• 会員限定
  • 2015/01/19 掲載

楽天TBS買収、ソニーとドコモの凋落を三木谷浩史氏、久夛良木健氏、夏野剛氏が語る

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
楽天 三木谷 浩史氏、プレイステーションを生み出した久夛良木 健氏、NTTドコモ時代にiモードの立ち上げメンバーであった夏野 剛氏が、これまでの失敗談と教訓を語る。TBSの買収失敗の際、三木谷氏は何を思ったのか、NTTドコモはなぜiモードで世界を取れなかったのか。そして、ソニー凋落はなぜはじまったのか。モデレーターの米倉 誠一郎氏が彼らに質問を投げかけ、失敗談と教訓を引き出した。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

プレステの大ヒットで無茶ができなくなったソニー

photo
一橋大学イノベーション
研究センター 教授
米倉 誠一郎氏
 久夛良木 健氏は1975年に電気通信大学を卒業しソニーに入社。1994年にプレイステーションの発売を実現させ、ソニーの一時代を築いた人物だ。

 モデレーターの一橋大学イノベーション研究センター教授 米倉 誠一郎氏は、久夛良木氏に向かって「本来ならばソニーはコンピュータ・エンタテインメント(以下、SCE)で世界を変えられた。なぜ久夛良木さんがソニーで生き残れなかったのか?」と質問を投げかけた。

 これに対し、久夛良木氏は自身を「人徳もサラリーマン力もなかった」とし「サラリーマンに共感できなかったが、それ以上にソニー自体がやんちゃだった。当時はコンピュータ・エンタテインメントをつくり出すことが楽しかった。夢を実現するためのチーム力も最高だった」と回想した。

 プレイステーションの大ヒットにより、ソニーは徐々に無茶ができなくなったという久夛良木氏。何かやろうとすると周りが大騒ぎしたという当時のエピソードを語った。

photo
サイバーアイ・エンタテインメント
代表取締役社長
久夛良木 健氏
「一番面倒だったのが、急にSCEをソニー本体に吸収すると言われたこと。僕の大失敗は、資本の論理を数年後に味わうような構造のまま、プレイステーションの開発を始めてしまったこと。成功する前に(ソニー本体と)もう少し切り離れていたら、やんちゃな第二グループができたかもしれない」(久夛良木氏)

 米倉氏は「もし1990年半ばに戻るなら、ソニーでどういうことをやりたかったか?」と問うた。久多良木氏は「次世代のコンピュータ・エンタテインメントをやりたかった」とし、次のように説明した。

「プレイステーションをネットにつなげて実態をなくし、いまでいうクラウドに溶かしたいと考えていた。いろいろなベストプラクティスを持ち込もうとしたが、自分たちの技術をプレイステーションに出したくないとか、プレイステーションをつぶすために似て非なるものをつくろうとか、やっかいなことになった。なるべく本社に触れず、距離を置こうという時期があったのは不幸だった」(久夛良木氏)

夏野氏が当時提案した「iモードのOSをAndroidに」

photo
慶應義塾大学大学院
政策・メディア研究科
特別招聘教授
夏野 剛氏
 続いて米倉氏は「なぜiモードで世界を取れなかったのか?」と、元NTTドコモの夏野 剛氏に投げかけた。

 夏野氏は「iモードが登場した頃の通信業界は世界一だった。当時、グーグルのエリック・シュミットに『世界中を日本のような状況にしたいので、ケータイ用のOS(Android)を自分たちで開発して配布しようと思う。我々に力を貸して欲しい』と言われた。そこで『iモードをAndroidに切り替えよう』とドコモ社内で言うと、すごく抵抗された。iPhoneもAndroidも日本がモデルであり、(ドコモが)世界標準が実現できなかったことが最大の失敗だと思う」と語った。

 また、夏野氏はNTTドコモを辞したきっかけが「iPhoneの登場である」と語った。

関連記事
「同様のものをつくるのは、もう一役員では無理だと思った。最初はiモードなんて誰も成功すると思っていなかったので、僕が何でも勝手に決められた。Java開発プラットフォームもアプリのダウンロードもiモードが最初だった。端末デザインも自分で決めていたが『なぜデザインまで決めるのか?』と嫉妬する人も出てきた」(夏野氏)

 米倉氏は「しかし、iモード時代には海外企業も何社か買収したのでは?」と話を向けると、夏野氏は「なぜかiモードのために投資したことになっていた。自分はまったく意思決定に関わってない。成功すると、失敗まで押し付けられることを良く学んだ」と全否定した。そして自分にとっての最大の失敗は「ドコモを辞めるときに戦犯たちを一緒に辞めさせらなかったこと」と言い放った。

【次ページ】TBSの買収は「正義感に固執した」結果

関連タグ

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます