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  • 2014/03/14 掲載

【オバタカズユキ氏インタビュー】優秀な学生が集まる企業は何が違うのか――経営者や人事が知るべき最新事情(2/2)

『大手を蹴った若者が集まる知る人ぞ知る会社』著者 オバタカズユキ氏インタビュー

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優秀な人材の心に“刺さる”企業となるために

──これから就職活動をする人はもちろんですが、経営者や人事担当者など「採用する側」の人間が読んでも得るものが大きい本だと感じました。

 オバタ氏■ありがとうございます! そこは重要な読者層だと思って私も書きました。

──多くの企業にとって、優秀な人材を得るための「ヒント」がある内容だと思いましたよ。

 オバタ氏■一般企業の人事って、学生にPRする際、まず「うちにはこれだけの実績があります」みたいな話から入ることが多いんですよね。でも、それを聞いた優秀な若い層は「そんな過去の自慢を聞かされてもねぇ……」って思っちゃう。かえって頼りなく思えてくることが多いわけです。それに面白くなさそうだし、心に刺さらないでしょう。

──そういった企業に物足りなさを感じてた頃にベンチャー企業に出合って……と語る新卒社員が、この本の中にはけっこう登場していましたね。

 オバタ氏■この本で紹介したベンチャー企業はいずれも、キレイ事やタテマエは言わないで、きちっと現状を説明することから始めるんですよ。あと、社長がいきなり就職活動の第一段階のところから出てきて、「え、こんなところに社長が!?」とビックリしたなんて話も聞きました。でも、出てきたはいいけど、颯爽とした感じではなくて、説明はたどたどしいし、正直上手くなかったと(笑)。ただ、目が真剣で、本当に一生懸命話してくれる。そんな様子から、誠実さが伝わったりもするわけです。

──“刺さる”わけですね。

 オバタ氏■その通りです。重要なのは、この本で取材しているような若くて優秀な方たちは、少数派かもしれませんが、思っている以上にまだまだいるし、増えてもいるのです。彼らは、大手企業の説明会などで「ブランドはあるけど、つまらない会社」を見抜いてるのですよ。今までであれば、そういうところに当然のように行っていた人材が、違うところに流れ始めている。もちろん、その流れが主流というわけではないけど、そんな動きがあることに対して、大手企業はもっと危機感を持った方がいいと思いますね。

──ブランドが効かなくなってきているんですね。

 オバタ氏■「ブランドとお金はどうでもいい」という意見は非常に多かったですね。

──大企業に就職すれば一生安泰、とは必ずしも言えなくなってきている現実もありますしね。

 オバタ氏■大企業神話の崩壊を目の当たりにしてきたことで、「大企業だからって頼れないよな」という感覚が生まれたんでしょうね。つまり、優秀な学生のベンチャー志向は、ある種の不安感と、「手応えのある仕事をしたい」という欲求の両面から発している。大企業に入って社内上手になるための技術を身につけても、その会社自体が傾いたら……それこそ40~50代で放り出されたらヤバいですもんね。

──「手に職をつける」といいますか、どこに行ってもやっていける力をつける、ということに意識的になってきたわけですね。

 オバタ氏■はい。そういう感覚を持っている人はいまや少なくありません。この本の中で紹介した、大手からの内定をもらいながらそれを蹴ってベンチャーを選んだという人たちは、あくまで氷山の一角に過ぎず、もう例外的なケースとは言えなくなってきている。でも、「大手はもうダメ」ということを言いたいのかというと、そうではありません。大手も、勢いのあるベンチャーからアイディアを盗み、応用できることはどんどんしていけばいい。本書がそういうことを考える1つのきっかけになれば嬉しいですね。

(取材・構成:辻本力


●オバタカズユキ
フリーライター、コラムニスト。1964年東京生まれ、千葉育ち。大学卒業後、一瞬の出版社勤務を経て、1989年より文筆業に。これまでの著書に『会社図鑑!』「大学図鑑!』『資格図鑑!』の各年刊シリーズ(ダイヤモンド社、年度によっては共著)、『何のために働くか』(幻冬舎文庫)、『拝啓 サラリーマンの父上様』(講談社)、『だから女は大変だ』(文藝春秋)、『ペットまみれの人生』(扶桑社)、『言論の自由』(双葉社)などがある。裏方として制作に携わった本には『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』(ソフトバンク新書)、『統合失調症がやってきた』(イースト・プレス)などがある。

Twitterアカウント:@obatakazu1
『大手を蹴った若者が集まる知る人ぞ知る会社』公式サイト

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