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  • 2015/03/27 掲載

ビッグデータで得られる大きなアドバンテージとは?

MapR Technologies ジョン・シュローダー氏

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ビッグデータ活用をビジネスの重要な戦略と位置づける企業が増加する中、大規模企業向けにHadoopディストリビューション「MapR」を提供している米MapR Technologies(以下、MapR)が急速な成長を遂げている。同社CEO兼共同創業者のジョン・シュローダー(John Schroeder)氏が語る、多様化するビッグデータ分析とその活用法、またカギを握るテクノロジーとは?

ITジャーナリスト 鈴木 恭子

ITジャーナリスト 鈴木 恭子

ITジャーナリスト。明治学院大学国際学部卒業後、週刊誌記者などを経て、2001年よりIT専門出版社に入社。「Windows Server World」「Computerworld」編集部にてエンタープライズITに関する取材/執筆に携わる。2013年6月に独立し、ITジャーナリストとして始動。専門分野はセキュリティとビッグデータ。

急増するデジタルデータ量、2020年には44兆ギガバイトに

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米国MapR TechnologiesのCEO兼共同創業者、ジョン・シュローダー(John Schroeder)氏
 シュローダー氏が率いるMapRは、大規模企業向けにHadoopディストリビューション「MapR」を提供しているベンダーである。

 ビッグデータ活用をビジネスの重要な戦略と位置づける企業が増加する中、MapRも急成長を遂げている。2013年度の受注高は、前年比300%増、ソフトウェア・ライセンスは、同比90%増を記録した。顧客には米国Hewlett-Packard、米Cisco Systems、韓国のSAMSUNGなどが名を連ね、金融サービス、小売業、メディア、医療、製造業、通信、政府機関など、世界500社/団体で利用されている。なお、MapR日本法人は、2013年9月に設立された。

 シュローダー氏は「近年、デジタルデータ量は爆発的に増加している」と指摘する。IT専門の調査会社である米IDCが2014年4月に発表した試算によると、地球上で1年間に生成されるデジタルデータの量は、2013年の4.4ゼタバイト(=4兆4,000億ギガバイト)から、2020年には44ゼタバイト(=44兆ギガバイト)へと、10倍に拡大するという。

 特に増加の原因となっているのが、構造化されていない「非構造化データ」の存在だ。オフィスドキュメントや画像、動画、音声ファイルといった身近なものから、システムの管理ログデータまで、多種多様な非構造化データが存在する。シュローダー氏は「2020年には、企業や組織が保有するデータの約80%以上が非構造化データになると予測する専門家もいる」と語る。

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企業や組織が保有するデータの80%を非構造化データが占めると予測する調査報告書もある(出典:Human computer interaction and knowledge discovery in complex unstructured big data)

 実際の数値を見ると、その予測が現実を帯びているのがわかる。公開されている各資料によると、全世界のFacebookユーザーがアップロードする写真の枚数は、1日あたり3億5,000万枚、YouTubeには毎分100時間ぶんの動画が投稿され、Twitterには1日あたり5億ツイートが書き込まれる。インターネット調査会社である米国 comSCoreが収集するインタラクション数は、1兆5,000億/月に上る。

 さらに拍車をかけるのが、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の進化である。シュローダー氏は「2020年までに全世界で270億もの機器がネットに接続されるだろうとの予測データもある。かつてはRFID技術を用いたICタグで情報を収集していたが、IoTでは(収集できる)データ量が桁違いだ。さらに現在は、M2M(Machine to Machine)のような、人間が介在せず器機同士がやり取りするトレンドも発生している」と指摘。IoTやM2Mが進化するにつれ、データ量も、そしてデータを活用して実現できることも増加するとの見解を示した。

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IoT(モノのインターネット)の進化。今後は、「人とモノ」ではなく「モノとモノ」でデータがやり取りされることが当たり前の時代になる

ビッグデータ分析でカップルの破局も予測可能に

 “M2M時代”を象徴するのが、米国Googleの「自動化運転カープロジェクト」だろう。2010年10月、当時の同社CEOだったエリック・シュミット(Eric Schmidt)氏が明らかにした同プロジェクトは、車体にビデオカメラ、レーダー、レーザー測距器、センサーなどを搭載してデータを収集分析し、障害物や自動車、通行人の状況を確認しながら、安全で効率のよいルートを自動で導き出すというものだ。すでに米国では公道での実証実験が開始されている。自動化運転カープロジェクトは、ビッグデータを活用しなければ成立しない。「真にビッグデータで得られるアドバンテージ」(シュローダー氏)だろう。

 また、まったくベクトルは異なるが、match.comやzooskといった出会い系サイトが持つアクセス数やサイト内でのユーザー行動履歴といったビッグデータも、分析しだいで非常に興味深い“事実”を詳らかにしてくれるという。「人はどの時期に恋人を探す傾向があるのか」といったデータが簡単に分析できるというのだ。シュローダー氏はある出会い系サイトのアクセス状況分析(下図)を示したうえで、「分析の結果、月曜日は出会い系サイトの利用率が、他の曜日と比較して高い事実がわかった」と語り、会場を笑わせた。余談だが、facebookの投稿パターンを詳細に分析すれば、特定のカップルが別れる時期もある程度は予測できるという。

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ある出会い系サイトのアクセス状況分析。クリスマスの2週間前に利用数が跳ね上がっている

【次ページ】 多様化するビッグデータ分析、顧客理解から国民のID認証まで

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