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  • 2015/05/28 掲載

中国大使館 参事官や中国人経営者に聞く、中国経済と日中関係の未来

日本の報道にはズレがある?

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先日東京・ザ・プリンスパークタワー東京で開かれた「アジア経営者ビジネスサミット2015」、国・地域別セッション「中国」では、新進気鋭の若手中国人経営者、団体会長やまったく新しい港湾サービスを展開する企業家が、日本企業とのさらなる交流をめざして、各社プレゼンテーションを展開。それらは、順調な中国経済を糧として、未来に向かって新しい日中関係を築こうというメッセージに満ちていた。

執筆:フリーランスライター 吉田育代

執筆:フリーランスライター 吉田育代

企業情報システムや学生プログラミングコンテストなど、主にIT分野で活動を行っているライター。著書に「日本オラクル伝」(ソフトバンクパブリッシング)、「バックヤードの戦士たち―ソニーe調達プロジェクト激動の一一〇〇日 」(ソフトバンクパブリッシング)、「まるごと図解 最新ASPがわかる」(技術評論社)、「データベース 新たな選択肢―リレーショナルがすべてじゃない」(共著、英治出版)がある。全国高等専門学校プログラミングコンテスト審査員。趣味は語学。英語と韓国語に加えて、今はカンボジア語を学習中。

中国経済の成長と中国の旺盛な消費需要は今後も続く

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中華人民共和国駐日本国大使館 経済商務部 参事官
景 春海氏
 セッションは、中華人民共和国駐日本国大使館 経済商務部 参事官 景 春海氏の講演からスタートした。

 景氏はまず、「アジア経営者ビジネス 2015」の開催を、大使館を代表して祝った。また日中関係は複雑ながら、2014年11月に首脳会談が実現したことで一歩前進したと語った。

 同氏が日本に赴任したのは、今回で二度目であるという。2003-2007年の赴任時は、日本は中国ブームの最中にあったと述懐した。新聞の一面トップに中国に関連した経済ニュースが頻繁に載った。しかし、“島”の紛争がぼっ発した後は、ポジティブなニュースが減り、ネガティブなニュースが増えたことを具体的にニュースの本数を挙げて同氏は指摘した。

「中国経済に問題が起こったのではありません。日本の報道のあり方にはブレ、ズレがあります。この間も投資は継続して行われており、経済協力は引き続き行われていました」(景氏)

 また、景氏は中国経済の安定的な成長について言及した。中国経済は「ニューノーマル(新たな標準)」のフェーズに突入し、GDP7.4%成長は主要国の中で最も高い数字であると胸を張った。中国は外資を導入する国から、海外へ投資を行う国に転換しつつあるとし、今後も自由貿易実験区を広東、深センに適用するなど、投資環境の改善に引き続き力を入れていくことという。

 その後、同氏は来日する中国観光客の増加について触れ、春節時に観光業界など日本企業の株価がどれだか上昇したか、具体的に社名と株価を数多く列挙した。

「中国経済の成長と中国人の旺盛な消費需要は、日本経済に大いに刺激を与えます。大使館は手助けするために開かれています。いつでも声をかけてください」(景氏)

 と景氏は参加者へ呼びかけ、次の登壇者へ席を譲った。

ヒューマン・ネットの時代、企業同士共有を深めて“アジアの輝き”を取り戻そう

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資本奇跡同学連合会 会長
陳 波氏
 続いて登壇したのは、資本奇跡同学連合会 会長 陳 波氏である。資本奇跡同学連合会とは、2000社を超える新進気鋭の若手起業家集団だ。同氏は2年前にもアジア経営者ビジネスサミットに登壇している。その時の厳しかった日中関係を思い起こすと、今回は春風に乗ったような気分だと笑顔を浮かべた。

 陳氏は日中関係において、企業間の交流はもはや時代の流れであるという。これを象徴する大きな出来事として、2014年のアリババニューヨーク市場上場を挙げた。同社の最大の株主はソフトバンクである。これこそ日中間協力の理想的なモデルであるとして、今後、さらに企業と企業の交流が高まり、その中から大成功した例が出るとしたら万々歳だと陳氏は大きな期待を寄せた。

 同氏が特に強調したのは“アジアの輝き”だ。

「これまで世界経済にルールがあったとしたら、それは西側の作ったものであって、アジアのものではありませんでした。和洋折衷も例もありますが、今の時代はアジアが古い伝統の中から輝きを取り戻すときに来ていると思います。資本奇跡同学連合会には中国の小さい企業がたくさん所属していますが、このような業界団体の単位で交流することが非常に重要。資金、人材、情報面で多くを共有し、両国のよいところを補いあって、質を高めていきましょう」(陳氏)

 同氏はまた漢字を用いて、重要なメッセージを伝えた。人という漢字を二つ並べると、中国の簡体字で従という漢字になる。人が三つになれば簡体字の傘で、人が四つ並ぶと簡体字の網という漢字を表す。人が集まる、特にface to faceで会うことでヒューマン・ネットを形成し、距離を縮めて心を通わせることができるという。

「私たちの未来はそこへ向かうべき、インターネットの時代はヒューマン・ネットの時代です。中小企業どうしが手を取り合うことで、アジアの時代が戻ってくることを確信しています」(陳氏)

 陳氏はそう断言して演壇を後にした。

【次ページ】 中国VC曰く、「企業経営は禅の精神で」

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