房内閣審議官 兼 内閣官房情報セキュリティセンター 副センター長の谷脇康彦氏が語った。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

情報を繋ぎ合わせることで、新しい価値が生まれてくる

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内閣官房内閣審議官 兼
内閣官房情報セキュリティセンター
副センター長
谷脇 康彦 氏
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 はじめに谷脇氏は情報そのものの重要性について言及し、「情報を集めて蓄積し、見える化することで別の価値、あるいは新しい意味が生まれてくる」と指摘した。

 たとえば災害発生時、ある避難所に、どんな人たちが避難をしてきているのかを、地方自治体が行政情報として把握することは可能だ。

 ただし避難者の中には病気を抱え、定期的な投薬が必要な人もいる。とはいえ東日本大震災の時にお薬手帳を持って逃げた人はほとんどいない。つまり避難所にいる人がどんな病歴で、どんな薬を必要としているのか、といった情報は分からなかった。

「そこで自治体の行政情報と医療健康情報とを連携できれば、この避難所にどんな薬がどれだけ足りないのか、またその薬をどれぐらいの量、いつまでに運べばいいのかを明らかにする需給マッチングのようなシステムとも繋げていくことができる」

 あるいは金融機関のシステムとも連携できれば、一時金や義援金、保険金などをできるだけ早く避難している人たちに配ることも可能だろう。

「ここで情報を繋ぎ合わせることの重要性が見えてくる」

情報資源のさらなる活用のためには、情報流通連携基盤が必要

 2013年6月、日本政府は新しいICT戦略(世界最先端IT国家創造宣言)を閣議決定した。

 その前文では、ヒト、モノ、カネの三要素に加えて“情報資源”が新たな経営資源となり、情報資源を活用することこそが、日本の成長戦略にとって非常に重要な鍵になる、とうたわれている。

「新しいICT戦略は、新産業/新サービスの創出、安心/安全社会の実現、ワンストップ型の公共サービスの実現という3つの柱で構成されている。このいずれにおいても、情報をいかにうまく活用して新しい産業やサービスを作っていくか、あるいは利便性を高めていくかということが、大きなテーマとして掲げられている」

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世界最先端IT国家創造宣言
(出典:谷脇氏講演資料)


 これまでにも、ICTを様々な分野で利活用しようという取り組みは行われてきた。しかしそれらはインフラの整備に重点が置かれたもので、行政や医療、教育など、各領域の情報化をいかに進めていくかというものだった。

「従来の取り組みはいわば縦軸。しかしそれだけでは足りない。今後は横軸、つまり各領域を越えた情報の流通や連携、利活用を実現するための情報流通連携基盤を構築することが必要だ」

 そのためには各領域に共通のAPIやデータフォーマットの整備、あるいは個人情報の取り扱いルールの策定などが求められることになる。

「技術的にクリアしなければならない課題、制度的に整備しなければならない課題をきちんと解決していくことが、情報流通連携基盤という共通プラットフォーム作りの上で重要になってきている」

パーソナルデータの利活用とプライバシー保護のための制度作り

 次に谷脇氏は、ビッグデータを4つのカテゴリに分類して提示した。

 1つめがオープンデータで、マシンリーダブルな形で公開されている国や地方公共団体の持つ統計データやなど、公共的なデータが相当する。

 2つめがデジタル化されたナレッジで、たとえば田んぼや畑にセンサーを設置し、風向きや日照量などの外的なデータと併せて、経験と勘を持つ農業従事者がどんなアクションを起こしたのかを記録していく。これによって暗黙知を形式知に換えることができる。

 3つめがセンナーなどから収集されるM2Mデータで、車の運行情報を活用して信号の時間間隔を調整したり、渋滞を最小化したりということも既に可能になってきている。

 そして4つめが、個人に付随するパーソナルデータだ。ECサイトでユーザの嗜好に合わせてレコメンド商品を表示するといった場面で既に活用されている。

「パーソナルデータ利活用のメリットは非常に大きいが、一方でプライバシー保護も重要なテーマだ。パーソナルデータをどう使うのか、プライバシーをどう守るのかを制度として確立していくことが必要だ」

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データ利活用の方向性
(出典:谷脇氏講演資料)


 またもう1つ考えなければならないのは、全てのパーソナルデータが国内に蓄積されているわけではなく、海外にも多くあるということだ。その時に日本だけでパーソナルデータ利活用の仕組みを作ろうとしても実効性があるとはいえない。国際的に調和の取れた制度にしていくことも重要なテーマだ。

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パーソナルデータの利活用に関する基本的考え方
(出典:谷脇氏講演資料)


【次ページ】個人情報保護法の見直しで重要なテーマとは?

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