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  • 2014/06/17 掲載

世界CEO意識調査から読み解く、日本がグローバル競争で勝ち抜くための3つのポイント

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PwCは、「第17回世界CEO意識調査」の結果を1月21日のダボス会議に合わせて発表した。この調査結果をもとに、プライスウォーターハウスクーパースは日本企業のCEOの回答結果を「第17回世界CEO意識調査 日本分析版」として公表。世界68カ国の主要企業のCEO1344名、うち日本のCEO127名の回答を紐解いた結果、世界と日本のCEOとの意識にはどのような共通点、あるいは違いがあるのか。プライスウォーターハウスクーパース 代表取締役社長 椎名 茂氏が語った。

井上健語

井上健語

フリーのテクニカルライター&編集者。1964年愛媛県生まれ。ソフトバンクのPC-98専門誌Oh! PCの編集者を経て、MS-DOS全盛時代にフリーランスとして独立。以来、Word、一太郎などのWindowsアプリ解説書、各種マニュアルの執筆、企業取材などを手がける。2008年度よりMicrosoft WordのMS MVP。個人サイトはMAKOTO3.NETジャムハウスとは紙メディア制作、ウェブデモとは動画制作で共同戦線を敷く。

日本企業は自信回復、新興市場開拓を目指す

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プライスウォーターハウスクーパース
代表取締役社長
椎名 茂氏
 調査項目の第一は、「今後1年間の自社の成長にどれくらい自信があるか?」という質問だ。これに対して、日本のCEOの84パーセントが「非常に自信がある」および「多少自信がある」と回答した。この数字は2013年度の73パーセントからは大きくジャンプアップし、世界標準に追いついた。

「やはり、アベノミクス効果と円安により製造業が伸びてきた影響が考えられます。この数字は、2008年から2009年にかけてのリーマンショックで大きく落ち込みました。その後、世界はV字回復しましたが、日本はジワジワと上昇し、ようやく世界に追いつきました」(椎名氏)

 では、自信を回復した企業が次に打つ手は何か。それを調査したのが「今後1年間で、ビジネスを成長させる要因は何か?」という質問だ。世界共通で多かったのは「製品/サービスの革新」という回答だ。また、日本以外の地域のCEOの多くが「既存市場のシェア上昇」を挙げたのに対し、日本のCEOは「新たな市場の開拓」をトップに挙げた。これは、今後、新規市場に打って出ようとしている日本企業が多いことを伺わせる。

 では、それはどの国になるのか。それを調べたのが「今後、成長する上で重要な国・地域は?」という質問だ。日本のCEOのトップ3は、中国、アメリカ、タイだった。以下、インドネシア、ベトナム、インド、ドイツ、韓国、シンガポール、ブラジルと続き、じつに、トップ10のうち7カ国がアジアとなり、日本のCEOのアジア重視の意識が確認できた。

 この調査も、2011年~2013年の過去データと比較すると興味深い。中国については、2013年に大きく落ち込み、再び回復している。落ち込んだ理由は尖閣問題だ。一方、アメリカは、2011年が26パーセント、2013年が24パーセントであったのが、2014年は39パーセントと急上昇している。つまり、アメリカを重視する日本のCEOが大幅に増えたことを意味している。

「理由の1つは、アメリカ経済が非常に堅調だということです。アメリカの景気が上向けば消費が上向き、自動車や電化製品などの最終製品が売れます。したがって、その部品や半製品の多くを作っているアジア地域に日本のCEOが注目するのは、当然の流れだといえるでしょう」(椎名氏)

アジアでのM&Aや提携を重視する日本企業

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 日本のCEOのアジア重視の姿勢は、「どの地域でM&A、合弁事業または戦略的提携を計画しているか?」という質問の結果にも現れている。日本のCEOは38パーセントが東南アジア、32パーセントが東アジアと答え、合わせると7割がアジアを重視している。

 一方、世界全体では、北米が30パーセント、ヨーロッパが25パーセント、東南アジアが23パーセントとなっている。この結果について、椎名氏は、次のように解説を加えた。

「世界的に見ると、アメリカ、ヨーロッパを重視する企業が多く、特にアメリカ企業は、自国でM&Aをしようとする傾向が強いようです。では、日本企業のアジア重視が正しい選択なのかということですが、これは人口統計を見ると分かります。アジア地域の中間所得層は、2009年に対し、2020年は3倍、2030年には5~6倍に増加します。中間所得層は世界の購買層であり、それが圧倒的にアジアに集中するのです。そこに対して、日本が先に仕掛けることは非常に重要ですし、正しい選択だといえます」(椎名氏)

【次ページ】日本企業が競争に勝ち抜くための3つのポイント

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