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  • 2014/09/19 掲載

iPhone6の決済機能Apple Payの仕組みとは?なぜ「おサイフケータイ」が使えないのか

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アップルは、新端末の「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」、およびアップル初のウェアラブルデバイス「Apple Watch」において、近距離無線通信技術のNFCを使ったモバイル決済の新サービス「Apple Pay」を発表した。スマートフォンによるNFC対応はグーグルのAndroidが先行しているが、実際は期待通りの普及が進んでいないと言われる。今回のアップルの動きにより、同市場は盛り上がりを見せるのか? また、iPhone 6のNFC機能では「Suica」「WAON」「nanaco」「楽天Edy」といった日本の主要サービスは利用できないが、これら「おサイフケータイ」の行方はどうなるのか?それぞれ冷静に分析したい。

TIプランニング代表取締役 池谷 貴

TIプランニング代表取締役 池谷 貴

編集などの仕事を経て、カード業界誌の版元において、雑誌編集、プランニング、セミナー、展示会などの運営に携わる。電子決済、PCI DSS/カードセキュリティ、ICカード、ICタグなどのガイドブック制作を統括。2009年11月にマーケティング、カード・電子決済、IT・通信サービスなどのコンサルティング、調査レポート・書籍の発行、セミナー運営、ポータルサイト「payment navi(ペイメントナビ)」「PAYMENT WORLD(ペイメントワールド)」などのサービスを手掛けるTIプランニングを設立した。

米国のデビット・クレジットカードの83%をカバー、アップルは銀行からの手数料収入を期待か?

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「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」、アップル初のウェアラブルデバイス「Apple Watch」でモバイル決済が可能な「Apple Pay」
(出典:アップル)

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 日本では、Androidとスマートフォン市場を二分するiOSで、ようやくNFC機能の提供がスタートした。

 アップルが提供する「Apple Pay」は、American Express、MasterCard、Visaの国際3ブランドに対応する。米国の83%をカバーするBank of America、Capital One Bank、Chase、Citi、Wells Fargoなどにより発行されたクレジットカードおよびデビットカードと紐づけてサービスを利用可能だ。

 カード情報は、iOSアプリの「Passbook」に保存される。カードの登録は、iTunesを使って入力するか、iPhoneに搭載される画像認識カメラでカードを撮影すれば可能となる。

 まずは、米国内のApple Store、ブルーミングデールズ、ディズニーストア、Macy's、マクドナルド、サブウェイ、ホールフーズ・マーケットなどの有名店舗約22万店で利用をスタートする。ターゲットやMLB.com、Uber、GROUPON、スターバックスといったオンラインサービスでも利用できる見込みだ。それぞれ順次対応店舗を拡大するという。

 ユーザーは手持ちのカードをApple Payに追加してもトークンに置き換えて処理され、セキュリティコードについては動的な番号を生成するため、カード情報漏えいのリスクを回避できるとしている。

画像
Apple Payはサービス開始時点で約22万店の有名チェーン店での利用が可能という
(出典:アップル)


 Apple Payは、iPhone 6ならびにiPhone 6 Plusが持つNFCアンテナ、Secure Element(セキュア・エレメント)と呼ばれる専用チップ(SEチップ)、指紋認証を行う「Touch ID」を組み合わせることにより動作する。NFCサービスを展開する上で、鍵となるのはSEチップをどこに置くかということだが、アップルでは端末に埋め込んでいると思われる。

 下記は、NFCチップの格納方法を記載したものだ。

“RFチップ”をモバイルデバイスに内蔵するケース
ASIMカード方式
BマイクロSD方式
CHCE(Host based Card Emulation)方式
Dチップ内蔵方式

 たとえば、Aの“SEチップ”をSIMカードに置く方法が採用されれば、通信事業者(日本でいうNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル)がNFCのアプリケーションにおけるイニシアティブが高まる。モバイルフォンキャリアの業界団体であるGSMAはSIMカード方式を押しており、NFCの展開で先行する韓国などでは同方式が採用されている。

 また、BのマイクロSD方式が採用されると、モバイルフォンキャリアの影響を排して、金融機関などがNFCプロジェクトを主導できる。中国の中国銀聯は同方式を押している。

 Cの「HCE方式」は、2013年10月にグーグルが開発したSE無しにNFCカードエミュレーション機能の提供が可能な方式となっている。

 Dのチップ内蔵方式は、日本の「モバイルFeliCa」、米国の「Google Wallet」で採用されている方式だが、今回アップルは同方式を採用したと思われる。Apple Payはアップルが主体となり提供するサービスであり、端末にチップが埋め込まれているため、間違いなくイニシアティブはアップルが握ることになる。アップルでは、銀行(日本でいうカード会社)からの決済時の手数料収益を期待していると思われる。

【次ページ】アップルのNFC対応、国内の関係者の反応は?

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