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  • 2014/10/01 掲載

孫 泰蔵氏が語るIoT時代のイノベーション 「日本に起業家輩出のエコシステムを創る」

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1995年頃からインターネットの商用化が始まり、2002年にはブロードバンドが登場、2007年にはiPhoneが発売されて、インターネットはモバイルネットワークへと進化し始める。こうしたトレンドの中心でイノベーションを生みだし続けている聖地こそがシリコンバレーだ。新しいベンチャーが次々と誕生するシリコンバレーの生態系を日本に創るためにMOVIDA JAPANを立ち上げた孫 泰蔵氏は、Tech in Asia主催「Startup Asia Tokyo 2014」に登壇。IoTの登場によってパラダイムシフトが起きている今、日本やアジアでイノベーションを起こすことの重要性を説いた。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

IoTの登場で、社会全体のエネルギーが最適化される

photo
MOVIDA JAPAN
代表取締役社長
兼 CEO
孫 泰蔵氏
 孫氏は冒頭で、「5年後、10年後にインターネットのパラダイムシフトの歴史を振り返った時、2014年は次の大きな変化の始まりの年だったと記憶されるのではないか」と発言した。

 その理由は、IoTの登場だ。孫氏は様々な分野で活用されているIoTの事例を提示した。その1つが、CONNECTED HOMEといわれる世界だ。

「家の中の各種設備をネットワークで繋ぐことで、我々の生活は非常に便利になります。今シリコンバレーでもこの分野は非常に注目されており、たくさんのスタートアップ企業が生まれています。各々がスタンドアロンで動いていたデバイスがネットワークに繋がることで、色々なパラダイムシフトが起こってくるのです」(孫氏)

 CONNECTED HOMEに関係する家庭内の設備やデバイス、たとえば鍵や照明、エアコン、煙探知機、体重計などの分野は、日本メーカーが世界的なシェアを保有している領域だ。

「つまり、日本企業が非常に活躍できる可能性を秘めた分野だということ。私自身、多くの日本メーカーや実際に物を作っている台湾や中国などのベンダーといろいろな話をして、今ワクワクするようなプロジェクトをどんどんインキュベート(支援、育成)しているところです」(孫氏)

 さらにCONNECTED HOMEが進化すれば、どの家庭が、何時に、エアコンのスイッチのON/OFFといった情報をクラウドで収集できる。単に家庭内が繋がれて便利になるだけでなく、気象状況など様々なビッグデータと組み合わせて解析されることで、最終的には社会全体でエネルギーを効率よく使うといったことも可能になると孫氏は語る。

「マクロ的に見た場合、家庭がスマート化し、エネルギー消費の動向がビッグデータを使って解析されるようになると、社会全体でエネルギーの最適化が進んでいくのではないかと考えています。今年頭には米グーグルが、空調機器を制御するサーモスタットを製造・販売する米ネスト・ラボという企業を買収したが、それも最終的にはこうした世界を狙っているのではないでしょうか」(孫氏)

医療福祉費の最適化や、ゴミ回収コストの大幅低減も

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 Moto 360やApple Watchに代表されるスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスも、IoTとは非常に密接な関係にある。孫氏はこれらについても「単なる面白ガジェットではない」ことを強調する。

 ウェアラブルデバイスに搭載されたセンサーから集められた身体に関する様々なデータを分析することで、自分の健康状態をリアルタイムにモニタリングできる。これによってユーザは病気の兆候をいち早く捕捉し、大きな病気になる前に医療行為を受けたり保険会社ならば顧客の健康状況に応じた保険料引き下げなどのサービスを提供することができるかもしれない。

「高齢化社会の中で医療福祉費が非常に増えています。国家レベルで見た時には、ウェアラブルデバイスから収集されるビッグデータを分析していくことで、医療福祉関連のコストを最適化していくことも可能となるでしょう」(孫氏)

 ウェアラブルデバイスと同様、車もセンサーの塊だ。アクセルやブレーキをどう踏んだか、どこからどこに、どんなスピードで向かったか、といったようなことが分かると、色んな変化を起こすことができる。たとえば北欧では、あるスタートアップ企業によって、ゴミ箱にセンサーを取り付け、満杯になると、その状態をゴミ箱自身がゴミ収集車に伝え、収集車がピンポイントで回収に向かうといった仕組みがあるのだ。

「決められたルートをルーティンで回っていた時に比べて、ゴミ収集車の台数が3分の1以下で済むようになったそうで、北欧の都市にどんどん導入が進んでいるようです。さらにゴミ箱からのデータを1年間、2年間と取り続けたことで、“あのゴミ箱は明後日の4時に満杯になる”といった予測が立つレベルにまで進化して、さらに車の台数を減らすことが可能になります。取得したデータを解析して未来予測することで、ムダなコスト削減に繋がるということなのです」

【次ページ】世界のイノベーションにおいて日本が果たす役割は重要

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