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  • 2015/03/12 掲載

LIXIL CIO小和瀬浩之氏インタビュー:400名の情報システム部員に求める「プロ化宣言」

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前編では、住宅設備機器メーカー最大手のLIXIL(リクシル)のCIOとして、グローバルで基幹系システムを刷新する「L-Oneプロジェクト」を推進する小和瀬 浩之氏に、同プロジェクトの狙いやグローバル競争を勝ち抜くIT戦略について聞いた。後編では、同プロジェクトの詳細として、SAPのほか、Windchill、ARIBA、Concur、FlexNetといったパッケージ製品導入の狙いや現状、現場との対話の方法、そして情報システム部門自身の改革や教育への考え方について、話をしてもらった。
前編はこちら
(聞き手は編集部 松尾慎司)

L-Oneプロジェクトで導入しているパッケージ

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LIXIL 執行役員 Chief Information Officer(CIO)
(兼) 情報システム本部 本部長
小和瀬 浩之氏

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──:L-Oneプロジェクトの予算規模は300億円とも言われています。

 L-Oneプロジェクトは、SAPによるグローバル基幹系システムの刷新が中心ですが、決してそれだけではありません。たとえば、商品開発のところでは、PTCの「Windchill(ウィンチル)」というパッケージを入れていますし、SFAのところではSalesforceを入れています。間接材の購買ではARIBA(アリバ)、旅費精算ではConcur(コンカー)も活用しています。また、MES(Manufacturing Execution System)には、FlexNet(フレックスネット)というパッケージを導入しています。いずれも、グローバルで通用するパッケージだけを選んでいます。

──:逆にパッケージではないシステムもあるのでしょうか。

 工務店さまや販売店さまに使っていただくシステムですね。我々は「営業フロントの仕組み」と呼んでいますが、そこは非常に大きい差別化ポイントになります。我々は優れた商品を提供するだけなく、工務店さまなどに我々の商品を提案していただくことが、非常に重要なのです。その提案書や見積書を作る仕組みは、パッケージでは対応できません。現在は、各提携事業者さまが画像から商品を選べる仕組みを提供しています。

──:グループ会社のK-engineが提供されているシステムもありますね。

 K-engineのサービスは革新的です。図面を読み込ませると、一棟丸ごとに必要な商品を約5分で拾い出します。工務店さまにとって商品を拾い出し、原価を積算するのはとても大変な作業で、従来であれば1週間程度はかかっていました。これが約5分でできるわけですから、技術的には大きなブレイクスルーだと思います。K-engineの提供するサービスが住宅建築業界の飛躍的な発展につながると期待しています。

──:L-Oneプロジェクトの進捗はいかがですか。

 私が来てからは、できるだけ早期に効果を出すため、スコープを小さくして取り組んでいます。2014年の後半からは、需給計画業務のところでSCMソリューションのRapidResponse(ラピッドレスポンス)の導入が始まっていますし、Salesforceもいくつの支店でパイロット導入が始まっています。

 ARIBAも2015年2月、旅費精算のConcurも6月、SAPの人事管理や給与計算のシステムは8月に稼働を始める予定です。

 旅費精算では、ICカードで自動精算できるようにして、従来の精算処理はなくす計画です。内部統制の面でも有効ですし、コストも押さえられて、さらに従業員も便利になると思います。スコープを小さくすることで、各スコープに最適な時期に稼働を開始できるのです。

 ただし、導入してそれで終わりではありません。IT部門としては、当初掲げた効果を出すところまでやりきります。導入した仕組みに責任を持ち、現場の方々に使い倒してもらって、ともに成果を出し、ともに喜びたいと思います。

【次ページ】Howではなく、Whyを説明せよ

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