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2014年12月26日

経産省 野口聡氏とTMI 高島利尚氏が語る、中小企業が儲けられる「攻めのIT活用」

アベノミクスの中心的な戦略である日本再興戦略が6月に改定された。その最大のキーポイントは「日本の稼ぐ力」を強化し、経済の好循環を改善させていくことにある。とはいえ、いまだ日本の生産性は欧米に対して低いという大きな課題が残ったままだ。経済産業省の野口聡氏は、「生産性を向上するためには、情報化による経営革新を行わなければならない」と強調し、まだIT導入が遅れている中小企業における「攻めのIT活用」の重要性について説明した。

「攻めのIT」で企業の稼ぐ力を強化する

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経済産業省
商務情報政策局
情報処理振興課長
野口 聡 氏

 成長戦略をにらんで開かれている産業競争力会議では、課題のトップに「生産性・収益力の向上」が掲げられている。その政策のなかで最もプライオリティが高いのは、IT投資を“守りから攻め”へ質的転換させるというものだ。

 国内サービス産業の生産性は、米国の同業と比較して、約5割から6割程度の水準に留まる。では伸び悩む生産性をどうやって改善していくべきなのか。「地域支援プロジェクト 創生する未来」事業の発表会に登壇した経産省の野口氏は、その原因を次のように説明する。

「国内におけるIT投資の現状をみると、どうしても業務効率やコスト削減の方向に行ってしまう。ところが米国では、ITによって新しいビジネスモデルや製品・サービスをつくりだそうとしている。売上と利益を増やしていこうとしている点が根本的な違いだ。政府としては、大企業・中小企業を含めて、こういう方向にITを活用してもらいたいと考えている」(野口氏)。

 とはいえ、日本の経営者はIT自体に関心が向いていないのが実情だ。大企業では社内にIT部門があっても、安定稼働やセキュリティなどの「守りのIT」を中心にした部門だと認識しており、新規ビジネスに関与しないと思われている。さらにIT部門は請負人や門番、抵抗勢力というイメージさえある。国内ではユーザー企業にIT技術者が少なく、ベンダー企業に偏っているため、余計にITの利活用が進まないという背景があるようだ。

 そこで野口氏は「スピード感をもって状況を変えるには、やはりトップがIT変革に向かえる“仕組みづくり”が必要だ。これを外部からサポートしていかなければならない。たとえば、女性社員を積極活用し、効率のよい経営を実現する企業に対して、経産省と東証は“なでしこ銘柄”を創設して、女性活用を企業に対して推奨している。攻めのIT経営の促進についても同様の枠組みを作って、攻めのIT経営を行う企業を増やしていきたい」と強調した。そのために経産省では、まず評価基準をつくって、その評価軸に沿った形で、公募企業からベストプラクティスを選定・公開することを計画しているという。

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大企業において、攻めのIT経営を促進するための取り組み

(出典:野口氏講演資料)


 一方、中小企業向けでは、ベストプラクティスとして「攻めのIT経営中小企業100選」の募集を実施したほか、IT活用の方針となるガイドライン「攻めのIT導入指針」をつくろうとしている。導入指針については、補助金とセットでの支援も検討中だ。指針だけではイメージが伝えきれない部分もあるので、具体的な成功事例も併せて提示するという。

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中小企業において、攻めのIT経営を促進するための取り組み

(出典:野口氏講演資料)


 同氏は、具体的な攻めのITのイメージについても示した。たとえば小売業のIT活用イメージとしては、顧客別のクーポンを発行し、来店のリピート率を向上させた事例がある。「過去の購買履歴をベースに、顧客が興味のあるクーポンを発行することで、通常よりもリピート率を増やし、使用率が25%も向上した」(野口氏)。

 また神奈川の旅館・陣屋では、モバイル端末を活用し、顧客別のニーズに応えるサービスを実施。「昔は顧客情報を頭に入れた女将さんが中心となってサービスをしていたが、タブレットにその知識が蓄積され、共有されることによって、他の従業員でも細やかなおもてなしができるようになった。これにより4年間で売上げが2倍に伸びた」(野口氏)。こういった成功事例を積極的に公開し、中小企業のIT活用を促進していく構えだ。

【次ページ】中小企業IT経営力大賞を受賞した企業にみられる特徴とは?

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