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  • 2015/03/04 掲載

ANAのトリプルメディア戦略、日産のカスタマージャーニーとプライベートDMPの考え方

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モバイルデバイスやソーシャルメディアの普及などにより、消費者の購買活動が大きく変わってきている。その中で製品やサービスを提供する企業側では、従来型のマーケティング手法では消費者にリーチすることがだんだん難しくなってきた。さらにはマーケティングの対象領域が広がり、施策の難易度は高まり、PDCAサイクルを回すスピードも求められるようになっている。こうした環境変化の中でデジタルマーケティングに取り組み、一定のリターンを獲得しているのが、全日本空輸(ANA)と日産自動車だ。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

トリプルメディアで立体的なコミュニケーションを目指す

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全日本空輸 
マーケティング室 
マーケットコミュニケーション部
西村 健 氏
 UBMジャパン主催の第3回「マーケティングテクノロジーフェア2015」にて開催されたパネルディスカッション(モデレータはサイコス 代表取締役社長の青葉哲郎氏)に登壇したANA マーケティング室 マーケットコミュニケーション部の西村健氏はまず、自社がデジタル上で実施したことについて次のように語った。

「相応しいターゲットに対して、効果的なタイミングで、適したチャネル/媒体を使って、最適化されたコンテンツで、最終的に伝えたい商品や情報を提供する。これが我々のデジタルプラットフォーム戦略の根底にある」

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サイコス
代表取締役社長
青葉 哲郎 氏
 現在ANAでは「ANA SKY WEB」を運営しており、航空券やツアーの予約、ANAマイレージクラブ(AMC)、楽天市場やYahoo!ショッピングなどと連携したマイレージモールなどのサービスを提供している。1日の来訪者はユニークユーザーで55万人、2013年度のWeb上での販売額は4,710億円だ。36か国、21サイト、8言語に対応し、日本ブランド戦略研究所のWebサイト価値ランキング2014年では1位を獲得した。

 かつてANAでは、マス媒体中心の宣伝部とオウンド・メディアを中心とするWebサイトの管理運営を行うWEB販売部に分かれていたが、多様化するマーケットとの適切なコミュニケーションや、ペイド・メディア/アーンド・メディア/オウンド・メディアというトリプルメディアへの対応が喫緊の課題として浮上してきていた。また業務におけるムリ/ムダ/ムラの解消と、PDCAサイクルの強化と高速化も求められていた。

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 そこで同社は2012年4月に両部門を統合し、現在西村氏の所属するマーケットコミュニケーション部とした。そのミッションは、“トリプルメディアで顧客と立体的なコミュニケーションを図ること”だ。

「以前は3つのメディアを使ってお客さまとコンタクトを図ろうという時、マイレージクラブのIDを使って搭乗頻度をベースとしたお客さまのセグメント化を行っていた。具体的にはAMC多頻度会員(=ヘビーユーザー)、AMC一般会員(=ライトユーザー)、AMC非会員の3つのセグメントで、これでもかなり可視化ができるし、それなりのリターンもあったが、これを現在ではさらに細分化した」

 たとえばAMC一般会員をさらにブレイクダウンして、自社独自で分類した「クラスター情報」別、目的地はどこか、チケットをどこで買ったか、どのクラスかという「予約情報」別、空港で座席をアップグレードしたとか、通路側に変更したとかの「搭乗情報」別などで、また同社が発行するクレジットカードのステータス(ゴールドか一般かなど)もセグメント分けの1項目になっている。

「こうした取り組みによって、多様なマーケティング施策を行うことが可能になったが、一方でさまざまな設定が必要だとか、各種データを抽出しなければならないといった仕事が増え、特に業務上の“ムリ”が生じてきた。さらには色々なことを深く見ることができるようになった反面、PDCAの強化という点では、スピード感に欠けていた。この2つの課題がより浮き彫りになってきた」

 やりたいことはたくさんある、しかし従来のやり方ではムリが出る、スピードアップも必要だ。そこで西村氏は何らかの仕組みを導入する必要性を感じ、社内にも説明して、デジタルプラットフォームの構築に臨んだという。

「その中で最優先したのは、オウンド・メディアの強化を図ること。それが販売力のアップとブランド訴求にもつながる。また我々の保有資産を最大限に有効活用できること、将来を見据えた標準化、ムリ/ムダ/ムラを無くすための業務プロセスの改革も目指した」

 実際のデジタルプラットフォーム導入に当たっては、デジタル上で何がしたいかについて、マーケットコミュニケーション部を中心に社内で徹底的に議論したという。またデータやナレッジ、組織といった自社の強み、そして弱みを抽出してIT部門とも共有し、具体的にやりたいことを伝えて役割分担を明確にした。

「今後はこのプラットフォームをさらに活用して、マーケティングサイドで創客、そして送客し、その後、現場スタッフやクルーが空港や機内でお客さまに相対する。こうした現場とマーケティング部門が一体となった取り組みが必要不可欠だと考えている」

【次ページ】日産のプライベートDMPに対する考え方

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