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  • 2015/01/06 掲載

ザッケローニx岡田武史 サッカー元日本代表監督が対談、世界に挑むリーダーシップとは

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男子サッカーの日本代表監督としてチームを率いたアルベルト・ザッケローニ氏(2010~2014年)と岡田武史氏(1997~1998年、2007~2010年)。名伯楽たちは何を考え、どのような思いで世界の強豪に挑んだのか。また、世界に挑む選手たちをどのように鼓舞し、その力を最大限発揮できるよう取り組んだのか。それぞれ、自身の経験を明かした。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

自分たちが主役になるんだ、きちんと戦えるんだと信じろ

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アルベルト・ザッケローニ氏
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 2014年のFIFAワールドカップ ブラジル大会で、グループリーグでの敗退を喫してしまった日本代表。その監督を務めたザッケローニ氏は、C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2014で行われた岡田氏との対談において、「結果が期待通りだったとは言えないが、この4年間、必ず勝てる、活躍してくれるということを信じて選手たちを選んできた」と話を始めた。

「世界のどのチームにも共通することだと思うが、その国のプレーに適した選手を選ぶことが大事だ。一番大切にしたのは、日本の文化を尊重するということ。もちろん前ワールドカップで素晴らしい結果を残した岡田監督の教えも、踏襲していこうと思った」(ザッケローニ氏)

 またザッケローニ氏は、強豪の国々には100年を超えるサッカーの歴史があるが、日本はプロができてまだ約20年、それを考えれば日本のサッカーは近年稀に見る成長を遂げたサッカーだと強調する。

「つまり成長する余地がまだまだたくさんあったということだ。そしてチームの皆には、“とにかく勇気を持て”と教えてきた。日本には少し内気な面、謙虚な面が文化的な背景としてあると思うが、それではいけない、もっと勇気を出せ、そして大きな大会では自分たちが主役になるんだ、きちんと戦えるんだということを信じろといった。ただどうしても強気に出るというところが足りなかったように思う。今の監督には、強気になるということをもっと引き出してもらえたらと個人的には思っている」(ザッケローニ氏)

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岡田 武史 氏

 この話を受けた岡田氏は、「欧州から来た監督は往々にして“サッカーとはこういうものだ”と押し付ける人が多いが、ザックさんはちゃんとコミュニケーションを採って、日本の文化、日本人というものを大事にしてくれた。それが一番うれしかった」と監督時代のザッケローニ氏に対する思いを語った。

 また日本の選手について、一人一人のレベルは客観的に見てかなり上がってきているが、外国に対するコンプレックスを抱えており、さらに“日本は海外に比べて何が足りないか”という視点からの冷静な自己分析ができていないと指摘する。

「ザックさんの言う勇気を持てというのは、一人一人が冷静に自分の力を分析して、今の自分たちならここができるんだという確固たる自信を持てということだと思う。日本選手はまだコンプレックスを乗り越えられるような分析ができていない。たとえばワールドカップで優勝するためには、1年前にはこうなっていなければならない、そのため今月はこれぐらいのことをしなければならない、だったら今日はこれをしなければならない、というように落とし込んでいく作業が必要だ。しかしそれを自分の頭の中でなかなかできないのが、日本人かなと思う」(岡田氏)

日本にもっとも必要なもの、それは経験

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 岡田氏の指摘する自己分析について、ザッケローニ氏は「私もまったく同感だ」と強く賛同し、「まず目標を設定することは絶対に必要で、それから自分をよく知ること、そして相手をよく知ることが大切だ。そしてそれらをセオリーだけで終わらせないために、実践に移すことがとても重要だ」と強調する。

 この点に関連してザッケローニ氏はさらに、「現在、日本国内で年に5回ほど外国との親善試合が行われているが、それだけではいけない」と続ける。

「アウェイで親善試合をすることが重要だ。相手の国、ドイツならドイツ、ブラジルならブラジルの地で対戦することで、テクニカルな部分、セオリーの部分だけでなく、自分たちの人間性や心の強さも磨かれていく。経験をどんどん積み、日本のサッカーの歴史をしっかりしたものにしていくことで、強豪チームと対戦する時にも自信を持って戦えるようになる」(ザッケローニ氏)

 また日本代表はこれまでに素晴らしい結果を数多く残してきてはいるが、その結果に継続性がない。それもまた歴史が浅いからだという。

「やはり歴史が浅い分、外国に対して気持ちで負けていると感じる部分もある。ただ日本人はとても真面目で、団結力も非常に強い。また今の日本には海外のチームで活躍している選手が数多くいる。そうした非常に難しい環境の中で経験を積むことで、日本は強いチームになっていくだろう。日本のサッカーは、とてつもないスピードで成長した。これほどのスピードで成長した国は他にはない。サッカーの歴史が始まって以来、最短でトップになれるチームが日本だと私は思う。結果を残す力を継続的に発揮できるようになればいい」(ザッケローニ氏)

【次ページ】監督の覚悟が本気なら、その思いは選手にも伝わる

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