• 会員限定
  • 2014/09/22 掲載

オープンデータ推進のカギは、「官民間の信頼関係」と「データ形式の統一」

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
政府や自治体などが保有する公開情報を、個人や企業が利用できるようにする「オープンデータ」の取り組みが広がっている。先頃開催された「世界ICTサミット2014」では、国内外のキーパーソンが「オープンデータで活性化する社会と経済」をテーマにパネルセッションを行った。そこで強調されたのは「官民間の信頼関係構築の重要性」だ。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

30兆円市場でも各国政府は過小評価

 パネルセッションに登壇したのは、米国Googleアジア太平洋地域担当社長のカリム・テムサマニ(Karim Temsamani)氏、英国BTグローバル・サービス プレジデントのアシシュ・グプタ(Ahsish Gupta)氏、jig.jp 代表取締役社長の福野泰介氏、豪Open Knowledge Foundation(PKF)共同議長のフィオナ・ツイーディー(Fiona Tweedie)氏、世界銀行研究所上級業務担当官のクレイグ・ハマー(Craig Hammer)氏。モデレータは日本経済新聞社で電子報道部次長兼編集委員の武類雅典氏が務めた。

photo
米国Google
アジア太平洋地域担当社長
カリム・テムサマニ(Karim Temsamani)氏
 セッション前半では、ぞれぞれの組織が、オープンデータとどのように関わっているかが語られた。武類氏は、「日本ではICTインフラは整備されているが、ICTを活用した新サービスが誕生しにくい。その背景には、情報公開のあり方やオープンデータの議論が進んでいないからではないか」と問題提起。これに対しGoogleのテムサマニ氏は、現在のオープンデータ市場状況とともに、同社の「Google Maps」と連携したサービスを紹介した。

 言うまでもなくGoogle Mapsは、オープンデータでサービスを提供する際の地図インフラとなっている。

 米国McKinseyが発表した試算によると、世界中のオープンデータが生み出す追加価値は30兆ドルに上るという。また、米国政府は1990年代にGPSデータを公開する決定を下しているが、それによる収益は、670億ドル相当になると推計されている。

 テムサマニ氏は、「政府がオープンフォーマットで情報を公開すれば、人々は予想外の効果/成果を生み出すことができる。これは全世界で見られる傾向だが、(データの公開で)当初想定していなかったようなサービスが登場している」とし、いくつかの事例を紹介した。

画像
多くの被災者が利用したという「被害状況可視化アプリ」
 興味深いのは、2013年にフィリピンで提供されたサービスである。大型の台風によって深刻な被害を受けた同国だが、災害直後に各地の被害状況データをGoogle Mapsで表示させ、「どの地域でどのくらいの被害が発生しているのか」を可視化した。利用されたデータはオープンデータのほか、ボランティア団体が収集したデータ、口コミ情報など7種類で、多くの市民が利用していたという。

 テムサマニ氏は「こうした好例があるにもかかわらず、政府や企業はデータの有用性を過小評価しがちだ。政府が所有するデータはインフラのようなもの。政府が(データを)活用する人を信頼し、あらゆる業界/団体が自由に利用できるようになれば、想像しなかったような効果を発揮する」と指摘した。

【次ページ】データ形式の統一でオープンデータは加速する

関連タグ

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます