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2014年11月27日

IoT時代のデータドリブン・エコノミー:篠崎彰彦教授のインフォメーション・エコノミー(57)

ビッグデータ、M2M、IoT、IoEと新しい概念が次々に登場している。これらに共通するのは「データが価値を生む時代」の到来ということだ。今年10月に東京で開催されたOECD(経済協力開発機構)のグローバル・フォーラムでも「データドリブン・エコノミー(Data-driven economy)」が中心テーマであった。今回はその背景と可能性、課題について考えてみよう。

執筆:九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠ア彰彦

データが価値を生む時代

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 今年は、日本がOECDに加盟してから50周年にあたる。その記念行事のひとつとして、2014年10月に東京で「知識経済」と銘打ったOECDのグローバル・フォーラムが開催された。このフォーラムで中心テーマとなったのが「データドリブン・エコノミー」だ。

 情報化というと、スマホやタブレットなどハードウェアの動向に関心が向かいがちだが、重要なのはそれらを通じてやり取りされる「データ」であり、その価値を高めることで経済が発展へと導かれる。これは、梅棹忠夫氏が今から約60年前に提唱したことで、今年の『情報通信白書』でも「データが切り拓く未来社会」が取り上げられている。

 数年前から「ビッグデータ」が注目されるようになった背景には、スマホの急速な普及で人々が発する「つぶやき」や「位置情報」など多様で膨大なデジタル・データがリアルタイムに生成、流通し、蓄積されるようになったからである。

ビッグデータ、M2MからIoT、IoEへ

 多種多様なビッグデータは、石油などの天然資源と同様に価値ある資源となり得る。原油を精製してガソリンを生み出すように、デジタル・データをうまく解析して価値ある情報を引き出せば、富を生み出すことができるのだ。

 その延長線上で今注目されているのが「Internet of Things(IoT:モノのインターネット)」だ。情報通信技術に加えてセンサーの技術の発達により、人が発する情報だけでなくモノが発する情報も含めて、ありとあらゆる「事柄」をリアルタイムで捉えることが可能な時代を迎えた。ThingsをEverythingに置き換えてIoEと呼ばれることもある。

 現在、世界の総人口約70億人に匹敵する数の携帯電話が万遍なく普及している。これに加えて、その約10倍の機器類が次々とつながり始め、ネットワーク上でデータが生成されて流通するようになった。

 高価なマシン同士が自動でデータをやり取りするM2Mの枠組みを越えて、あらゆる身近なモノが発する膨大なデータと人の活動からうまれるさまざまなデータとをうまく束ねれば、「価値ある資源」として経済活動に活かせるだろう。

IoTの草分けコマツのKOMTRAX

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コマツのKOMTRAXを搭載したダンプトラック「HD325」

(出典:コマツ)

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KOMTRAXの画面イメージ。GPSにより位置情報が分かる

(出典:コマツ)

 IoTで草分けともいえる有名な事例は、建設機械をグローバルに供給するコマツのKOMTRAXだ。これは、建設機械にGPSやセンサーを取り付け、携帯電話や衛星通信を経由して機材の状況を遠隔で確認するシステムで、既に2001年から標準装備化が図られてきた。

 このシステムでは、車両の位置、オーバーヒートやエンジンオイルの油圧の低下といった車両状態、稼働状況、燃費状況をリアルタイムで知ることができる。適切な点検や部品の交換時期、効率的な配車計画や作業計画、燃費改善等による利用者のコスト削減に貢献できる他、故障原因を推定して迅速に修理することも可能だ。

 遠隔操作でエンジンを停止することができるため、機材の不正利用や盗難防止に役立つばかりか、使用状況、保守・点検を的確に把握することで、中古機械の価格を高く維持することにもつながる。さらに、稼働状況を地域ごとに分析して製品の需要動向を予測すれば、生産を調整して販売機会の逸失や無駄な在庫の削減にも活かせる。つまり、さまざまなルートを通じて、経済価値を生み出すのだ。

 こうした利用は、建設機械にとどまらず、トンネルや橋梁などのインフラ、工場の生産設備、オフィスやホテルのエレベータなどにも応用が可能であり、生産効率や利便性の向上に加えて、人口が減少する地域の公共インフラを低コストで維持・管理し、事故の防止や防災、防犯に活用できると期待されている。

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