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  • 2015/01/27 掲載

ベンチャー起業家はNo.1になるために「ONE PIECE的ムード」を作る(前編)

連載:名著×少年漫画から学ぶ組織論(22)

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仲間を募り、テクノロジーと情熱でその世界でのNo.1を目指す、という行動様式は、ベンチャー企業あるいはスタートアップと呼ばれる界隈の若手起業家たちにとって当たり前になりつつある。彼らのなかには、新規事業を成功させる過程を冒険行為になぞらえ、人気冒険漫画「ONE PIECE」を組織作りの参考にしている者もいる。起業家たちはなぜONE PIECEに共感し、どのような成功へのヒントを得ようとしているのだろうか。

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

予定通りに進まないプロジェクトを“前に”進めるための理論「プロジェクト工学」提唱者。HRビジネス向けSaaSのカスタマーサクセスに取り組むかたわら、オピニオン発信、ワークショップ、セミナー等の活動を精力的に行っている。大小あわせて100を超えるプロジェクトの経験を踏まえつつ、設計学、軍事学、認知科学、マネジメント理論などさまざまな学問領域を参照し、研鑽を積んでいる。自らに課しているミッションは「世界で一番わかりやすくて、実際に使えるプロジェクト推進フレームワーク」を構築すること。 1982年大阪府生まれ。2006年東京大学工学部システム創成学科卒。最新著書「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」が好評発売中。 プロフィール:https://peraichi.com/landing_pages/view/yoheigoto

連載一覧

「負け犬の遠吠え」に不思議な魅力が宿る、ONE PIECEの悪役

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人気冒険漫画「ONE PIECE」を参考にするベンチャー企業やスタートアップ企業が多い理由とは?
 尾田 栄一郎作の少年漫画ONE PIECEは、いまさら紹介を必要としないほどの超人気漫画である。この作品の主な特徴としては「主人公たちの前向きさ、ひたむきさ、誠実さ」が第一にあげられるわけだが、その「前向きさ」が輝くために存在しているのが、「魅力的な悪役」という絶妙な引き立て役だ。

 ONE PIECEに登場する敵役のなかでも、特に人気のキャラクターが「サー・クロコダイル」だ。氏のセリフには名言が多いが、なかでもこれは異彩を放っている。

(サー・クロコダイル)
・・・・クハハハハ シャバは・・・
ずいぶん面白ェ事になってる様だな・・・
“白ひげ”を討ち取るにゃあまたとねェ好機ってわけか・・・!!
こりゃあさすがに血が騒ぐ・・・!!!

(海俠のジンベエ)
・・・・貴様・・・!!!

(火拳のエース)
・・・お前がオヤジの首を取るだと・・・!?

(サー・クロコダイル)
“ジンベエ”・・“火拳”・・・!!よォく覚えておけ・・・!!
“白ひげ”や“ロジャー”に勝てなかっただけで
涙をのんだ「銀メダリスト」達は・・・
この海にゃァごまんといるんだぜ!!!

(『ONE PIECE』 54巻 第529話 “Lv2 猛獣地獄”より)

ナンバーワンに勝てなかった「だけ」の銀メダリスト

 現実社会においては、優秀なるビジネスパーソンたるもの「言い訳」や「負け惜しみ」そのものが忌避されるものである。そんなことを少しでも吐こうものなら、その瞬間に負け犬、落伍者、無能者の烙印を押されてしまう。

 が、サー・クロコダイル氏の口から発せられると、ただの遠吠えとも思えない、不思議な魅力を感じるのであった。

 ちなみに冒頭の引用シーンについて、少しだけ解説をしておくと、サー・クロコダイルのセリフに出てくる「白ひげ」「ロジャー」とはかつて一時代を作った、伝説の海賊達である。

 その昔、「白ひげ」や「ゴールド・ロジャー」に負けじと覇権を争っていたのが、サー・クロコダイルをはじめとする銀メダリスト達である。現在は牢獄につながれているクロコダイル氏が、外界ではかつて自分を退けた「白ひげ」が窮地に陥って入ると知って、喜び勇み、今こそリベンジを果たすべしと息巻いている、というシーンだ。

 現実社会でも、同じようなタイミングで、似たようなアイデアを赤の他人が同時に思いつくということは珍しいことではない。今でこそ、グーグルといえば圧倒的な世界一の検索サービスを提供しているが、創業当時は数々の新興企業が同様のビジネスモデルで覇権を争っていたのは有名な話だ。

 同じビジネスに取り組んでいても、ある企業は大きく成長し、他方はそうでもないという現象は、珍しくないばかりか、むしろ、よく見られるものである。

いったい何が成功者とそうでない者を分けるのか。サー・クロコダイル氏のセリフはこの問題を考えるにあたって、鋭い問題意識を投げかけている。

【次ページ】ベンチャー起業家はなぜ「ONE PIECE的ムード」を好むのか?

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