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  • 2014/06/09 掲載

親子三代に学ぶ、テクノロジによる“ワクワクするイノベーション”を起こす発想法

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デジタル化で生活やビジネスの利便性が大きく高まる一方、“情報疲れ”やセキュリティといった新たな問題も浮かび上がってきた。こうした中でも、私たちが社会や生活をさらに進化させる“ワクワクするイノベーション”を起こすためには、どうしたらよいのだろうか。東京海上日動火災保険の経営企画部次長兼IT企画部参事で、東京海上研究所主席研究員の牧野司氏と、商品開発コンサルティングを手がけるフィンチジャパンの牧野裕氏の父子(司氏が父、裕氏が息子)がパネラー、ガートナー リサーチ部門 リサーチ ディレクターの池田武史氏がモデレーターとなり、ちょっと変わった目線でITやイノベーションを考えるパネルディスカッションが行われた。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

photo
東京海上研究所の牧野司氏(左)とフィンチジャパン牧野裕氏(右)の父子

ワクワクするイノベーションにはテクノロジが必要

 ガートナー ITインフラストラクチャ & データセンター サミット2014にて行われた本ディスカッションの冒頭、ガートナーの池田氏は「“ワクワクするイノベーション”を起こすためには、新しい考え方や取り組みを通して、それまでできなかったことができるようになるテクノロジがまず必要だ」と指摘した。

 イノベーション、あるいは新しいテクノロジに触れた自身の原体験について、東京海上研究所の牧野司氏(以下、司氏)は、次のように振り返る。

「元々私の父は新しもの好きで、テクノロジ好き。その影響で私も小さい頃から、初代プラレールやラジオの組み立てキット、1970年の大阪万博など、新しいものに触れる機会が多かった。また父親が航空会社勤務だったこともあり、当時はまだ珍しかった海外旅行にも連れて行ってもらった。そういう意味で、いつもワクワクする環境にいた」(司氏)

 また、商品開発や事業開発のコンサルティング業務などを展開するフィンチジャパンで入社2年めを迎える息子の牧野裕氏(以下、裕氏)も、色々な面白いものに触れながら育ってきたという。

「私がワクワクしたものは、やはりプラレール、そしてレゴ、また映画のスター・ウォーズを観てロボットにも興味を持った。今ワクワクしているものは、3Dプリンタ、身体の動きや声によって操作できるKinect、最近ではコンタクトレンズにカメラや無線チップを埋め込んだグーグルのスマート・コンタクトレンズなども非常に興味深い」(裕氏)

イノベーションを実現できる環境はもうネットの中に存在している

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 こうした新しいテクノロジに日々注目する牧野父子が、実際の仕事や生活の場で着目しているテクノロジは何なのだろうか。

 まず父親の司氏は、現在の注目すべきテクノロジとして、クラウドコンピューティング、モバイルデバイス、スマートテクノロジ、バイオテクノロジ、クラウドソーシング、ソーシャルネットワーク、センサーネットワーク、デジタルマニュファクチャ、そしてビッグデータの9つの融合を挙げた。

「個々人の能力やアイデア、労力などが、時間や場所、組織の制約を超えてネットワーク上で融合し、お金のやり取りをすることなく新たな価値を生み出していく。そうした活動をクラウドコンピューティングが膨大な処理能力と世界的なネットワークで支え、そして生み出された新たなパワーを、モバイルデバイスによって、我々はいつでも、どこでも使うことができるようになっている」(司氏)

 その一例として司氏が挙げたのが、独学で低価格の義手の開発に成功した米国の17歳の高校生の話だ。米国・コロラド州の小さな町に住むこの高校生は、義手をつけた8歳の少女と出会い、成長に伴って8万ドルもする高価な義手を何度か付け替えなければならないと悩む彼女の両親の話を聞いて、安価で高性能な電動義手作ることを決意した。

 独学でエンジニアリングを学び、義手の設計はパソコンのCAD、製作は3Dプリンタで行った。そのコストはたった250ドル。開発資金はインターネット上で出資を募る「クラウドファンディング」で調達。英国・マンチェスターに住む技術者がインターネットの記事で彼のことを知り、開発や資金調達に協力した。

「これまで大企業や大学などにしかなかった新規ビジネスや新しい研究に取り組むための環境が、今ではネットの中に用意されている。言い換えれば、個人がどんどん力を発揮することができるということ。これが非常に面白い」(司氏)

 必要な情報はネットから集めて、必要な人もネットでつながることができる。さらには資金もネット経由で調達でき、製品は3Dプリンタで作れてしまうというわけだ。

画像
テクノロジがもたらす個人パワーの爆発
(出典:牧野司氏講演資料,ガートナー IT インフラストラクチャ & データセンター サミット 2014より)


【次ページ】消費者の感情を知って商品開発に活かす

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